葬式4 教会
キリスト教の御葬式には縁が無いので、想像になります。
とうとう蓉子の御葬式の日が来てしまった。
私は克慈の車に乗せて貰い、斎場へ向かった。
目的地に到着してみて吃驚した。
だって、一般的な斎場じゃなくて教会だったんだもん!!
惠美
「……蓉子の家ってキリシタンだったんだ。……私、キリスト教の御葬式は初めてだよ。……何していいのか分かんないね」
克慈
「惠美……。連絡は来たんでしょ? その時に『キリスト教の葬儀です』って言われなかった?」
惠美
「え~、言われてな……言われてたかも……??」
克慈
「連絡の内容は正確に聞かないと自分が困るんだよ」
惠美
「は〜い……。でもさ、和装でもいいなんて吃驚だよね。喪服じゃないと駄目なのかと思ったけど……」
克慈
「此処が日本だからでしょ。行くよ」
惠美
「はーい。……へえ、今日は告別式なんだね」
克慈
「前夜式は近親者の集まりだからね」
キリスト教の葬儀は、死者を神様に委ねる為のもで、故人が御許(神様のそば)に召されるようにと祈る事が中心になるらしい。
祈りはすべて神様に捧げられるみたい。
キリスト教にはカトリックとプロテスタントに分かれているみたいで、葬儀の進め方とかが微妙に違うらしいの。
惠美
「克ちゃん、教会だから神父様とかシスターって見れるかな?」
克慈
「この場合は牧師でしょ。集会の代表者(司式者)かも知れないし」
惠美
「集会って?」
克慈
「知らなくていいよ。惠美、香典は用意してるでしょ?」
惠美
「勿論、持って来たよ!」
克慈
「見せてみ。表書きは『御花料』にしてるだろうね?」
惠美
「……えっ?」
克慈
「……事前に調べときなよ。検索すれば出るからさ」
バッグから出した香典袋を私から引ったくった克慈は、『御花料』と書かれた香典袋を取り出した。
私の用意していた香典袋の封を開けると、中に入れていたお金を『御花料』と書かれた香典袋に入れ換えた。
克慈
「ほら、これで蓉子ちゃんの御遺族から笑われないで済むだろ。俺に恥を掻かせない程度の知識を付けて欲しい限りだね」
惠美
「だったら家を出る前に教えてよ〜! 教会の近くで言うなんて意地悪だよ!! 車の中でだって教えてくれたって……」
克慈
「ふぅん? 自分の無知さを棚に上げて俺を責めるワケね。何様?」
惠美
「惠美様ですが! それが何なの!」
克慈
「自分に『様』付けするなんてね……。惠美はやっぱり痛い子だね」
惠美
「教会の前で痛い子って言わないでよ!」
克慈
「ああ、ごめん。神様にお願いしたら少しはマシになるかも知れないからね?」
惠美
「ちょっ、何で疑問系なの?!」
克慈
「ほら、中に入るよ」
惠美
「はーい……」
克慈に手招きされ、渋々と歩く。
コイツは何時も私に酷い事を平然と言うんだ!
それが当然の権利みたいに!!
ちょっと年上だからって、ムカつくよっ!!
教会の御葬式なんて初めて体験する事だから、教会の中に入っても、何処に座っていいのか分からない。
取敢ず、克慈の後ろを歩く。
分かんないから開き直っちゃえ!
何か聞かれても答えられないから、物知りな克慈兄さんに任せちゃおう☆
克慈
「惠美、付き添いの俺に全部させる気じゃないよね? 惠美は其処まで無能な子じゃ無いよね?」
惠美
「え゛……!?」
克慈
「図星か。蓉子ちゃんの友人は惠美でしょ。分からない事は俺が教えてあげるから、自分から覚えなよ」
惠美
「克ちゃん……」
克慈
「ほら、ちゃんと俺の前を歩きなよ」
腕を掴まれた私は克慈の前を歩かされた。
えーーーっ、どうしたらいいんだろう??
もう、意地悪っ!!
どうやら蓉子の家は、キリスト教のプロテスタントらしい。
告別式はプロテスタント式でされるみたい。
受付でプログラムを渡された次いでに座る場所も教えて貰った。
粛々と告別式は行われた。
内容は、讃美歌の斉唱,聖書の朗読,牧師の説教,祈祷(祈り),遺族代表の挨拶,献花……等。
告別式が終わると、故人を偲んで簡単な会食が行われたの。
蓉子の友人として参加したけど、知り合いは誰も居ない。
プライベートで親しい友人は私だけみたい。
その代わり業界関係の友人は沢山居て……緊張し過ぎて喉が渇く。
私は御遺族に挨拶を済ませて、早々に立ち去る事にした。
だってね、克慈ったらさ、『俺は惠美の付き添い。蓉子ちゃんの友人じゃないからね』って言って、車へ寝に戻ったんだよ!!
何て薄情な奴なの!!
克慈が居てくれたら、もう少し頑張れたかも知れないのにっ!!
教会を出て、駐車場に停めてある克慈の車に向かう。
善朋、来なかったなぁ……。
会えると思って期待してたのにぃ〜。
まぁね、善朋は蓉子と然程も親しくないし、友人じゃないし、調理関係の仕事に就いてるし、急な御葬式に出席するのは難しいのかも知れないね。
善朋には後でメールしとこう。
今は克慈だよ。




