89話 探偵、魔王とナルリスの攻略法を語る 10
<前回のあらすじ>
魔王は50000000000兆キロ離れた別の星にいることが、ジュニッツの推理で明らかになった。
その事実が、どう魔王の倒し方とつながってくるのか?
「どうやれば魔王を倒せると思う?」
俺はアマミとルチルに向けて、たずねた。
2人は顔を見合わせ、しばし考え込む。
が、ほどなくして降参した。
「ダメです、さっぱり分かりません」
「わらわも、とんと分からぬのじゃ」
と2人して言う。
「ジュニッツさんは、一体どんな悪知恵で魔王を倒そうというんです?」
「順に話すさ」
そう言うと、俺は紙にこう書いた。
・強制チェスリル
・スキル復元
・死神対戦
「今回、俺が使う月替わりスキルの能力はこの3つだ。このうち、まだ使い道が明らかになっていないのはどれだ?」
「ええと……死神対戦ですね」
「そうだ、そいつを使って魔王を倒す」
死神対戦とは、死神相手にチェスリルの決闘ができる能力である。
俺が勝ったら、死神に1回命令ができる。
一方、負けたら俺は死神に命を奪われる。要するに死ぬ。
そういう能力である。
こいつで魔王を討伐する。
●ここまでのまとめ
俺は死神対戦を使って魔王に勝つ
◇
「で、でも、その……大丈夫なんですか? 死神と対戦して負けたら、ジュニッツさんは死んじゃうんですよね?」
アマミが心配そうな顔でたずねる。
「そうだな。敗北したら死ぬな」
「何か死神にチェスリルで勝つための秘策があるのですか?」
アマミの問いかけに、俺は正直に答えた。
「ない」
誰よりもチェスリルが弱い俺が、死神に勝てるはずがない。
アマミは唖然とした。
「ダ、ダメじゃないですか! 負けたら死ぬんですよ? 死神対戦なんか使っちゃダメですよ!」
「安心しろ、俺は死なねえさ」
アマミは「え?」と言う。
「ど、どういうことです? だって、ジュニッツさんは死神対戦を使うんですよね?」
「ああ」
「使うと死神がやって来るんですよね?」
「そうだな」
「死神が来たら、チェスリルの対戦をするんですよね?」
「そうなるな」
「対戦したら、ジュニッツさんは負けるんですよね?」
「100パーセント負けるな」
「負けたら、死神に命を奪われるんですよね?」
「そういう能力だからな」
「でも、ジュニッツさんは死なない、と?」
「ああ、死なねえ」
アマミは「うーん……」と言いながら、しばらくの間考え込んでいたが、
「……ダメです。ジュニッツさんが何をやろうとしているのか、全然わからないです」
とギブアップする。
「難しく考えることはねえさ。シンプルに考えればいい。俺が死神対戦を使うとどうなるか?」
さっきアマミが言った通りである。
普通に使うとこうなる。
1.死神がやってくる
↓
2.チェスリルの対戦をする
↓
3.俺が負ける
↓
4.死神が俺を殺す
「俺が死なねえようにするには、この1~4のどれかを阻止する必要がある。どれなら阻止できると思う?」
後ろから順に見ていこう。
まず、『4.死神が俺を殺す』は阻止できない。
なぜなら、死神の行動には一切干渉することができないからだ。書庫で読んだ本に出てきた死神マニアの話でも、こう書いてあった。
――晩年の死神マニアは、「どうせもう人生長くないんだし」とでも思ったのか、死神を捕まえようとしたり、閉じ込めようとしたり、マヒや眠りの攻撃を加えて行動不能にしようとしたり、などと命知らずなことを色々やったが、いずれもムダだった。
――死神はどんな攻撃をも防いでしまうのだ。
――防ぐというより、自在に体を透過させて、あらゆる攻撃をすり抜けさせてしまう。
――どんな干渉も受け付けないのだ。
『3.俺が負ける』も阻止できない。
阻止しようと思ったら俺が勝つしかないが、何度か言ったように、俺のチェスリルの腕前は最低クラスである。
死神に勝てる見込みは皆無だ。
『2.チェスリルの対戦をする』も阻止できない。
阻止しようと思ったら、チェスリルの盤面をひっくりかえすとか、対戦を拒否するとか、そういう妨害や試合放棄になることをする必要がある。
だが、死神との決闘では、決闘作法(パターン13)が適用される。
そして、この決闘作法は、強制チェスリルの決闘作法(パターン22)と同じく、妨害や試合放棄は死罪になってしまうのだ。
