5 引っ越しの手伝い
引っ越しです
翌日、俺は久しぶりに会社を休んで紗耶の引っ越しの手伝いをしていた。紗耶が住んでいるのはマンションの一階。俺は三階に住んでいる。荷物を運ぶのは少しだけ大変だけど紗耶の家は思いの外大きい荷物が少ないのでそこまで苦ではない。
「とりあえず冷蔵庫はどうしようか」
「冷蔵庫ですか?」
荷物をまとめる紗耶に俺は頷いて言った。
「紗耶の家の方が大きいし、紗耶がよければこっちを使ってもいいいけどどうかな?」
「つっくんがいいならお願いします」
「じゃあ、後で運ぶか」
ちょっと大きいがなんとかなるだろう。基本的には紗耶に荷物をまとめて貰い俺が運ぶという流れでやっているが、ふと紗耶が何やら手をとめているのを見て近づくと紗耶は懐かしそうにアルバムを眺めていた。
「紗耶」
「あ・・・ごめんなさい。つっくん。ちょっと懐かしくて」
「いいけど、後で俺にも見せてよね」
そう言いながら片付けを進めるが紗耶は自分の私物を全て片付けてから親の私物の整理を始める段階で少しだけ寂しそうな表情で聞いてきた。
「つっくんはこうして誰かの遺品の整理はしたことありますか?」
「死んだじいちゃんの葬式以来かな」
「私は初めてです。祖父母はどちらも私が産まれる前には亡くなっていますから」
「そう。ま、何にしても紗耶が残したいものなら全部残せばいいさ」
「ありがとうございます。つっくん。ではつっくんはお父さんの遺品の整理をお願いします」
その言葉に頷いてから俺は紗耶の父親の部屋に向かう。部屋に入ると、何やら専門書が並んでいるので仕事関係かと思い取り出すとその後ろに隠すように置かれているR18指定の専門書とご対面する。
「・・・まあ、男だし仕方ない」
そこは常識的な社会人なので俺はきちんと理解する。しかし部屋の荷物をまとめればまとめるほどに増えていくエロ本やDVDに流石に俺もなんと言うべきか迷ってしまっていた。しかも全部熟女系のねちっこい奴。全く好みじゃないので流石に少しだけ嫌になりそうになるが紗耶に父親の性癖を見せるわけにはいかないので我慢して片付ける。
「つっくん。こっちは終わりましたよーーー」
「あ・・・」
思わずフリーズしてしまう。エロ本を並べる俺とそれを見てフリーズする紗耶。やがて紗耶はニッコリと笑うとそれらの本やDVDを廃棄の段ボールにまとめて入れてから聞いてきた。
「つっくん。あれはゴミです。いいですね?」
「いや、それでいいならいいけど・・・」
「つっくんは年上好きなんですか?」
その質問に何と答えるべきか悩んでから素直に答えた。
「年齢はそこまで気にしないかな。好きになれば関係ないし。でも好みのタイプは笑顔が可愛い子かな」
「じゃあ、私はタイプですか?」
「まあそうかな」
その言葉に少しだけ機嫌を直す紗耶にホッとする。別に疚しいことは何もしてないけど紗耶のお父さんのと性癖を知ってしまったのはなんというか気まずいものがあるがまあ、忘れるべきだろう。なお、この遺品は後日俺がきちんと中古として売りに出したのでそのお金を紗耶にきちんと渡すのだった。




