マッサージ
朝起きると
今にも雪が降りそうな
怪しい天気だった。
この町は冬の間は
雪がよく降ると聞く。
雪が降り積もってしまうと
地割れが見えなくなり、
動けなくなる可能性が高かった。
すぐにこのギルドを出発したほうが
いいかもしれない。
「おばあちゃん
どうかしたのーー?」
困った顔でキョロキョロしていた
避難者のおばあちゃんに
コスケは話しかけた。
「実はマッサージしてくれる人を
探していまして......」
え?
「じいちゃんの身体があまりよくなくて
毎週、先生にマッサージを
お願いしているんだけど......」
女性は本当に困っているようで
今にも泣き出しそうだ。
竜の件で先生に
お願いできなくなってしまって......」
「おいらが
マッサージするよ!」
忘れていたが、
コスケはマッサージが得意だ。
おばあちゃんについていくと、
おじいちゃんは
ギルド1階の待合席の
空いている所に横になっていた。
2階や3階へ行くことができないため、
訳あってここにいるのだ。
「じいちゃん
先生が来てくれたからね」
おばあちゃんが話しかけると
おじいちゃんはゆっくりと目を開けた。
どうやら
起きていたようだ。
「おじいちゃん、
はじめまして。
コスケだよ!よろしくね!」
「ああ、よろしく」
おじいちゃんの声は
聞き取りづらかったが、
優しそうな声だった。
「起き上がることはできる?」
おじいちゃんの代わりに
おばあちゃんが答える。
「ええ。できます。
じいちゃん。ここで、起き上がれる?」
おばあちゃんとコスケと
2人がかりでおじいちゃんの上体を起こす。
コスケはおじいちゃんの身体を
さわり始める。
「ここは?
ここはどう?」
コスケの顔は真剣で
いつもののんびりしたコスケは
ここにいない。
時間は1時間くらいだったろうか。
「これでおしまい!
どう?」
「ありがとう」
おじいちゃんの目からは
涙が流れていた。
竜の町の
おじいちゃん、おばあちゃんは
きっと不安で
いっぱいだったに違いない。
心の底から
恐ろしかったに違いない。
その気持ちは......
本当の気持ちは俺には分からない。
だから想像するしかない。
俺は今のところ
何もしていない。
俺は何もできない
自分が悔しい。
このまま帰るのか......。