――決闘に関係なく次の行為のうちどれか1つでもしたら、神聖な決闘をけがした罰として、死んで償わなければならない。
――・私語
――・暴力
――・妨害
――・離脱
――作法では、反則、降参、試合放棄、時間切れによる負けは、どれも神聖な決闘をけがす行為として、死んで償わなければならない。
「となると、残るは1つ。『1.死神がやってくる』さ。こいつを阻止すりゃあいい。つまり、死神が来ないようにしちまえばいいんだ。そうすりゃ、俺は死なねえ」
つまり、こうである。
能力『死神対戦』を使う
↓
死神が来ない
↓
チェスリルの対戦は始まらない
↓
俺が負けることもない
↓
死神に命を奪われることもない
●ここまでのまとめ
死神対戦を使っても、死神が来ないようにすれば、俺は死なない。
◇
「い、いや、確かに死神が来るのを阻止できれば、ジュニッツさんも無事ですけど、で、でも、そんなの無理ですよ!」
「どうしてだ?」
「だって、死神対戦って、念じると発動するんでしょう? でも、死神対戦の説明文に、念じたらすぐに死神が現れるって書いてありました。すぐに現れたら、阻止する暇なんてないですよ!」
「ん? ああ、この文章か。堅苦しい文章だったから、俺が書き直したやつだな」
――あなたが念じた瞬間、死神をあなたのいる所に強制的に呼び出せます。
「そう、それです! ほら、念じた瞬間に、死神がジュニッツさんのところに現れるって書いてますよ。これをどうやって阻止するんです!?」
「よく見ろ。念じた瞬間に『現れる』とは書いてねえ。念じた瞬間に『呼び出せる』と書いたんだ」
『呼び出す』とは、どういう意味か?
たとえば、
『王から城に呼び出されたので、男は急いで家を出た』
という文章。
見ての通り、王が呼び出した時点で、男はまだ城に到着していない。
城に向かって出発しただけである。
死神対戦の
『あなたが念じた瞬間、死神をあなたのいる所に強制的に呼び出せます』
という説明文の『呼び出す』も同じ意味か?
つまり『念じた瞬間に、死神が俺の所に向かって出発する』という意味になるのか?
それとも違う意味になるのか?
「……どっちの意味で書いたんですか?」
「死神マニアの資料を読んだ時のことを思い出せ」
あの時、俺はこう言った。
――今度は儀式をした。
――死神を呼び出して、パターン13の決闘作法でチェスリルの決闘をする儀式である。
――儀式の効果は、俺の月替わりスキルの能力『死神対戦』とほとんど同じである。
「見ての通り、儀式の効果は、俺の『死神対戦』とほとんど同じだ」
「ほとんど同じ……」
「そうだ。違うのは、この2点だけ」
――『死神対戦』は念じるだけで簡単に使うことができるが、儀式の場合、高価なアイテムをいくつも消費する。
――それに儀式の場合、決闘開始から3時間経っても決着がつかないと、儀式の効果が切れて、決闘が無効になってしまう。一方、俺の『死神対戦』の場合は、無効になるまで3時間ではなく8時間かかる。
「わかるな? 『死神を呼び出した時、どうやって現れるか?』が違うとは言ってないんだ。つまり、死神の現れ方は、儀式も死神対戦も同じってことさ」
「……たしかに、そうなりますね」
「そして、儀式では、呼び出された死神は、死神の山から飛んできた」
死神の山とは、死神マニアの資料で出てきた山で、死神の拠点だ。
――そして、いつしか、エルンデールの町から6000キロ離れた地にあるこの山は、死神が拠点にしている様子から『死神の山』と呼ばれるようになったという。
その山から、死神は飛んできたのだ。
――儀式によって、死神の山から死神が、決闘のために彼女のところに飛んできたのだ。
「ということは、死神対戦でも同じように、死神は『死神の山』から俺の所に飛んでくるってことさ。瞬間移動なんかしねえのさ」
まあ、当たり前と言えば、当たり前の話である。
死神の移動手段は飛行しかない。どんな場所にだって、愚直に飛んで行くことしかできないのだ。
――本当に死神はどんな場所にも飛んでくる。
――魔道具を使って調べたところ、死神は瞬間移動に類することはできず、移動手段は飛行だけらしいが、代わりに何でも通り抜けることができるそうだ。
そして、死神の拠点は死神の山しかない。
死神対戦を使った時も、死神はそこから飛んでくるのだ。
