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後輩じゃなきゃ惚れてしまうほどのゲームオタクな小悪魔系美少女は残念ながら俺の後輩でした。

シャワーを浴びた上市は乾いた制服に着替えて帰っていきました。

無事一件落着かと思いましたがラファのことをすっかり忘れていました。

そのせいでラファは不貞腐れてしまいました。


「宏君ただいま~、あれっ、ラファちゃんは?」

「部屋にいるよ」

「もしかして、ラファちゃん昨日からずっと怒ってる?」

「怒っているというか、へそを曲げてる感じだな、最低限必要なことをする以外は部屋に引きこもっているし、飯は食べに降りてくるんだけど、さっき昼食を食べたときも一言も話してくれなかったからな」

「またずいぶん怒らしたね~」

「なんで他人事みたいに言うんだよ、佳奈姐のせいでもあるんだからな」

「えっ、宏君がラファちゃんのこと『陰薄い』とか言うから――」

「それ、佳奈姐が言ったんだろ!」

「そうだっけ?」

「そうでしょ!」

「わかってる、わかってるってそんな怒らないでよ、私だって責任感じてるんだから」

「全然そんな風には見えないんだけど」

「ホントだって、その証拠にラファちゃんの機嫌を直す素晴らしいアイデアを考えてあげるから」

 佳奈姐は少し考え込んで黙ってしまう、正直期待していないが、かと言って俺に何か案がある訳でもなく、とりあえず黙って待っていると1分も経たないうちに何か閃いたかのように掌に拳を合わせる。

「そうだ、ちょうど、あれの発売日だから……」

「あれって、なんだよ?」

「それはね~、――――だよ」

 半信半疑だったが佳奈姐のアイデアを聞き上手くいきそうだと思った俺はすぐさま行動を起こしたんだが、何故か今俺は近所のゲームショップに一人取り残されていた。

 どうしてこうなったかと言うと、佳奈姐が考えたラファの機嫌を直す方法と言うのがゲームをプレゼントするという至ってシンプルなプレゼント作戦だった。

 俺もそれはいい方法だと思い「それならたしかにうまくいきそうだな」と言うと『それじゃあ、早速買いに行こう』という流れになり俺と佳奈姐の二人でゲームショップに来たまではよかったんだが、店に入った瞬間に店員さんが近づいてきて『佳奈さん、あの話聞きましたか?』そう佳奈姐に話しかけてきた。このゲームショップは昔から佳奈姐がよく来ているなじみの店なのでこういった光景は珍しいことじゃない。『なんのこと~?』佳奈姐はそう返すと『佳奈さんが探していたあのゲームを南店で見たって話ですよ、もうとっくに誰かから聞いたもんだと思ってましたよ』店員からそう聞くと 佳奈姐は目の色を変え180度反転し『ありがとう~、今から行ってみる』そう言い残し店の外へ走って出て行ったと言う訳だ。

 そう言う事で今俺は一人ゲームショップで取り残されて途方にくれている、なにせ佳奈姐にはラファが喜びそうなゲームに心当たりがあるようだったので何のゲームをプレゼントするか聞いていなかった。

 つまり俺は何のゲームを買っていけばいいかわからない、佳奈姐に電話をしたが出る気配はない、俺自身のセンスで選ぶという選択肢もあるにはあるが高校に入ってからというもの自分からゲームを買っていないため、はっきり言って自信がないし最新のゲームについては正直ほとんど未知と言っていい、そういう訳で現在俺はゲームショップで一人途方に暮れながら店を徘徊している。

「どうしたもんかな~」

「先輩? やっぱり宏先輩! どうしたっすか? なにか、探し物っすか?」

 店の棚にズラッと並ぶゲームとにらめっこしていた俺はその聞き慣れた声に反応して振り向くと予想通り、穏やかそうな目元、肩まで伸びた綺麗な黒髪、緩やかなニットセーターにロングスカートを着こなし背は160センチを超えたほどで、なにより目に付くのが中学……、じゃなくて今年から高校生になるとは思えないほど発達した体つき、特に胸が……、ゴホンッ、とにかく、そういう容姿をした美少女、黒辺、鈴蘭子(くろべ、すずらこ)がそこにはいた。

