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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
カミルの街
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冒険者カシム

ハルバット領へ戻ったカシムは、領主マウナ・フォン・ハルバットにオーガキングが討伐されたと思われる事を報告し、それと同時に自身の騎士としての身分を返上する旨を伝える。

かねてよりカシムを騎士団長へと考えていたハルバットは留意する事を訴えたが、

カシムの「私を信じて下さい、オーガキングを討伐したと思われる冒険者を味方に引き入れるには必要な事なのです!」という言葉に結局は折れた。

冷淡で他人を寄せ付けなかったカシムがそこまで訴えて来た事に感じいったのである。

ただカシム本人からすれば「こう言えば思い通りに事が進む」と直感に頼った言動であり、なんの感情も入ってはいなかったのではあるが。

思惑通り騎士を辞め、ヒナコデスの闘いを観戦する事のみを目的にカミルの街へと向かうカシムは、移動の途中でオークに襲われている商会の馬車を見つける。

多勢のオークに囲まれて、護衛の冒険者達が苦戦しているのを見た瞬間、カシムはある事を閃き実践にうつす。

カシムの実践した事は「峰打ち」自身の持つ刀の刃の部分を使わず、刀の背の部分での打撃による敵の無力化を行う事だった。

元々A級に匹敵すると呼ばれた実力と、カシム自身は気づいていないが付喪神として目覚めた愛刀の能力、愛刀自身が主人であるカシムの意思を感じ取り、妖力とも呼べる謎の力によってカシムの意思に応えようとする力により、オークは次々と行動不能になっていく。

商会の人間や冒険者達は、美麗なカシムによるその流れるような太刀筋と、例えモンスターと言えども血を流させないと言う心意気の美しさに見惚れてしまう。

「美しい」

誰の口から漏れたのかわからなかったが、その場の誰もが感じていた事だった。

全てのオークが大地に倒れ、冒険者達のリーダーが感謝の言葉を掛けようとした時人々にとって異変が起きる。

カシムが大地に崩れ落ちていたオークを無理矢理立たせ、後方から組付き、自らブリッジする形で再び大地に叩きつけているのだ。

ドラゴンスープレックスである。

カシムが閃いた事は「オークを使ってプロレス技を使ってみたい」であった。

カシムはヒナコデスのドラゴンスープレックスを見た時から真似をしたくてたまらなかったのである。

流石にいきなり実践でドラゴンスープレックスは使えないので行動不能にしてからと考えたのである。

(おー!ドラゴンスープレックス!!あーでもなんかズレたかもなー)

A級の実力を保持するカシムは難なくドラゴンスープレックスをやってのけるが、まだ不慣れな為に相手の受け身が取れる様には投げ切る事が出来ていない。

即ち、オークの脳天は大地に「突き刺さって」いた。

大地に頭を突き刺したまま絶命するオーク。

(ズレたけど良いや!次、次!喰らえドラゴンスープレックス!!)

次から次へと大地へ突き刺ささるオーク。

(気持ち良いーーーーーー!!!!)

カシムは完全にプロレス流ごっこを楽しんでいた。

カシムの中でオークはロウジーであり、自身はヒナコデスであった。

カシム本人は楽しんでいたが商会の人間や冒険者達は違った。

「あ...あれは何だ!?ただ殺すなら剣で殺せば良い!だがアレは!?」

皆理解出来なかった。大地に突き刺す意味が。

皆恐怖を感じていた、剣士が笑いながら魔物を投げている光景に。

数分後、馬車は大地に突き刺さるオークに囲まれていた。

もはや誰もカシムを「美しい」等と思っていなかった。

「コイツはヤバイ」

誰の口から漏れたのかわからなかったが、その場の誰もが感じていた事だった。

突然カシムが振り返り冒険者達のリーダーに言った。

「良い練習になりました、オークの素材はそちらで処理して下さい、私は先を急ぎますのでこれで」

立ち去るカシムを誰も引き止めようとしなかった。名前すら聞こうとしなかった。



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