――その結果、死神の拠点は『死神の山』だけしかないことを、彼女は突き止めた。
●ここまでのまとめ
死神対戦を使うと、死神は、死神の山からジュニッツの所へ飛んでくる。
◇
「で、でも……それにどんな意味があるんです?」
「簡単さ。たどり着かねえんだよ」
「え? たどり着かない?」
「そうさ。大事なのは、死神対戦をどこで使うかってことさ。もし、魔王の部屋で使ったらどうなる?」
「あっ!」
死神の山は、エルンデールの町から6000キロ先にあることからも分かるように、俺達の住む星にある。
一方で、魔王の部屋は、別の星にある。
両者は、50000000000兆キロ離れているのだ。
そして、さっきも言ったように、死神はどんな場所にだって、必ず死神の山から飛んでくる。愚直に飛ぶことしかできない。
つまり、俺が魔王の部屋(別の星)にいる時に死神対戦を使えば、死神ははるばる50000000000兆キロを飛んでくることになるのだ。
□□俺たちの住む星□□
□ □
□ 死神の山 □
□ □
□□□□□□□□□□□
↓
↓50000000000兆キロを
↓飛んでくる死神
↓
□□□□別の星□□□□
□ □
□ 魔王の部屋 □
□(俺はここにいる)□
□ □
□□□□□□□□□□□
「だが死神の移動速度は時速90万キロしかねえ」
――死神は15000キロの距離を1分で移動する。
――時速にして90万キロ。
「時速90万キロで、50000000000兆キロ離れた俺の所にたどり着くには、だいたい6000億年かかる」
「6000億年……」
事実上、未来永劫たどり着かないということである。
「とはいえ、死神は永遠に飛ぶことにはならねえ。死神対戦の効果は8時間で切れるからな」
能力の説明文にもこう書いてある。
――効果の開始は、念じて決闘が始まった瞬間です。
――効果の終了は、決闘が終わるか、時間切れ(決闘開始から8時間経っても決着がつかない)になった時です。
――時間切れの場合、決闘は無効になります。
つまり、こういうことだ。
念じる。死神対戦の効果が有効になる。死神が俺の所に向かってくる。
↓
8時間経過。死神は到着しない。効果が切れる。
「効果が切れたら、呼び出す力もなくなって、死神も帰って行くだろうさ」
実際、死神マニアが儀式で死神と決闘をした時も、効果時間が切れて死神は帰ってしまったのだ。
――もっとも肝心の決闘は、3時間経過しても勝負がつかず、死神を呼び出す儀式の力の効果が切れて決闘は無効化。死神は山に帰ってしまったそうだ。
「なるほど。死神対戦を使っても、死神はジュニッツさんのところにたどり着けず、帰ってしまうということですか」
「その通りさ」
●ここまでのまとめ
死神対戦を使っても、死神は俺の所までたどり着けず、8時間後に帰って行く
◇
「で、でも……」
「うん?」
「それに何の意味があるんですか? 絶対にたどり着けない場所に、死神を呼び出しているだけですよね? 死神への嫌がらせにしか思えないんですが」
「意味ならあるさ」
死神対戦は、念じることで発動する。
そして、念じたら、すぐに決闘開始である。
――死神を呼び出す儀式や呪文詠唱が完了した瞬間から、決闘開始である。
一方、決闘状態が解除されるのは、さっきも言ったように念じてから8時間後である。
――効果の開始は、念じて決闘が始まった瞬間です。
――効果の終了は、決闘が終わるか、時間切れ(決闘開始から8時間経っても決着がつかない)になった時です。
――時間切れの場合、決闘は無効になります。
つまり、こういうことだ。
念じる。決闘開始。
↓
8時間が過ぎる(ずっと決闘状態)
↓
決闘状態解除
要するに、死神が一生懸命宇宙を飛んで俺の所に向かっている8時間のあいだ、ずっと決闘状態だということだ。
「で、でも、決闘状態だからって、どうなるんです?」
「決闘作法が適用されるんだよ」
「たしかに、決闘中なら決闘作法も働きますけど……それって意味があるんですか? 決闘作法って、私語は禁止とか、試合放棄は禁止とか、禁止を破ったら死罪とか、そんなのばかりですよね。あまり嬉しいものじゃないと思うんですけど」
「たしかに基本的には嬉しくねえな。だが、嬉しい点が1つある」
それは『死神対戦』の効力で、決闘作法を絶対に厳守するよう、身体に制約がかかるということだ。
――質問6.
