カシム
マウナ・フォン・ハルバットの命を受け、カミルの丘へ赴いた領内最強との呼び声高いカシム副団長であったがカミルの丘で戦いの痕跡を見つけた時点で「オークキングは討伐された」と確信していた。
これは彼の実力を支える根源が「直感力」にあり、その直感がオークキングが討伐されている事を彼に感じさせたからである。
カシムは元々孤児の出ではあったが、幼い頃より自身の直感力を頼りに、賭け事等で食い扶持を得ていた。
12歳の時、カシムは出店で1本の刀を見つける。東方から流れてきたとの話であったその刀は、古ぼけた鞘に収まっており、誰の目にも留まる事は無かった。
だがカシムの直感がその刀に「運命」を感じさせた。
「これだ!」そうカシムは感じた。
カシムは所持金を全てあるレースの大穴に賭け大勝し、その刀を購入した。
当時のカシムは賭け事のみを頼りに生きており、武器等で戦った経験も無く、「なんて無駄な出費を」と
周りのカシムを知る人々から言われたが、カシムは相手にしなかった。
一度も剣を振った事の無いカシムであったが、彼は自身の直感に従い自己流の戦い方を編み出す。
それは日本で言えば抜刀術であった。
相手の攻撃を自身の能力「直感」で回避、隙が出来た相手に神速の一撃を叩き込む。
これがカシムの戦い方であった。
刀を購入し1カ月も経たないうちにカシムは王都で開かれた武術大会へ出場し優勝し、
最年少優勝記録保持者となった。
カシムは孤児でありながら12歳の時点で高貴な美貌を持ち、併せて「最年少優勝記録保持者」という事から、貴族達から家臣へなる様にとの勧誘が後を絶たなかったが、当時のエルビア王の命により、王直属の騎士となる。
カシムは王直属の騎士として着実に出世の道を歩んでいた、武術大会を連続制覇し、又成長するにしてその美幌は怪しい魅力を発して女性達を虜にした。
ある時カシムに想いを寄せる女性に対し無下に断った事が彼の出世を止める事になった。
カシムが求愛を断った女性は有力貴族の娘であった。
「平民に貴族の娘が求愛し断られる」あってはならない事であった。
徹底的に糾弾する貴族達であったが、カシムを惜しんだ王により辺境へ移転するという沙汰で済んだ。
その辺境が此処ハルバット領である。
「直感力」に優れたカシムが何故そんな事態に巻き込まれてしまったのか、周囲の人々は不思議に思っていたが、本人にとっては全て「直感」に従っての行動であった。




