弱虫の再恋-太陽とのひと時
皆様、初めまして。かちょさんです。
トラウマを抱えた高校生と、クラスの人気者。
本来なら接点のない二人、放課後の教室から始まる少し不器用な恋の物語です。
トラウマを克服しようとする零君のこれからも、注目していただけると幸いです。
少しでも楽しんでいただけると嬉しいです!
街はいつでも、様々な誰かの恋の色を纏っている。
甘くピンク色の恋、赤く情熱に満ちた恋、それらとは相反するような未練たらしいグレーのような恋。
行き交う恋人たちの数だけ、その人たちにとっての世界と色がある。
じゃあ、僕にとってーーーーー佐山 零の恋は何色なのだろう。
きっと、誰の気にも留められない、透明に近い弱弱しい青だろう。
視線の先にはいつも、彼女がいる…。
トラウマを抱え女の人との関りを避けていた僕が一目惚れをした初恋の人だ。
「何それ!面白すぎでしょ!!」
冬、高校の放課後、賑やかな夕暮れの教室 オレンジの光をいっぱいに浴びた彼女ーーーーー長谷川 未来の弾けたような笑い声がすべての音をかき消すように僕の鼓膜を心地よくジャックした。
窓の外から吹き込む冷たい風にたなびくつややかな髪。無邪気に笑い、太陽のように明るく、嬉しそうにする彼女の姿に自然と僕も口角が上がる。
僕は口角が上がったことに気づき、急いで口を隠す。
(危ない、きも過ぎるな僕…何の関係値もないのに彼女の笑顔で浮かれるなんて完全に不審者じゃないか…)
そうやって、僕特有のネガティブ一人反省会が始まった。
(誰かに見られちゃったかな、きもいとか思われたらどうしよう、ああ、なんでにやけたんだよ僕!)と、考えれば考えるほど心は深く深く沈んでいく。
自分の世界に完全に入り込んで頭の中で嫌なことを反芻してしまい、関係のない昔の嫌な記憶も思い出し机に向かってため息をつき突っ伏す。
僕の机が
トントン
と叩かれ、その振動で、ハッと我に返り勢いよく頭を上げてしまう。
振り上げた僕の頭が机を叩いた誰かの頭に当たり、ゴンと鈍い音をたてる。
「イッツ~……ご、ごめん!何か用かな!」
突然頭を強打したので目を開けることができず誰か判別はできなかったが、とりあえず謝罪して要件を聞く。
(何の用だろう…やっぱみられてたのかな…。)
じわりとにじんだ涙を瞬きで素早く追い出す。ようやく視界が鮮明になってきた。
目の前にはおでこを押さえ「つう~………」と声にならない声をあげている人物が映りこんだ。
「……………………え?」
間の抜けた声が出てしまったと思い急いで口を紡ぐ。恥ずかしくなり体温が上がる。
「……いったぁい…頭すっごい硬いじゃん、君ぃ~…」
涙目で僕を睨みつけているが、口元は笑っている。
見覚えのある姿だ。先ほどまで見とれていた姿が目の前にあった。
そこにあったのは、クラスの太陽 長谷川 未来だった。
「あ、あのぉ…何の用かな…未来さん」
恥ずかしさと衝撃をごまかすように口を開く。自分でも声が震えているのが分かる。
「ん?名前覚えてくれてるんだ!感激ぃ~!いやぁ、零君、私の顔見て、急にうつむいてぶつぶつ言い始めたからどうしたんだろうな~と思って!」
最悪だ。全部見られていた上に、なぜか僕は声が漏れてしまっていたらしい。
この数分の出来事をなかったことにできたらと素直に思った。
「ばれてたんだね…でも僕は声に出していた覚えはないんだけど、未来さんは心でも読めるのかな?ハハハ…」
「…零君って案外面白いこと言うんだね!なんかイメージと違ったよ、これからはテレパシー少女未来ちゃんとして生きてこうかな~」
と言って彼女は笑った。面白いことを言った覚えはないがどうやら彼女はツボがかなり浅いらしい。
「んで?何をぶつぶつ言ってたの~?」