――決闘作法を守らないとどうなるの?
――質問6の回答.
――絶対に守らせます。
――正確には、能力の効果が発動している間、決闘作法を厳格に遵守できるよう、決闘する2人には身体に制約がかかります。
たとえば、決闘作法の文章通り、対局中に席を立つと死ぬ身体になってしまうのだ。
――質問7.
――身体に制約がかかる?
――質問7の回答.
――例えば決闘作法には『対局中に席を立った者は、不作法の罰として死ななければならない』とあります。
――この記述通り、席を立つと、その瞬間に死ぬ体になります。
「えっと……それのどこが嬉しいことなんでしょう?」
「嬉しいさ。何しろ、こういうルールがあるんだからな」
アマミと決闘の模擬戦をした時、次のようなルールがあると俺は言った。
――どの決闘作法のパターンでも、先にチェスリル勝負の場所に着くなどして決闘相手を待っている間は、目に見える範囲に魔物がいたら駆除することが推奨されているし、その際にケガをしたり、死んだり、毒などの状態異常になったりしてはならないと明記されている。
このルールをまとめるとこうなる。
・対戦相手を待っている間は、魔物駆除が許可されている。
・魔物駆除の際、ケガを負ったり、死んだり、毒などの状態異常になったりしてはならない。
「そして、死神対戦では、このルールを字義通りに絶対に厳守できるよう、身体に制約がかかるんだ」
つまり、どういうことか?
魔物駆除の際、ケガしたり、死んだり、毒などの状態異常になったりすることが出来ない身体にされるということだ。
ケガも負わず、死ぬこともなく、状態異常にもならない身体。
要するに不死身になるのだ。
「ま、待ってください。理屈の上ではそうかもしれませんけど、でも不死身だなんて……」
「なるさ。書庫で読んだ本を思い出せ。月替わりスキルの能力の1つ『騎士の鏡』を使った男の話だ」
『騎士の鏡』は次のような能力だった。
――『騎士の鏡』は、この騎士道憲章を強制的に守らせる能力だった。
そして、この能力は、騎士道憲章の言葉通り、男を不老にしてしまったのだ。
――騎士道憲章には『騎士たるもの、老いてはならない』という一文がある。
――月替わりスキルは『老いてはならない』という文言を厳格かつ言葉通りに守らせ、男は不老になってしまったのだ。
「月替わりスキルの能力である『騎士の鏡』は、騎士道憲章の文章通りに、男を不老にした。
であれば、同じ月替わりスキルの能力である『死神対戦』も、決闘作法の文章通りに、俺を不死身にすると考えるべきだろ?」
「た、たしかに……」
「さて、そんな不死身になれる死神対戦を、魔王の部屋で使ったらどうなると思う?」
「どうなるって……」
こうなるのだ。
魔王の部屋に行く
↓
念じる。死神対戦が発動。
↓
決闘中になる。死神が俺の所に向かってくる(到着しない)。
↓
決闘中は、死神対戦の力により、俺の体は決闘作法を厳守する身体になる。
つまり、決闘作法に則り、『死神が来るまでの間、魔物駆除は許可されるし、その際は俺は不死身』となる。
↓
魔王の部屋には魔王がいる。魔王は魔物である。
つまり、魔王を駆除できる。そして、その間、俺は不死身である。
↓
8時間経過。死神が来ないので、死神対戦が終了。俺の不死身も解除される。
「分かるな? 8時間の間、俺は不死身の状態で魔王と戦うことができるんだ」
