克慈宅6 部屋
克慈
「惠美、何してたの? ゴミ捨てに行くだけで何分かけてるの?」
惠美
「別にいいじゃん! 文句言うなら、次から自分で行きなよ!! 私もう、捨てに行かないから!!」
克慈
「……悪かったよ、捨てに行ってくれて有難う」
惠美
「──う、うん。どう致しまして?」
あらやだ、何で素直なの?!
なんか、恐いですよ?
克慈
「惠美、座りなよ」
惠美
「うん……」
自分のパソコンの前に座った私は、益々克慈の様子が変だと思った。
惠美
「克ちゃん、どうしたの? なんか、元気が無いみたいだけど……」
克慈
「そう? なら、惠美が作ったホットケーキが当たったのかもね」
惠美
「はぁ?! 私のホットケーキの所為にするの?!」
克慈
「違うなら料理の方かもね」
惠美
「私の横取りして食べちゃうから罰が当たったんだよ! 食いしん坊だから!!」
克慈
「俺は惠美程、食いしん坊じゃないんだけどね」
惠美
「……ムカつくな、本当に!」
克慈
「惠美は行くんでしょ? 蓉子ちゃんの葬式に」
惠美
「……うん。でも場所が判らなくて……」
克慈
「連れて行ってあげるよ。何処でするか連絡が来たら教えなよ」
私は留守電に入っていた伝言を克慈に教えた。
克慈
「ふぅん、告別式は明後日か。明日中に調べておくよ。惠美は安心して休んだらいいよ」
惠美
「……うん、有難う」
克慈
「そろそろ寝た方がいいかもね。惠美は寝坊の天才だからさ」
惠美
「誰がですかっ!! 大事な友達の御葬式に寝坊なんてしませんから!」
克慈
「そう? なら、明後日は俺が起こしに行かなくてもいいんだね?」
惠美
「勿論です! ちゃんと一人で起きてみせま〜す!!」
克慈
「だったらいいけどね。一階の寝室使いなよ。パソコンは其のまま電源切って行きな」
惠美
「私が一階に降りたからって、パソコン勝手に立ち上げたりしないでよね!」
克慈
「俺が惠美みたいに手癖の悪い事するわけ無いでしょ」
惠美
「私だって手癖なんて悪くないよ! 寝る前から失礼な事ばっかり言わないでよね!」
克慈
「失礼ねぇ? 夜分に大声で叫んでる惠美の方が十分近所迷惑だと思うけど?」
惠美
「克ちゃんが変な事ばっかり言うからでしょ〜! 私だってむやみに大きな声とか出したくないよ」
克慈
「ふぅん、俺の所為にするんだ? 俺への恩を仇で返すわけか、惠美は薄情者だね」
惠美
「な゛っ?! 薄情なのは私じゃなくて克ちゃんの方でしょー!! ──酷いよ! 他の女性には優しいくせに、私にばっかり意地悪してさっ!! 克ちゃんなんて嫌いだよっ!! バーカ、バーカ、バーーーカっ!!」
克慈
「お風呂に入ってから寝なよ」
惠美
「言われなくても入ります〜〜〜だっ! ベェ〜!」
私は克慈に目一杯、反抗とアッカンベーをしてから着替えの入ったバッグを持って克慈の部屋を出た。
ドアは大きな音が出るように思いっ切り閉めてやった。




