Leave
とても美しい田園風景
僕は風に吹かれていた。列車に乗ってあるところへ向かっている。その場所は僕の彼女の家だ。僕は昨日彼女にプロポーズしたのだ。彼女は承諾してくれた。そしてこれから彼女の本家に挨拶をするという事で電車に乗っているのだが。
「やばい酔った…」
「おまこっちに吐くなよ」
「まだ着かないの?咲?」
そうこいつらだ。僕が彼女とどこかへ行くと言って彼らとの約束をキャンセルしようとしたら、んじゃ俺らも行く。という感じで付いてきてしまったのだ。こいつらはこんなに長くなるとは思っていなかったらしく先程まで静かにしていたのだが酔ったという言葉を皮切りにまた騒ぎ出した。
「もうそろそろ着くよー」
彼女が言った。僕の彼女、能村咲はとても優しい人だ。僕は彼女のそんなところに惹かれて高2のときに彼女に告白したのだ。そして時は流れ僕は今大学2年生だ。彼女は出来たし、友達もできた。こいつらも騒いでいて少し鬱陶しいと思ってはいるが、皆根はいいやつだ。だから一緒に居て楽しいと思っている。そんなことを思っている間に駅に着いた。皆はさっさと降りて行った。彼女の故郷は僕が小学生の時に住んでいた。だから昔彼女と会った事があるのかもしれないが何故かここに居た時の記憶は途切れ途切れになっていて、断片的にしか思い出す事ができない。だが何故か頭の中の何かが壊れていくような気がした。
「ね?行こ?」
咲が優しく言った。僕は頷いて外へ出た。まるで何かから逃れるように。外に出て周りを見渡す。外はのどかな風景が広がっていた。周りには田や畑がたくさん見えた。
「何ぼーっと突っ立ってんだジジイか」
田舎のヤンキーみたいな座り方をしている新田が言った。新田真、僕が一番最初に友達になった人だ。大学に入学して右も左も分からない僕に初めに話しかけてくれて他の人とも知り合う機会をくれた僕の恩人だ。しかし、何故かにったと呼ぶと凄く怒る。
「うるせちょっと懐かしく思ったんだよ」
僕は返した。真はお腹に手を当てていた。そして僕に言った。
「腹減った」
真は咲の方を向いて言った。
「それじゃ私の本家にさっさと行きましょうよ、御飯ならたくさんあるよ」
咲は笑って言った。真もそれに納得してウサギのようにぴょんと立ち上がって歩き出した。
「んじゃ行こーぜ」
「ちょっと休ませてくれや」
一人の男が言った。笹森清、僕が真と一緒にカラオケに言ったときに知り合った男だ。彼はかなり筋肉を鍛えていて、力仕事をするときにとても役立つ。凄く勉強ができるので、勉強が分からない時はよく勉強を教えてもらっていた。
「透お前はどうするよ」
笹森は尋ねた。僕も少し疲れていたので休む方を選択した。
「お腹ペコペコだよ私」
お腹を摩りながら一人の女性が言った。この女性は斎藤秋咲の友達だ。あまり話した事がなくどんな人物かは良く分からないが。すると一人の老人がこちらに歩いてきた。その人は何かを探しているような様子であった。
「お嬢さん方…こちらへ向かわれるので?」
老人は聞いた。
「そうです」
笹森が答えた。
「ほほほ…そうですか」
老人は丁寧な口調でそう言い、何処かへ行ってしまった。僕はあの人を知っている気がした、だが思い出せなかった。
しばらく歩いていると旅館に着いた。彼女の知り合いが経営している旅館だ。皆疲れたようで旅館に入ると弱々しく座り込んでしまった。
「あら?どちら様ですか?」
奥から女将さんが歩いてきた。歩き方も口調も上品で非の打ち所がない女性だった。
「五人で予約した能村と申します」
咲が答えた。女将さんはノートの様な物を見て思い出したようで、僕たちに言った。
「確かに承っております。こちらへどうぞ」
女将さんに案内されるがままに僕たちは部屋に行った。部屋は見事な和室であった。窓からの眺めも綺麗で疲れが少し無くなった気がした。
「昼食は今運びますので少々お待ちください」
女将さんはそう言い、向こうへ行ってしまった。
「おい、トランプやろうぜ」
新田はニヤニヤ笑いながら言った。この顔は明らかに何か企んでいる顔であった。
「そうだな…負けた奴は黒歴史言えよ」
新田は言った。なるほどこれが目的だったのか、ならば俺は–––––
「すまんちょっと便所行ってくる」
俺は言った。そして新田が何か言う前にさっさと外へ出た。僕は廊下を渡って便所に行った。もちろん男の方に入った。便所にも掃除が行き渡っていてとても綺麗だった。すると一人の女性が中に居た。見た目はとても若く僕と同じくらいであろうか。その女性は便器の掃除をしていた。
「すいません!まだ掃除中でして…」
彼女は申し訳無さそうに言ったが僕を見て不意に彼女の言葉が止まった。そして冷たく僕に言った。
「なんで戻ってきたの。死にたいの?」
僕の頭の中の何かが紐解かれている感じがした。外では季節外れの蝉が鳴いていた。
こんにちはでいいのかよく分かりませんが二本針怜と申します。読んでいただきありがとうございます。一話目はホラー抜きでいこうぜ!