●ここまでのまとめ
魔王の部屋で死神対戦を使うと、俺は8時間不死身で魔王と戦える。
◇
「で、でも、不死身だからといって、攻撃力まで上がるわけではありません。どうやって魔王にダメージを与えるんですか?」
「忘れたか。魔王は触れば倒せるんだ」
「あっ!」
レコが記録に書き残している。
誰であっても、魔王本体を1時間触り続ければ倒せるのだ。
――「まとめると、魔王本体を1時間素手でずっと触っていれば誰でも倒せるってことか、レコ?」
――「ああ、それでいい」
魔王本体とは、イカの姿をした魔王自身である。
――「いいや、魔王本体を触らないとダメだ。つまり、あの巨大なイカの体のどこかを触る必要がある」
つまり、魔王自体に近づいて触ればいいのだ。
魔王の攻撃は、不死身の俺には効かない。
そのへんの花に近づいて触るかのごとく、容易に接近して触れる。
おまけに魔王は触られたとしても動かない。逃げたり暴れたりしない。実に簡単に触り続けることができる。
レコが記録の最後にそう書き残しているのだ。
――魔王自身は触られたとしても動かないということだ。
――あの魔王は動かない。
――腕が10本もあるのだから、その腕で攻撃してきてもよさそうなものだが、動かない。
――ただじっとふわふわ浮いているだけである。
――ずっと潜み続けてきたおかげで動くのを忘れてしまったのではないか、と思うほど動かない。
――魔眼で見抜いたことであるから間違いない。
――このことが魔王を倒すヒントになれば幸いである。
「まとめると、魔王の倒し方はこうだ」
魔王の部屋に行く。
↓
死神対戦を使う。
↓
死神が俺の所に向かってくるが、遠すぎるので到着することはない。
↓
死神対戦の力で『死神が来るまでの間、魔物駆除は許可されるし、その際は俺は不死身』となる。
↓
魔王という魔物に触り続ける。俺は不死身なので、魔王の攻撃は一切効かない。1時間後、魔王は死ぬ。
↓
7時間後、死神が来ないので死神対戦の効果が切れる。俺の不死身も解除。
「ということさ。わかっちまえば簡単だろ?」
アマミはしばし、口をポカンと開けていた。
1分ほどしてようやく言葉を発する。
「いやあ……なんというか、いつも思いますけど、やっぱりジュニッツさんは変人ですねえ。死神を8時間も無駄に宇宙を飛ばさせるとか 普通はそんなこと思いつきませんよ。ものすごい発想力ですねえ……」
いっぽうのルチルも、しばしのあいだ唖然としていたが、やがてこう言った。
「……ジュニッツ殿は本当にすごい……驚嘆すべきものなのじゃ。小さな手がかりをもとに推理を組み立てる観察力と考察力……そして、自らの推理に命を張れる胆力……わらわ達宝石人がナルリスにいいようにされてしまったのも、きっとそういうところが欠けていたからなのじゃな……」
しみじみといった様子で、そうつぶやく。
俺はそんな2人に向けて言った。
「さあ、推理は以上だ。明日はナルリスと魔王を倒すぞ。ナルリスのニヤケ面を驚愕で歪ませ、魔王を倒してまた世間の度肝をぬいてやる。そして、宝石人達を救出するんだ」
アマミとルチルは、俺の言葉に深くうなずいた。
決戦は明日だ。
解答編はこれで終わりです。
次話から後始末編が始まります。
面白いと思っていただけましたら、
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