ジェイ
ジェイ
「まずは、体がなまってないか、お互い調べよう。
腕立て伏せを、千回だな。」
ふたりは、お互い横に並んで、伏せて、腕立て伏せの状態になり、頭をお互いに横よ向けて、向き合い、目を合わせた。
「ではいくぞ。・・・1、2、3」と、ジェイが数えながら始まった。
ふたりは、たまに、横を向いて見つめ合いながら、腕立て伏せをしていった。
そして、500回を超えた時、ジェイが言った。
「アイ、ふたりで、こういうの、懐かしいな。さいこうだな。あと500だ。」
「はい。」と、アイは答えて、また始めた。
1000回を終わったところで、ジェイは、その体勢からゆっくりと、逆立ちをして、前回転して、立ちあがった。
ふたりは、息切れもなかった。
昔どうりに、なんでもできる気になっていた、ふたりだった。
「じゃ、格闘術をやる?」
「それは、あとにしよう。
アイのことは、だいたいわかっているから、僕のことを話そう。」
「僕の親は、本当の親じゃないんだ。調べたら違ってて、父に聞いたら、ああ違うよって、答えたんで、拍子抜けしたよ。」
「戸籍上は、実の子供になってるんだ。上手くやったらしいよ。
今となっては、どっちでもいいことだけど、実の子として、育てる意味がなにかあったらしい。」
「親父さんの心に入れば、いいんじゃない。」
「そうだな。まだこの技が使えるようになって、親とは会ってないからね。
前の世界の親も思い出してるけど、会いたいとは思わない。こちらでの生みの親にもね。
育ててくれた今の親が一番だよ。父はすごい人だよ。」
「:父は、ぼくに、16までに、大学を卒業するぐらいの知識を持てと、小学に入る時に言ったんだ。
これには面食らったよ。何言ってんだろうとね。
でも、父は本気だったよ。家庭教師も付きっきりで、スポーツも剣道を、やらされた。これは、おもしろかったけどね。」