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☀ イストリゲ~ム  作者: 雪*苺
   【 葬式 】
60/156

葬式1 葬儀場

 

同僚A

「薗野さん、気を確り持ってね……」

 

惠美

「……有難う御座います」

 

同僚E

「一週間前に友達を亡くしたばかりなのにね……」


 

 遺さんの御葬式に来ていた私は、上司の御葬式に来ていた同僚で、先輩でもあるA美さん,E代さんに声を掛けられて慰められた。

 

 亡くなってしまった遺さんの遺影を見ると涙が出て来てしまう。

 

 私は遺影が見えない場所へ移動しようと、同僚の先輩達から少し離れた。


 

同僚C

「……でもさ、雛さんの彼女候補が薗野さんじゃなくて、ホッとしたよ」

 

同僚B

「あっ、だよな。俺も思った! 薗野さん、やけに雛さんと仲良かったから、不安だったんだよ」

 

A美

「え〜っ、何の話?」

 

同僚B

「雛さんの女性関係の話だよ。━━って、こんな日にする話じゃないけどな」

 

E代

「気になるじゃないの、話しちゃいなさいよ〜」

 

A美

「仲間内で内緒話なんて許さないんだからね!」

 

同僚C

「でも、なぁ?」

 

同僚B

「あぁ、薗野さんも居るしな……」

 

A美

「薗野さんに聞かれちゃマズイ話なの?」

 

同僚B

「まあ……、なあ?」

 

同僚C

「だよな……。ほら、薗野さん、雛さんと仲良かったし……、こんな事を知ったら余計にショックで落ち込んだりしそうだしなぁ?」

 

同僚B

「ああ、薗野さんには……なぁ?」

 

E代

「言わないから話してよ」

 

A美

「そうよ、気になり過ぎて眠れないわよ!」

 

同僚C

「……分かったよ。でも本当に薗野さんには内緒にしてくれよ」

 

A美&E代

「「勿論よ」」

 

同僚C

「実はな━━」


 

 あれ?

 

 皆で集まって何の話をしてるんだろう?

 

 遺さんの話かな?


 

「薗野さん、大丈夫?」

 

惠美

「克ちゃ━━、瀬戸瀬さん……大丈夫、です……」

 

克慈

「そうは見えない。顔色が悪いよ」

 

惠美

「……」

 

克慈

「こっち来て」

 

惠美

「ちょっ、なに?!」


 

 私は克慈に人気ひとけの無い場所へ連れて行かれた。


 

惠美

「……瀬戸瀬さん?」


 

 誰が聞いてるか分からないから、克慈の名前を職場と同様に苗字で呼ぶ。



克慈

「これ、食べなよ」


 

 克慈が私にくれたのは、一口チョコレートだった。

 

 何でチョコレートなのか分からないけど、私は貰ったチョコレートを食べた。

 

 甘い味が口に広がって、少しだけ気持ちが落ち着いた。


 

惠美

「瀬戸瀬さん、有難う……。ちょっとだけど落ち着いた」

 

克慈

「俺は行くけど、無理しないように。先に車に戻って休んでていいから」

 

惠美

「……ううん、私も戻るよ。皆が居るし……」


 

 元の場所に戻ると、同僚のE代さんが私に声を掛けてくれた。

 

 どうしたんだろう? 

 

 私を捜していたみたい。


 

惠美

「E代さん、どうかされたんですか?」

 

E代

「薗ちゃん! 今いい? 大事な話があるの! ちょっと、こっちに来て!」

 

惠美

「大事な話って何ですか?? どんな話ですか?」


 

 E代さんってば何だろう?

 

 私はE代さんに腕を掴まれたかと思うと強く引っ張られた。


 

惠美

「あの、E代さん?」

 

E代

「薗ちゃん、本っ当に良かったわ!」

 

惠美

「はい? 『良かった』って何がですか?」


 

 E代さん、何かえらい輝いて見えるんだけど……。

 

 目がキラッキラッと輝いてるんですけど!

 

 E代さんは私に何を言いたいんだろう?

 

 私に言いたくてウズウズしてるみたいだし……。


 

E代

「━━兎に角、雛さんとデートした相手が薗ちゃんでなくて良かったわ〜! 昼休みとか仲良く食べに行ってたから、もしかしたら雛さんのデートの相手は薗ちゃんなんじゃないかって、気が気じゃ無かったんだけど……。薗ちゃん以外にも目を付けていた子が居たのね……。薗ちゃんじゃ無かったんだから、ホッとしたわ〜」

 

惠美

「……あの、遺━━雛上司が亡くなったのは……」

 

E代

「あら、聞いてなかった? デートスポットでも有名なサービスエリアなのよ。ショッピングと遊園地が楽しめるって話題の。薗ちゃん知らない? 行った事は無い? 雛さんに誘われて行った子……、誰だか分からないけど可哀想よね……。お気の毒だわ……」

 

惠美

「……そう、ですね……」


 

 E代さんは私に雛上司の事を詳しく教えてくれた。

 

 何か複雑な気分だな……。

 

 ……、私はE代さんの話をどう受け止めたらいいんだろう?

 

 遺さんは仕事に対しても、人間関係に対しても、真面目だったよ?

 

 誰に対しても分け隔てなく親切で、思い遣りもあって、優しくて本当に良い人で……。

 

 例えE代さんの話が事実だとしても、私は『はい、そうですか』って素直に信じる事は出来ないよ……。

 

 私に見せてくれていた遺さんの笑顔や優しさは何だったの?

 

 何の為の笑顔だったの?

 

 本当に私が次の被害者になっていたの??


 

惠美

「……E代さん、あの、雛上司の事、教えて下さって有難う御座います……」

 

E代

「いいのよ。雛さんよりも素敵な人、きっと見付かるからね。気を確りね」


 

 ……、言うだけ言うとE子さんはスッキリした顔で行ってしまった。

 

 “遺さんとデートをしていたのは私です”とは言い出せず……。

 

 皆、遺さんが彼女候補の……私じゃない女性とデートをしに行っていた━━と思っているみたい。

 

 遺さんは私じゃない女性と事故に遭って━━と。

 

 皆、私が遺さんのデート相手なの知らないんだな。

 

 あっ、そう言えば……遺さんとデートするとか誰にも言って無かったなぁ……。

 

 知らなくて当然か。

 

 遺さんも私とデートする事は、誰にも話して無いみたいだったし……、遺さんなりの私への配慮だったのかな?

 

 職場恋愛なんてした事が無いから分からないけど。

 

 ……あれれんれ〜ぇ、あ〜れあれ?

 

 それだったら、どうして克慈は知っていたんだろう?

 

 どうやって私が遺さんとデートするって知ったの??

 

 ……、『実は俺、超能力なんだよね』とか言わないよね?

 

 そんな漫画やドラマみたいな仰天告白なんてある訳が……無い無い!!

 

 でも、どうして知ったのかは知りたいかも。

 

 ……、……、……って、聞いても教えてくれるワケないか〜……。

 

 E代さんが教えてくれた遺さんの女性関係の事を克慈は知ってるのかな?


 まあ、知ってたって、興味無いかも知れないね。

 

 克慈は私には優しく無いから、教えてくれ無い気がするよ。

 

 ダメ元で一応は聞いてみようかな……。

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