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4 残業帰りの癒し

お帰りなのじゃ



「はぁ・・・早く帰るつもりが結局今日も残業か・・・」


なんとか早く上がるようにしたが休憩無しでぶっ続けで12時間勤務。お昼はカロリーメイトオンリーなのでお腹も空いた。しかもサービス残業。うちの会社は残業時間が元々決まっていてその範囲なら例え残業しなくても残業代が出ることになっている。


逆に言えばその時間までは残業させられるのだ。まあ、月に40時間までなのだが当たり前のようにそれを超過するので、上司からの強い圧力でサービス残業にさせられる。


クレーム対応などでかなりメンタルをやられるのが今の仕事の辛いところだ。おまけにこちらのレジが忙しいのに店長は店長でどうでもいいことで文句を言ったり、暇なら他の部門のサポートに行けと怒る始末。


新米の頃は本当に死にたいくらい辛かったが、後輩にはそんな思いをして欲しくないので俺が防波堤になるしかない。


そうして疲れて家に帰ると灯りがついていることに驚いてから、そういえば今日から一人じゃないと思い出して少しだけ復活する。


「あ、お帰りなさい!お仕事お疲れ様でした」


笑顔でそう出迎えてくれる紗耶。俺はそれに思わず見とれてしまうと紗耶は首を傾げて聞いてきた。


「どうかしましたか?」

「いや・・・なんでもない」

「そうですか?あ、今日は肉じゃがですよ」

「ああ。お腹空いたよ」


そう言いながらネクタイを緩めると紗耶がじっとこちらを見てるのに気がつく。


「どうかしたの?」

「朝も思いましたけど、つっくんはスーツが似合いますね」

「そうかな?まあ着なれてはいるかもね」


長年着ているという点では私物よりも着ているかもしれない。


「紗耶も制服姿似合ってるよ」

「むぅ。子供っぽいってことですか?」

「違うよ。可愛いって意味だよ」

「なら、いいです」


嬉しそうに微笑む紗耶に俺の心も徐々に回復していく。いつもなら一人で今日のことを引きずりながらベッドに倒れこむのにこうして温かく出迎えてくれるのは凄く嬉しいことだ。


「そうそう、明日はなんとか休めそうだよ。引っ越しの手伝いするよ」

「ありがとうございます。色々荷物があるんですが一人じゃ運べなくて。それにお父さんとお母さんの遺品もですが」


少しだけ寂しそうにする紗耶。相続放棄というものがこの世には存在する。親の借金を背負わない代わりに一切の相続物を放棄することなのたが、仮に紗耶を助けた場面でそれをしていたら、もしかしたら紗耶は失っていたものがあるかもしれない。それにあれ以上負担をかけないためには借金を返済するのが一番早いと思ったので俺は間違ったことはしてないはずだ。


「紗耶」

「大丈夫ですよ。つっくん」


そう微笑まれると何も言えなくなる。俺はしばらく言葉を探してから言った。


「お腹空いたしご飯食べようか」

「はい。準備しますね」


そうして二人で晩御飯を食べる。わざわざ待っていてくれた紗耶に感謝をしながは二人で食べるがこうして手作りの夕飯を食べるのは凄く久しぶりなのでとても美味しいとおもった。




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