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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
カミルの街・激闘編
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バイトン

パウル・フォン・ゼブル侯爵よりウェックス商会の破壊を命じられた暗殺者バイトンは、

彼の右腕であるモタンと共に後腐れのない仲間を金で雇い入れ、カミルの街の外で深夜が来るのを待っていた。

「深夜、闇に隠れ城壁から街へ潜入し、ウェックス商会の工場に火を放ち、

街が混乱している隙に撤退する!わかったな!成功報酬は一人金貨1枚!深夜までは此処で待機だ!」

モタンが今回仲間になった5人に作戦を説明していた、

バイトンはこう言った細かい所を任せられるモタンを頼もしく感じていた。

「いつもスマンな」

「気にするな、今回の山はデカイ、しばらくは遊んで暮らせそうだな」

そう言い合い二人が笑った時だった、何かが飛んで来る音が聞こえた。

『カッ』と小さな音がモタンの背を預けていた木に響く。

「何だ!?」

バイトンが木を確認すると木に小さな火が発火しており、その火が消えるところであった。

「遠方からのファイヤーアローなのか?」

どうやらファイヤーアローの攻撃らしいが意味がわからない、威力が無さすぎるのである。

「城壁からの攻撃らしいが...とりあえず場所を変えるぞ」

バイトンは用心深く移動する、しかし今度は移動しようとした方向の木にファイヤーアローが突き刺さる。

「此方の動きは判っているとの警告か、モタン!術者は確認出来るか!?」

「今やってる!」

モタンは遠眼鏡で城壁を確認する。

「あれは!魔術師マールン!生きる伝説が此方を攻撃しているぞ!!」

「チッ!厄介な相手だ、だがファイヤーアローの射程距離からは離れている森の奥へ一旦下がるぞ!」

そう命じたバイトンの目に信じられない光景が繰り広げられる。

城壁が光ったと思った瞬間、右腕であるモタンの片耳が吹き飛び地面が炸裂したのである。

「何!?」「グワッ!!」

バイトンの驚きの声とモタンの悲鳴が重なる。

「此処はマズイ!撤退する!!」

撤退しようとする方向へ再び飛んで来るファイヤーアロー。

「ギャ!!」

仲間の一人の太ももが光に削られる。

「クソ!嬲り殺しか!魔術師マールンやってくれる!!作戦は失敗だ!!全員ゼブル領へ帰還する!!」

「クッ、良いのか?」

モタンが痛みを堪えながらバイトンに尋ねる。

「どうやら此方の動きは見破られていたらしい、流石は生きる伝説だ。

これ以上無理をすれば命の保証が無い、今回がダメでも次で成功すれば良い。

ゼブル侯爵への謝罪は俺がする、だから今日は撤退しよう」

バイトンはモタンへそう言うと撤退を始めた。

(今回は此方の完敗で良い、だが次は無いぞマールン!!)

バイトンの心に魔術師マールンの名が刻まれた瞬間であった。

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