ロウジーの闘い
ヒナコデスにロウジーが再び叩きのめされたとの噂が街を駆け巡った。
B級北斗のメンバーはその噂について語り合っていた。
「キージー、どう思う?」
氷結サムソンがキージーに尋ねる。氷魔法の使い手で後衛として戦うサムソンにはヒナコデスの恐ろしさは理解出来ても、前衛同士の力量の比較が出来なかったのである。
「事実だろうな、ロウジーの実力は認めるが彼女はB級止まりの人間だ、特殊スキルの怪物には勝てん」
毒霧を喰らって敗北した苦い思い出がキージーの中で蘇る。
「誰がB級止まりですって?」
キージーが振り返ると其処には鬼の形相をしたロウジーが居た。
ロウジーの口の周りが緑に染まっているのを見た北斗のメンバーは噂が事実だったと確信した。
「落ち着けロウジー、俺達に喧嘩を売ってもしょうがないだろ?」
鉄壁テルーが仲裁に入ろうとする。
「あらテルー、丁度良かった。貴方ちょっと対戦練習に付き合ってくださるかしら?」
「何?ロウジーお前昔俺に手も足も出なかったのを忘れたのか?それにレイピアはどうした??」
ロウジーの突然な挑戦に驚くテルー。
「レイピアは....必要ありませんわ...どうですの?付き合ってくださるの?」
「わかった」
レイピア無しにどうするのか興味が湧いたテルーはロウジーの挑戦を受ける事にする。
北斗メンバーとロウジーは対戦練習場へと移動し、テルーとロウジーは中央で向かい合った。
B級同士の闘いが観れると興奮した他の冒険者達が集まって来たが皆ロウジーが手に武器を持っていない事に気づき驚く。
キージーが開始の合図を送ると、いきなりロウジーの構えが変わる。
中腰で両手を突き出しテルーを睨みつける。
(おいおい?これでどうするつもりだ!?)
そうテルーが思った次の瞬間、テルーの喉元に激しい衝撃が走る。
「グハッ!?」
(なんだ今の!?ロウジーの腕が俺の喉元に叩き込まれたのか!?鎧越しでこのダメージだと!?)
そう思った次の瞬間、今度は後頭部に衝撃が走る。
「グォ!?」
(後ろに回られていた!?)
後頭部からの打撃で前のめりになった体が突如後方へ流れて行くのを感じるテルー。
(投げられている!?この俺が!?あの華奢なロウジーに!?)
後頭部を大地に叩きつけられ、全身が痺れ目眩まで感じるテルー。
(負けた...完敗だ..)
そうテルーが思った次の瞬間、揺れる視界にロウジーの足の裏が見えた。
「グヘ!?」
(踏まれた!?なんでー!?もう勝負ついてるよね!?)
止まらない蹴り、ストンピングである。
「オラ立てー!!」
とても貴族趣味のロウジーの言葉とは思えない罵声を聞きながら、テルーは立って欲しいなら蹴るなよと思いながら意識を手放した。
「マジかよ...」
キージーはロウジーがどう戦ったのかを観察していたが故に尚更信じられなかった。
ロウジーは自らの腕を勢いよく鎧を着ているテルーに叩き込み、その勢いを維持したまま今度は背後から又腕を叩き込む、そして最後は大男である鉄壁テルーを後方に投げてみせたのだ。
「次のお相手は貴方ですわよ二刀流のキージー」
「マジかよ!」
キージーに嫌な記憶が蘇る。間の取り方がヒナコデスの闘い方に似ていないか?と。
それでもキージーは自身の必殺剣、二刀抜刀の構えでロウジーを待ち受ける。
「行きますわよ!」
走り始めるロウジー。
(流石に練習で首は狙えない!足を止める)
そう考え、ロウジーの足を狙い二刀抜刀を発動させたキージーだったがキージーの剣はロウジーの左腕に嵌められた小手で止められてしまう。
「残念でしたわね、両腕の小手強度の高い物を選びましたの。鎧相手でもラリアット効く様に」
「ラリアットだと!?」
「これですわ」
足を狙った剣を左腕で止めたまま放たれた至近距離からのラリアット一発でキージーは意識を失った。
(くっ苦しい....ラリアットの後遺症か?)
意識を取り戻したキージーが気がついてまず感じたのが全身の痛み、そして腹部への圧迫感。
(足が...痛い....痛い!!!)
「痛い!!!!痛い!!!」
「サソリ固めですわ」
「参った!降参する!!」
「B級止まりですって?」
「ギャー!!!降参!!許して下さい!私が間違っておりました!!」
涙を流しながら許しを乞うキージー。
「わかってもらえたなら結構ですわ」
ロウジーはサソリ固めを解除すると「へはぁへはぁ」と低い息を吐き去って行った。
北斗メンバー
サムソンとスラハラは聞き覚えのある低い息に震えた。




