克慈宅4 食前
克慈が二階から降りて来た。
克慈
「ふぅん、時間内に出来たんだ。えらい、えらい」
なんて言いながら、克慈は私の頭に手を置くとワシャワシャして、私の髪をグシャグシャにしやがる。
マジで止めて欲しい。
絶っ対に克慈の弱点をゲットしてやるんだから!!
今に見てなさいよ、『ぎゃふん!』と言わせてやるんだからね!!
惠美
「当然でしょ! 頑張ったんだからね! 遠慮しないで私を拝んでもいいよ!! 寧ろ、拝んでからお食べよ!!」
克慈
「なんの真似してるの? 某漫画の真似とかしなくていいから。コロッケと庵かけオムライスか……」
惠美
「えっへん! どうよ、二時間掛からずに作ったんだよ! 私の自信作!!」
克慈
「……自信作ね。ちゃんと味見はしたよね?」
惠美
「は? 味見? するわけ無いじゃん。食べるの克ちゃんだし」
克慈
「……」
克慈は無言でズボンのポケットに手を入れた。
徐にポケットから出した克慈の手には──。
克慈
「あって良かったよ」
胃薬だ。
どう見ても胃薬。
まごう方なく胃薬。
う〜ん……、やっぱり胃薬。
惠美
「胃薬を飲むな〜〜〜〜!!!! 何で胃薬なんか持ってんの?! そんなに私の料理が信用出来ないの?! 酷いよっ! 作らせといて酷い扱いだよっ!!」
克慈
「……、味見してないんでしょ? 俺が倒れたら困るの惠美でしょ」
惠美
「何でよ! 何で私が困るの?!」
克慈
「仕事の通勤。バス通勤したいの? 明日は土砂降りらしいけど? 土砂降りの中、バス通勤がしたいなら別にいいけど。俺は胃薬を飲まないで食べるよ」
惠美
「え゛?! 明日って土砂降りなの?? ──飲んじゃって下さい!! じゃんじゃん気の済むまで、ガボガボと飲んじゃって下さい!!」
朝から土砂降りの中、バス通勤なんてしたくないよ〜。
背に腹は変えられ無いから、胃薬を飲むくらいは大目にみようじゃないの!!
私ってば寛大だよね!!
克慈
「なら、遠慮なく飲むけど」
克慈はニャッと嫌味な笑い方をしてから胃薬を飲んだ。
ムカつくよ!!!!




