葬式4 駐車場
善朋の車(八人乗り)に乗り、皆の車を停めている駐車場へ向かった。
惠美
「蓉子、大丈夫? 一人で帰れる?」
蓉子
「……うん。ありがと、惠美。……明日、仕事だし、帰らないとだから……」
惠美
「蓉子……、気を付けてね」
蓉子
「ありがと……。善朋君もありがとね……」
善朋の車から降りた蓉子は、心配する私達(主に善朋と私だけどね)に無理に笑うと自分の車に乗って帰って行った。
因に蓉子の仕事は、お花屋さん。
蓉子の実家は“花屋敷”と呼ばれる有名なお花屋さんで、蓉子は大事な跡取り娘なんです。
蓉子自身も資格を持っていて、園芸雑誌に紹介されたりしている。
プライベートではオタ女だけど、実は凄い子なのです。
私とは大違いだよ。
惠美
「朋ちゃんも元気、出してね……」
善朋
「うん……、惠美ちゃんもね」
惠美
「またね、朋ちゃん!」
善朋
「じゃあ……」
車を発進させた善朋を克慈,智沙と見送る。
智沙も自分の車に向かって歩いて行くけど、克慈を名残惜しそうに見ている。
智沙……、本当に克慈が好きなんだな。
克慈は智沙をどう思ってるんだろう?
克慈
「惠美、先に乗ってて。ほら、鍵ね」
惠美
「え? ちょっ、克ちゃん?!」
車の鍵を私に渡した克慈は、何故か智沙の元へ歩いて行く。
智沙に用事でもあるのかな?
……もしかして、智沙と付き合う事にしたとか?
でもでも、克慈は『交際してる彼女が居る』って言ってたし!
『智沙ちゃんには断っといて』って言ってたし!
付き合うとかしないよね??
……克慈、ちゃんと彼女が居たんだ……。
彼女が居るのに智沙と浮気とかしないよね?
……、ちゃんと克慈を卒業しないといけないのに、なかなか出来ない。
どうしたら克慈と距離を置く事が出来るんだろう?
克慈
「お待たせ。……惠美、何で後ろに乗ってるの? 前に乗りなよ」
惠美
「……私は後ろでいいから」
克慈
「駄目でしょ。助手席に座らないと運転しないよ」
惠美
「なっ、何でそんな意地悪、言うの?!」
克慈
「意地悪を言ってるのは惠美の方でしょ? ほら早く。でないと家に着く時間が遅くなるよ。ほら惠美」
克慈は後部座席のドアを開け、強引に私を後部座席から引き摺り出すと、助手席に私を押し込むように座らせた。
……この助手席はもう、私だけが座る席じゃないんだなぁ……。