「まぁ、な」

「もし、よかったら私も手伝うっすよ?」

「いいのか!?」

「いいっすよ、ちょうど暇でしたから、それにもしかして宏先輩かな~と思ってさっきから目で追ってましたけど、宏先輩が冬の風物詩みたいになってて見てられませんでしたし」

「冬の風物詩?」

「知らないっすか? ゲームショップで冬の風物詩と言えば、子供のためにゲームを買うサンタさんのことっすよ」

 俺は鈴蘭子の言っている意味が分からず首を傾げると『ふふん』と得意げに鼻を鳴らし話し始める。

「サンタさんたちは普段ゲームをやらないサンタさんが多いので、ゲームの種類の多さに圧倒されながらも自分の子供のために棚に置いてあるゲームと睨み合い、目当てのゲームを必死で探すサンタさんの姿にそっくりで見てられなかったっす」

 なるほど傍から見ればそんな風に見えなくもないか、実際遠からずそんな感じだったからな。

「それじゃあ、この哀れなサンタを助けてくれるか?」

「はいっす、自他共に認めるゲームオタクのこの私がさながらトナカイのようにバシバシ働いてあげるっす」

 鈴蘭子はまるで軍人のように敬礼をしてそう言ってくれる。持つべきものはゲームオタクの後輩だな。

「それで、宏先輩は何のゲームを探しているんっすか?」

「いや、それが、その……」

 そう聞かれて改めて困ってしまう、なにせゲームを探す以前に探すゲームが何かわからないのだから、言わばテスト勉強で友達に『どこがわからないんだ?』と聞かれて『どこがわからないのか、わからない』と答えるようなどうしようもない状況だ。

「……なるほど、そういうことっすね、まかせてくださいっす」

 黙り込んでしまった俺を見て鈴蘭子は何か察したように何故か顔を赤くしたかと思うと俺の腕を掴み歩き出す。

 俺は突然のことに驚きながらもゲームについての知識なら信用できる鈴蘭子なら俺の今の状況察してくれたのだろうと思い、導かれるまま足を進めて行ったのだが徐々に不穏な空気を感じ始めこれ以上はまずいと思ったところで足を止める。

「ちょっと待て鈴蘭子、まさかとは思うが……そこに入る気じゃないよな?」

 俺は否定してほしいと思いながら目の前にある18と大きく書かれた暖簾を指差す。

「えっ、だって、先輩の欲しいゲームってエッチなゲームっすよね? だから言いづらかったんっすよね?」

 鈴蘭子の的外れな予想に思わずため息が漏れる。

「もし、百歩譲っていや、一万歩譲ってお前の言ったとおりだとしたら、俺は後輩の女子にエロゲーを探させようとしている、ただの変態なるんだが?」

「違うっすか? 私はてっきり、もうすぐ高校生になる純粋な少女にエッチなゲームを探させて、知識もないこの美少女がオロオロ困り果てる姿を遠目から見てニヤニヤしたいのかと」

「お前にとって俺はそんな変態キャラなのか! あと自分で美少女とか言うな!」

「そんなこと、ふへへ」

「何でニヤけてるんだよ?」

「いや~、想像してみたんっすよ、オロオロしている私、それを蔑んだ目でニヤけながら見ている宏先輩……、ふへへ、悪くないっすね」

 まぁ、俺はこの黒部鈴蘭子とは中学からの仲なのでこいつがこういう性格だというのは知ってはいるが、毎度の事ながら落胆させられる。

 容姿端麗で学業優秀、おまけに護身術まで使える。まさに才色兼備なのだがこのように内面が残念なのだ。

 ここまでのスペックなら某人気ラノベの隣人部にいてもおかしくないのだが残念ながらそれはない、なぜなら“鈴蘭子は友達が少なくない”からだ。内面が残念とはいえ、それを見せるのは本人曰く一部の人間だけらしい、それ以外には明るく純粋なキャラを演じているので友達は多いのだ。言うまでもないが、俺は残念ながら鈴蘭子にとって一部の人間のほうらしい。

