22.騎士団出撃
今回は他人称視点のみになります。
ガッ! ズゥゥーン!!
戦場に、大地が揺れんばかりの爆音が轟いていた。
その音は一発二発では無く、何発も鳴り響いていた。
音が振動と供に震える度に魔獣も人も動きを止めた、一部の規格外を除いて。
しかし、その音の発生源が人に味方するものと皆が認識しだした時、一人の人物の声によってその様相は一変した。
「女性が戦っていると言うのに何をしているっ!!」
戦場に声が響いた。
人の心を恐怖で縛り付ける様な怒りを孕んだ声でも同情を誘うような怯えを孕んだ声でも無い。
ただ真っ直ぐ、聴いた相手に問い掛ける様に澄んだ声が戦場に鳴り響いた。
「お前達はこの要塞を護る時に私にこう言った!俺達は戦うしか能が無い荒くれ者達だ!戦えない者も女も子供も俺達が戦って護る!だから俺達が戦ってる間に絶対にその人達を逃してやってくれ!俺達が死んでもその人達がいつかまた此処で暮らせる様にしてやってくれと!」
領主はひと呼吸置いて再び声を上げた。
「それが嘘で無いなら今証明してみせよ!私も投石でも何でもしてお前達とあのご婦人方の援護をする!」
「まだ男として!戦士として!矜持を持っている者よ!剣を取れ!斧を取れ!武器を取れ!そして俺に続けぇ!!」
領主の覚悟と、それに継い付いする様に領兵の司令役から飛ばされた檄に領兵達は
『ぅうおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!』
「行くぞ野郎共ぉ!」
「やってやろぅじゃねぇか!」
「聖女さん!子供とこっちへ!」
「聖女さん、この子らを助けてくれてあんがとな」
「後は俺達に任せてゆっくり休んでてくれ」
各々武器を掲げ声を張り上げ司令役に続いて行った。
その最中に聖女と助けられた子供達を安全な方に領兵は誘導し、口々に聖女に感謝の気持ちを述べて言った。
そこには最初に向けられていた畏怖や蔑視の眼など無かった、ただ同じ土地で育った子供達を救ってくれた聖女への感謝で溢れていたのだ。
それを見て、ここまで聖女と子供達を護りながら連れて来たバイセもベンジェフも、安堵した顔になっていた。
そこに三人の連隊長と騎士団の三個連隊が到着した。
「いやぁ〜、まるで祭りの様な熱気ですな」
「士気は確実に上がったが騎士団が打ち出した作戦はぐちゃぐちゃです」
「確かに、これでは作戦どころか連携すらも出来るか怪しいですね。ではいかが致しますか?騎士団長」
まるで、この後に自分達の騎士団長がどんな司令を出すか察しています。
と言った様な顔で三人の連隊長はベンジェフに指示を仰いで来た。
これに対してベンジェフは盛大な溜め息を
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・。
と漏らした後、目を瞑り天を数秒仰いだ。
そして突然にクワッ!と見開いた。
考えが纏まったのか覚悟が決まったのか、その場にいる騎士団の全員に指示を飛ばした。
「これより我々騎士団はこの場にいる全戦力を持ってオールデン領兵を援護する!」
高らかにベンジェフが三個連隊の騎士団全員にそう宣言する。
騎士達は先程の女官達の戦い振りを見ており、何か感じ入るものが在ったのか全員がやる気に満ち溢れた顔をしていた。
「騎馬部隊は縦横無尽に駆け回り、魔獣共を撹乱!歩兵部隊はオールデン領兵と合流し魔獣共の侵攻を阻止!弓兵部隊は城壁から各部隊を援護せよ!」
ベンジェフは各部隊にどの様に動くか伝えたのだ。
すると既にやる気に火が点いていた騎士達は
『了解しましたっ!』
と返事を返して、各々自身に課せられた任務を完遂する為に動き始めたのだった。
ここまで音読して頂き有難うございます。
今回は前回に比べて短くなってしまいました。
この作品の着地点が段々見えなくなってまいりました(コラッ!)
次回!予定通り行けば!魔獣戦決チャコになります!?(予定は未定)
お楽しみに!
ブックマークや感想もお待ちしています。
では!




