異変6 車待ち
蓉子とも別れた私は、克慈の携帯に電話した。
克慈が携帯を職場に忘れて帰って来た━━と言うのは嘘で~~~す。
サーセン。
克慈は何時も携帯を肌身離さず携帯してくれている。
克慈が携帯を常備する理由は、私が何時でも安心して連絡が出来る様に、私からの連絡を直ぐ受け取れるようにらしい。
どんだけ私優先なんですか?
有難いを通り越して尊敬してしまいますよ!
本当に克慈には感謝、感謝のオンパレードです。
感謝の気持ちとして、奮発して少しランクの高いケーキを買って帰ろうかな。
いえ、買わせて頂きまっす!!
克慈が来る迄の空き時間を使い、ちょいランクの高いケーキを買った。
ふふふっ、実は克慈は隠れ甘党だったりするんです!
幸裕兄も甘党だったんだよね……。
━━ってか、私の家族は私以外は甘党だったりする。
私も甘いのは好きだし、食べるんだけど、家族程の甘党ではないのだ。
あっ、克慈の車が見えた。
分かり易くて、目立つ青色の車。
克慈は青色が好きなのかな?
青色を見ると克慈が浮かんで来てしまう程、私の中では“克慈=青色”となっている。
今年のバレンタインは、青色の車チョコを渡したんだよね。
市販チョコを渡すのは、私なりの配慮だったりする。
好きな人には、赤いハートの入った市販チョコを渡したい。
手作りチョコもいいんだけど、市販チョコを買うより出費が多くなっちゃうんだよね。
ケチじゃないよ!
安い板チョコを使った手作りチョコよりも市販チョコの方が美味しいし♪
━━って言うか、八〇円の板チョコを溶かして固めて作ったチョコの何が良いの?
貰うなら断然、市販チョコ!!
克慈の車が私の前に停まった。
惠美
「克ちゃん、来てくれて有難う!」
克慈
「いいよ。楽しかった?」
惠美
「うん、まあ、そこそこかな」
克慈
「ふぅん……、荷物は後ろでいい?」
惠美
「うん、有難う」
克慈は私の荷物を後部座席に置いてくれる。
克慈
「それはいいの?」
惠美
「あ、うん。これは私が持ってる」
克慈
「そう。……で、それは何なの?」
気になるのかな?
……と言うか、どう見てもケーキ屋さんの箱だって分かるのに何で聞くかな?
惠美
「何だと思う? ふふふ、家に着く迄は秘密〜! 知りたい?」
普段から私に意地悪ばかり言う克慈に対して、意地悪を言ってみる。
克慈
「別に。ほら、乗って」
後部座席のドアを閉めた克慈は運転席に座る。
私は慌てて助手席のドアを開けたが、座るのに戸惑った。
……えと、どうすべきなのかな?
今迄は当たり前に助手席に座ってたけど……、後部座席に座るべきなのかな?
克慈
「惠美、何してるの? 乗って」
惠美
「あ……うん、ごめん」
迷った挙げ句、私は後部座席のドアに手を伸ばした。
ドアを開けたら私の気の所為か、克慈に恐い目で睨まれた気がした。
惠美
「な、なに……克ちゃん?」
克慈
「それは俺の台詞。前に乗りなよ」
惠美
「え、でも……いいの?」
克慈
「何が?」
惠美
「だって、ほら……、助手席って彼女が座る席じゃない? 私、克ちゃんの彼女じゃないし……。座るなら後部座席の方がいいかなって……思ったりして……」
克慈
「いいから、前乗って」
克慈の声は普段通りなのに、苛々してるのが分かる。
どっちに乗るべきか迷っていると、痺れを切らしたのか克慈が車から降りて、私の元まで来た。
惠美
「克ちゃん?」
克慈
「歩いて帰るつもりなら俺は一人で帰るけど、いい?」
惠美
「えっ?! 歩いてなんて帰れないよ! 何でそんな意地悪ばっか言うの!」
克慈
「言ってないでしょ。乗るの、乗らないの?」
惠美
「の、乗ります! 帰りたいです!!」
克慈
「なら早く乗って」
克慈は助手席のドアを開けると私を促す。
惠美
「……ねぇ、本当にいいの? 助手席って彼女の特等席じゃないの?」
克慈
「未だ言うの? 今更、なに言ってるの。それ誰に吹き込まれた?」
惠美
「吹き込まれてないし。普通はそうなんでしょ?」
克慈
「誰が言ったの? いいから座りなよ」
私は克慈に助手席へ押し込まれた。




