淑女教育が始まる…?
父にラルモンテ学園ではなく、フィンラー学園へ行きたいと告げた次の日。
久々にゆっくりできると思って朝食後、部屋でのんびり読書をしていたらメイドがやってきて、父の書斎に来るように伝えられた。
お茶会が終わった直後だし、ゆっくりできると思ったのに…!父がの書斎に行くということは、それだけ大事な話であるということ。要件を聞かなくてもそれはわかる。
ああ、行きたくない…。何も聞かなかったことにしたい。私はのっそりと父の書斎に向かう。いつもなら2分くらいで行けるけど、今日に限っては5分かかった。父の書斎の前で待機していた執事のタイラーが私の様子を見て苦笑いを浮かべている。
「旦那様、アステリア様がいらっしゃいました。」
タイラーの声がけに扉の向こうから父が返事をした。タイラーが開けてくれた扉から書斎に入る。父の書斎は本当に本だらけだ。しっかり整頓はされている様子だけど、娯楽用品は一切見当たらない。
父に書斎の中央にあるソファに座るよう言われたので言うとおりにする。
私が座ると、父も私の対面に座った。
「さてアステリア、王宮から淑女教育を担当する講師が派遣されることになった。これは我が家だけではなく、婚約者候補となった御令嬢全員にだ。」
「え…、王宮から直々に、ですか?」
「ああ。淑女教育は公平に行うとのことだ。我が家には明日から派遣される。毎日3時間、貴族の振る舞いやマナー、ダンス等学ばなければならない。」
毎日3時間…!!長すぎやしないか?まだ私10歳の子どもなんですけど?あとちょっとで11歳にはなりますけど…。
私の表情が暗くなったことに父も気づいたんだろう。申し訳なさそうにすまない、と言っていた。
「アステリアが婚約者候補から外れたいと思っていることは理解している。だが、王宮から派遣される講師を断ることはできないんだ…。淑女教育は講師からお墨付きを貰えれば早く終わらせることができる。」
「…講師の方からお墨付きを貰えるまで、最短どのくらいでしょうか?」
「そうだな、前王妃様が半年で淑女教育を終えられたと聞く。だから最短で半年だと思う。」
半年…、それでも充分長いけど…。断れないのならしかたない!最短で終わらせてのんびり過ごす!経営の勉強もあるし、何より立ち上げた商会の件もある。
「分かりました!私、半年で淑女教育を終わらせます!その後は経営学について学ばせてください!」
「分かった分かった、そちらの件に関してすでに人選は終わっている。半年後から我が家に来てもらえるよう依頼しよう。」
私は心の中でガッツポーズをした。流石に父の前でガッツポーズはできないからね…。
とりあえず半年で淑女教育クリアが目標だ!その後は念願の経営学…!!
私の脳内は半年後に経営学を学べることでいっぱいだった…。
半年で淑女教育を終わらせるということは、淑女として完璧であるとアピールでき、それによって婚約者候補としての評価が爆上がりすることにこのとき私は気づいていなかった…。




