とある料理人
なんとなく脱線(•◡•〟)
落人の中に偶に魔法属性が不明なものがいる。
北の辺境に落ちた悠木志緒はそれであった。
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先に落ちた変人に拾われ生活しているが、元の世界では独立した生活を送る料理人であった。
落人は一様に優れた魔力を持っていたが志緒にはそれがなかった。
落人の恩恵を期待していた村人たちは期待を裏切る無能と志緒に冷たくなっていった。
勝手に落とされた世界でそんな対応をされる。
理不尽に悔し涙を流すこともあった。
そんな生活の中、出会ったのは破茶滅茶な元お得意様だった。
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志緒の働いていた定食屋はオフィス街の外れにあった。
味の良さでそこそこの評判の店でいつもランチ時には込み合っていた。
落とされた後は食事を作る気力も無く、ただ単純労働で日々の糊口を拭っていた。
そんなある日、昔馴染みに出会った。
彼女は相変わらずの飄々とした態度ではあったが、足に障害を抱えていた。
落ちた時の後遺症だと後々聞いたが、その当時はこの世界でもうまく生活できる彼女に当たり散らした。
そんな志緒の話に付き合い、彼女はその境遇から志緒を救い出した。
どうやら志緒の魔法は料理に宿るらしいと発見してくれたのも彼女だ。
彼女の作った地下都市と地上の店とで私はこの世界でも、独立した料理人として生活できるようになった。
彼女は私の恩人だ。
例えちょっと性格がアレでも・・・・・・。