ギルドマスター
「血塗れフランケン」が衝撃的な冒険者デビューをしたその日から、冒険者ギルドのギルドマスターであるアレキサンドリアは対応策に悩まされていた。
「冒険者登録を希望する者を拒んではならない」とするギルドの条文と、
その場に居た冒険者達やギルド職員からの「冒険者登録を取り消して欲しい」との涙ながらの訴えに板挟みになったからである。
B級北斗のメンバーから受けた報告により「血塗れフランケン」の実力を知ったアレキサンドリアとしては、強者の冒険者がギルドに滞在する事は歓迎したいところだったが、実際に「血塗れフランケン」の異常行為を見たギルド職員達の反発が想像以上に強かったのである。
「ギルドマスター!フランケンシュタイナーがE級になってパーティ希望したとしても誰も誘いませんよ!?その時怒りの矛先は私達ギルド職員に向かうのですよ!?」
会議は紛糾した。
アレキサンドリアは一人「ギルドの条文」を守る事を訴えていたが遂に折れた。
ギルド職員達が辞めたいと言い出したからである。
「わかった、そこまで言うなら対応策を取れ。だがいきなり冒険者登録の剥奪などとは言うなよ?一体誰がそれを血塗れフランケンに伝えるかで揉めるからな!要はF級に留めとけば良いのだろう?方法はお前達に任せる、ヒナコデス・フランケンシュタイナーをF級に留める対応策を取れ」
そうアレキサンドリアは職員達に伝えた。
確かに誰も冒険者登録の剥奪を「血塗れフランケン」に伝える事が出来ない。
職員達はギルドマスターの言葉に納得し、ヒナコデス・フランケンシュタイナーをF級に留める策を話し合った。
その話し合いは深夜まで続いた。
対応策として決まったのは「E級への昇格を薬草納品に切り替える」
「しばらくの間、F級クエストを薬草収集のみとする」と言う物であった。
この界隈は気候が良く、様々な植物が良く育っていたがそれ故に薬草が生える余地が少なく、人々が薬草を抜くとその間に他の植物が成長し日陰を作り薬草が枯れてしまうというサイクルを繰り返した結果、極度に薬草が少ない地域となっていたのである。
その為「薬草収集クエスト」とは言ってみれば「近辺地域の村々との交易クエスト」であり、異国人と思われる「血塗れフランケン」には不可能と思われたからである。
更に昇格条件も薬草300束に変更。これは薬草収集の名人でも一年は掛かりそうな設定であった。
決まった対応策を伝える役目を引き受ける羽目になる翌日の受付担当は、
「明後日を代わってあげるから」とのギルド職員の中で最も冒険者に人気があるヒルダの言葉に泣く泣く従った。
翌日「血塗れフランケン」がいつ来るか緊張しながら業務にあたっていた職員は「血塗れフランケン」が来なかった事に心から喜び、翌日久しぶりの休日を過ごす事ができた。