「ああ、いや、えっとその…ほら!髪!枯れ葉、ついてるよって伝えたかったんだけど…今まで話したことなかったからさー…言いづらくって…」
髪についた枯れ葉を指さしながら言う。我ながら無理のあるいいわけだなと苦笑する。
「あ!ほんとだあ~!マジありがと~、普通に気づかなかったよ~!帰る前に気づけて良かったよ~」
「ど、どういたしまして」
何故かうまくごまかせたようだ、心の中でふぅと溜息をつく。
僕の席の前に彼女が座り、話を続ける。
目が合っていしまい、周囲に聞こえるのではないかと思うほど心臓が高鳴る。
「あ、そうだそうだ!零君さ休日とかって何してるのさ!」
話が続くとは思わず、一瞬返答が遅れる。
「休日…休日か…何をしてるのかって言われると難しいね」
「まあ、たしかにね~、こういうのって聞かれると結構返答困るよね~」
「うん。でも最近はスイーツ巡りとか、食べ歩きとかそういうのばっかかな?外に出ない日は音楽とか聞いたりしてるかな」
「え!何それめっちゃ乙女じゃん!零君かわいいとこあんじゃ~ん、最近はどこ行ったの?あ!音楽は何を聞くの~?」
彼女はマシンガントーカーのようだ。にやにやしながら話す彼女に不思議と悪い気はしなかった。
「ちょっと馬鹿にしてる?最近は近所のスイパラ……かな、音楽はかちょんofficialの曲をよく聞くかな」
「あ~!あそこのスイパラね!私もよくそこ行くんだよねぇ、いいよねぇ、スイーツ…私大好きだよ!
あ、そうだ!また今度さ、一緒に行こうよ!!友達もつれてさ!」
突然の提案に一瞬僕の中で時が止まった。聞き間違いかと思って今までの会話を振り返る。
うん、聞き間違いではないようだ。あと何故か音楽の話が流されたな…。とか考えて口を開く。
「い、い、一緒に?ぼ、僕はいいけどさ、ほ、ほら!僕ら知り合ったばっかじゃん?そうやって遊ぶには早いというかなんというか、み、未来さんの友達のこともなんも、し、知らないし!」
緊張で、口がうまく回らないし、声も裏返ってしまった。恥ずかしい限りだ。
笑いながら首を傾げて彼女が言う。
「なぁに、その反応!もしかして嫌なの~?」
その言葉をきいてうつむきながら言う。
「いや…い、いき、行きたいです…」
「ふふ~ん、やっぱ零君はかわいいところありますな~、照れちゃった?なーんてね~、じゃ、連絡先交換しようか!」
んっといいながら彼女がスマホを差し出す。それに呼応するように僕の心臓が余計に高鳴る。
「ほら!スマホだ~して!遊びに行くのに連絡先ないと不便でしょ~?」
「う、うん、たしかに…」
いまれるがまま連絡先を交換する。僕の連絡先に彼女が追加されたと思うと、また口角が上がりそうになる。
「猫のアイコンじゃん!やっぱ、零君かわいいね~」
「そういう未来さんは犬のアイコン、正反対だね」
「なぁんでそんなこと言うかな~、正反対の友達もいいでしょ~?」
友達…彼女にとって僕はもう友達らしい。恐ろしいコミュニケーション能力だ。
「あ、というか僕の名前、知ってるんだね」
「え!?今更!?やっぱ零君は面白い子だね!!」
そういいながら、笑う彼女は夕日を浴びながらキラキラと輝いていた。
第一話を読んでいただき、感謝申し上げます!
未来ちゃんのペースに完全に持ってかれた零くん。これからどうなっていくんでしょうね(笑)。
実は、零くんのキャラクター性は私自身の性格とよく似ています。なので、書いていてキャラクターにものすごく共感できてしまいます。
もしこの二人の続きを楽しみにしていただけるのなら、嬉しくて感謝の舞を踊りたい気分です!
さて、この物語を気に入ってくださった方は、ブックマークや評価、感想などをいただけると幸いです。