「お前は変態だな」

「こんな純粋無垢な少女を捕まえておいて変態呼ばわりなんて、宏先輩は鬼畜すぎるっすよ」

「純粋無垢な奴はさっきみたいないかがわしい妄想なんかしないだろうし、そもそもそこまでたどり着かない、つまり鈴蘭子は純粋無垢なんかじゃない」

「そんなはっきり言わなくてもいいじゃないっすか! そんな酷いこと言うんだったら、もう宏先輩のゲーム探し手伝わないっすよ」

 ため息交じりの俺に対して鈴蘭子は右頬を膨らませてながら顔を逸らす。

「(くっ、こいつ~)」

 俺はそう思いながらも、また哀れなサンタに戻るわけにはいかなかったので嫌々ながら謝罪することにした。

「……言い過ぎましたー悪かったでーす」

「なんで、ちょっと言わされている風に言うんっすか!? それにそんなありきたりな言葉じゃ私の機嫌は直りませんから」

「(実際に言わされてるんだよ!)じゃあなんて言えばいいんだ?」

「そうっすね~、じゃあ私のこと愛してるって10回言ってください」

「それなんのギャルゲーだ!?」

「ラブプ――」

「言わなくていい! お前こんな公共の場でそんな恥ずかしいこと言えるわけがないだろ!」

「でも、ゲームをやってる人達は公共の場でも恥ずかしげもなく愛してるって言ってるっすよ。画面に向かって」

「いいんだよ、あれは一応恋人同士の関係なんだから」

「じゃあ、私たちの関係でも成立するじゃないっすか?」

「しねぇよ、いつからお前は俺の嫁になったんだよ、そもそもお前はただ俺を辱めたいだけだろ?」

「……もしかしたら画面の中の彼女さんも私と同じ考えだったりするんっすかね?」

「嫌なことを言うじゃない」

 もし鈴蘭子の言ったとおり画面の中の彼女さんがプレイヤーもとい彼氏を辱めよう思って言っているんだったら……、それはそれで一部の人には馬鹿受けしそうだな、言うまでもないが俺は一部の人間では決してない。

 俺はそんな辱めを受けるつもりはないがこのまま鈴蘭子の機嫌を損ねるわけにはいかないと思い妥協策にでた。

「ちょっと耳を貸してくれ」

「いいっすよ、ちゃんと返してくださいね」

 俺は鈴蘭子の昭和感漂う冗談をスルーし、鈴蘭子に笑われ馬鹿にされるのを覚悟しつつ耳元で“愛してる”と1回だけささやいた。

「これでいいだろ?」

 俺はかなり恥ずかしかったが、それを鈴蘭子に見せまいと必死で冷静を装いながら鈴蘭子の機嫌が直ったか反応を待つ。

「ななな、何を、突然言ってるんすか!?」

 予想外の反応が返って来た。恥ずかしさからか鈴蘭子は顔を真っ赤にして、何度も瞬きをしながらそう言ってくる。

「おおお、お前が言えって言ったんだろうが!」

 そんなあからさまの動揺を見せられてしまっては俺の化けの皮も剥がれると言うもので、自分でも唇が震えているのがわかる。

「だ、だからって耳元で、あ、愛をささやくなんて、一年中場所も考えずに発情している馬鹿なリア充たちみたいじゃないっすか!」

 言われてみればたしかにそうだ。10回言うのが恥ずかしくて1回にしたが逆に1回だとただイチャイチャしているバカップルみたいじゃないか! 10回言ったほうがまだ冗談のように聞こえただろう、俺はそう考えると体がカァーッと熱くなり嫌な汗が体中から出て、(早く、この場から消え去りたい)そう思っていると、鈴蘭子が俺の腕に抱きついてきた。

「まったく先輩は……でも、その、言ってくれたから許してあげても……いいっすよ」

 俺はドン引きされているものと思っていたが顔を赤くしながら上目遣いの所謂小悪魔系女子のような仕草で、俺をからかっているいつもの鈴蘭子の姿を見てホッとしつつ、とりあえず歩きにくいし恥ずかしいので鈴蘭子を離れさせる。

「……それじゃあ、ゲーム探すか」

「了解っす」

 そうしてようやく本題であるゲーム探しに進むのだった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

今週投稿二話目ですが三話目は……。頑張ります。

ブクマや高評価、感想頂けると助かります。

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