遠出9 悪友
克慈の後に続き、寺社の中に入ると既に誰かが居た。
床に横に寝そべって、本を読んでいるのは誰?
克慈
「木土か。先輩は?」
克慈に木土と呼ばれた人が顔を上げる。
木土
「おぉ、克じゃん。久し振り〜」
克慈と知り合いらしい木土さんは、ニカッと笑いながら起き上がった。
克慈と親し気に話す木土さんの本名は、木土礼仁。
克慈と木土さん曰く、同じ男子校の同級生だったらしい。
そう、克慈は近場の男子校に通っていたのです。
次いでに克慈の本名は、瀬戸瀬克慈です。
礼仁
「克、後ろの子は? 初見だよな?」
克慈
「ん? あぁ、俺の」
はぁぁぁあああん?
“俺の”ですと?
なに言ってくれちゃってんの、この人?!
惠美
「ちょっと、克ちゃん?!『俺の』って何?!」
克慈
「惠美、いいから」
惠美
「何がいいの!?」
礼仁
「ふ〜ん? 惠美ちゃんって言うんだ? 宜しくな☆」
惠美
「あっ、初めまして。薗野惠美です。此方こそ宜しくお願いします」
初対面で、さも当然の如く名前呼びされた!!
なんか馴れ馴れしい人だ!
克慈
「木土、先輩は?」
礼仁
「相変わらず、苗字呼びかよ。名前で呼ぼうぜ、克〜。俺らの仲だろ?」
克慈
「いいから。先輩は?」
礼仁
「……留守だよ、留守。残念だったな。何しに来たんだ?」
克慈
「別に。留守ならいい。惠美、帰るよ」
惠美
「え? 帰るって、もう?」
克慈
「ああ、居ないからね」
惠美
「えぇ、何それぇ〜。せっかく来たのにぃ〜」
……まぁ、私は助手席に座ってるだけだし、運転するのは克慈だし、別にいいんですけどね。
惠美
「克ちゃん、何の先輩なの? 男子校の先輩??」
礼仁
「仕事の先輩だよ、惠美ちゃん」
……やっぱり馴れ馴れしい。
この人、ちょっと苦手かも〜。
惠美
「仕事の先輩……ですか? でも、克ちゃんの仕事場は━━」
礼仁
「高校時代のだよ、惠美ちゃん。俺と克のバイト先の先輩さ」
惠美
「バイト先の? 克ちゃん、バイトしてたんだ?」
克慈
「……まあね」
礼仁
「免許と車の為だよな〜」
惠美
「そうだったんだ……」
克慈
「俺の事はいい。帰るよ」
克慈は私の手首を掴んだまま靴を履くと、どう見てもお寺を出ようとしている。
私も慌てて靴を履いて━━、克慈に手首を掴まれてるから、連れて行かれる感じになっちゃうな。
バイトの先輩か。
どんな人なんだろう、会いたかったな。
━━ってか、克慈って何のバイトしてたんだろう?
木土さんは『車と免許の為だよな』って言ってたし、気になっちゃうな〜。
思いきって聞いてみちゃおうかな〜。
……嫌そうな顔してたし、聞いても教えてくれ無さそうな気がするんですけどね。




