第八話
白い館時間を掛ければ出来ますが
「……そうか、ついにきたか。」
後藤の報告に伊部は顔を険しくする。
「はい。」
凛とした声で返事をする後藤…が、やはり腰は時節抑えている。
「赤城外務大臣、接触した場合外交に発展させることは可能か?可能ならどれくらいかかる。」
「現状では少し厳しいです。未知のウイルスがいる危険性は低くなりましたが、相手の言語が未だわからないままです。これはどうにか出来ますが…時間はどれくらいかかるかわかりかねます。それと技術的に中世ですので外交の意味合いが違う可能性があります。現段階では厳しいです。」
「…ウム……後藤准将、現段階で任務部隊を完全に見せないことは可能か?」
後藤は一瞬固まりそのままの表情で答える。
「困難です。」
「……第三艦隊に連絡。任務部隊の本隊を見せるな。また、自衛以外での戦闘行動を禁じる。」
第三艦隊
空母 大鳳
「司令、白い館からです。
姿を表すな、専守防衛に徹せよ。
だそうです。」
「アンノウンとの距離は?」
「80㎞です。目視圏まで一時間。」
「……潜水艦部隊に連絡。」
第三艦隊 の下
伊807
「艦長、上からの命令です。」
狭い空間の中、消え入りそうな声で連絡員がいう。
(珍しいな)身長が高く体格がいい艦長は音をたてず紙を受け取る。
「……ふぅ……了解したと打ってくれ。」
艦長は静かにそう言うと紙を握り潰す。
(まったく、本当にまったく!?軍隊の命令てらやつは……。)
「エンジン始動。」
第三艦隊
空母 大鳳
「艦長、伊807、808が動きます。」
(伊800型潜水艦は水中速力は39ノット…まにあうな。)
エリア51 12時50分
「こちら管制塔、機体番号20-2101滑走路侵入を許可します。」巨大な機体は滑走路に歩みを進める。富嶽は強襲揚陸艇と言われるがゆえにタイヤを出さなくても問題なく着陸できる。また、水の上にも着水することができる。が、あくまで着陸だけでタイヤ無しでは離陸はできない。水の上でも飛行艇に改造されたB型の「富士」やA型に専用の装備を搭載と離水できない。
世界最大級の機体に積み込める重量もまた、世界最大である。当然機体の重さも世界最大となる。そんな機体を支えるタイヤは特殊な配置になっている。まず機首にタイヤはない。翼がはえている機体の下にボディギア8本と機体の後部、位置的にエンジンの後ろの機体の下にボディギア12本がある。
ゴォーーーーーーーゴォーーーーーーーー
轟音を響かせているのはGE90-115Bターボファン・エンジン六基である。このエンジン一基の推力は彼の有名な豪華客船タイタニック号二隻分に相当する。そんなエンジン六基が最大離陸重量1200tの機体を浮かび上がらせる。一瞬の浮遊感の後下からつき上がるような力を感じながら静司令を乗せた一番機は空に上がっていった。
「静司令、全機無事離陸後編隊を組み諸島に向かいます。」「…ん。」
静司令はふと窓の外を見ると護衛のF-22が上がってきていた。全長96m、翼幅113mの巨体に付き添う全長19m、翼幅13mはまさに原付きバイクと建設業者持つような大型トラックのようなさがある。
静司令は遠い目をしながら窓の外をずっと見ていた。