葬式7 佐尾堅智
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「そっか、その中の誰かは分からないか。俺は佐尾堅智だ。『サオちゃん』って呼んでくれてたんだけどな。因に惠美ちゃんにパフェを運んだウェイターは俺だぜ☆」
惠美
「ウェイターのサオちゃん??」
えーと……、頭の中で考えてみると、何だかそんな人が居たような気がして来た。
あー……、何か思い出して来たかも!
惠美
「……片耳にピアスをしていて、小麦色の肌で、白い歯が素敵だった、親切なお兄さん! 居ました! 克ちゃ──お兄ちゃんの大親友のサオちゃん!!」
そうだった!
すっかり忘れてたけど、克慈の同級生には“妹”って事にしてたんだった!
うっかり『克ちゃん』って言っちゃう所だったよ〜!
あー、克慈の大親友ってのはサオちゃんの“自称”だった。
克慈は『大親友じゃない!!』って言ってたし……。
惠美
「えと、今でも『サオちゃん』って呼んでも?」
堅智
「いいに決まってるだろ。大親友の克の可愛い妹ちゃんは特別だからな☆」
惠美
「有難う御座います(////)」
堅智
「はは、敬語なんか使わなくていいよ。言ったろ、克の妹ちゃんは特別だって」
惠美
「サオちゃん、有難う♪ ところで、喪服を着てるって事は、サオちゃんも此処で御葬式?」
堅智
「ああ、そうなんだ。仕事で世話になった人の御葬式に参加しようと思って来たんだけど、道に迷っちゃってね、この様(
ざま)さ」
惠美
「間に合わなかったんですね……。此処で御葬式って事は、蓉子の?」
堅智
「蓉子? 惠美ちゃん、蓉子さんの事を知ってるのかい?」
惠美
「蓉子と私はプライベートの親友なんです。蓉子の御葬式に参列したんです」
堅智
「プライベートの親友かぁ。蓉子さんと惠美ちゃんがねぇ。世間って本当に狭いんだな」
惠美
「蓉子は花屋さんだから、仕事は花関係?」
堅智
「まぁね。蓉子さんは凄い人だったよ。業界でも有名人だったしな。女性からは憧れの存在でさ、そんな蓉子さんと親友だなんて、惠美ちゃんも凄い子なんだな」
惠美
「ええっ?! 凄くなんか無いですよ~! 蓉子とは高校は違うけど同級生だったんです。趣味友って言うのかな。よく一緒に遊びにも行ってました」
堅智
「へぇ、趣味友だったの。俺も欲しいよ、親友。──ってか、確り敬語になってるんだけど? やっぱり惠美ちゃんは昔のまま初々しいね」
惠美
「えと、その『初々しい』って、いまいち分からないんだけど……。敬語になっちゃうと初々しいの?」
堅智
「ああ、ははっ。惠美ちゃんはさ、昔もそうだったよ。覚えて無いみたいだけどさ。最初はタメ口で話してたのに、敬語に戻っちゃうんだよな。何度も『敬語になってるよ』って言うのにさ。可笑しかったな」
惠美
「え〜、そんな事あったかな(////)」
堅智
「あったよ。で、惠美ちゃんは一人で来たのかい?」
惠美
「ううん、お兄ちゃんに乗せて来て貰ったよ。車の中で寝てるの」
堅智
「克も来てるのか?! 懐かしいな〜! あっ、もしかしてさっきの車の中に居るのか?」
惠美
「うん。寝ちゃってて……。携帯電話に掛けても起きてくれないの。だから、車に乗れなくて困ってたの」
堅智
「可愛い妹を車の外で何時間も立たせてるなんて、兄失格だな! サオちゃんに任せな。克の目を覚まさせてやるよ」
惠美
「本当?! ありがとー、サオちゃん♪ あっ、お兄ちゃんのアドレス知ってる?」
堅智
「変更してなければな。……、……、……、出ねぇな。もう一度だ。……、……、……おっ、やっと出たな! 克、久し振りだな☆ って、おいっ──克の野郎、切りやがった……」
惠美
「起きてくれたんだ! サオちゃん、ありがとね!!
堅智さんに御礼を言うと、克慈の車に向かって走った。
今なら車のドアを開けて貰えると思う。
惠美
「──克ちゃん! ドア、開けてよ!」
私はドアを叩く。
さっきまで寝ていた克慈は、やっと私に気付いてくれた。
克慈は面倒臭そうに車のドアを開けてくれた。
寝起きだからかな。
私が車の中に入り、ドアを閉めようとしたら、サオちゃんが来た。
惠美
「サオちゃん!? どうしたの?」
堅智
「久し振りに克と話したくてさ。克、俺も車に乗せてくれよ」
克慈
「佐尾……。駄目に決まってるだろ」
やっぱり寝起きで機嫌が悪いみたい。
堅智
「頼むよ。俺さ、タクシーで帰らないといけなくてさ〜」
克慈
「帰れ、タクシーで。惠美、ドア閉めて」
惠美
「えっ、でも! 送ってあげようよ。最寄り駅までとかならいいんじゃないの? 克──お兄ちゃんの親友なんでしょ?」
克慈
「……」
堅智
「惠美ちゃん! 克とは大違いだな〜。優しい惠美ちゃんに惚れちゃうぜ☆」
惠美
「……、えーと……」
こういう時って、なんて返したらいいんだろう??
克慈
「ドアを閉めろ」
惠美
「はっはひっ!!」
こっわ〜!
寝起きの悪い克慈、こっわ〜!!
返事をした私の声は裏返えってしまった。
車のドアを閉めようとしたら、サオちゃんが間髪入れずに手を入れて来て、私はドアを閉めれなかった。
しかもサオちゃんは、そのまま後部座席のロックを外すと、ドアを開けて、車内に滑り込んで来た。
其処までの動作が手早くて、私は唖然としてしまった。
堅智
「大親友のピンチなんだぜ。克、駅まで頼むぜ☆」
克慈
「佐尾……。着くまで黙ってろよ」
明らかに不機嫌な克慈は、サオちゃんを睨んだけど、諦めたのか車を発進させた。




