3 久しぶりの外出
さて...何とか信じて貰えたのは良いものの...
「ねぇなる!もちろん今日は出掛けるよねっ!」
飲み込みが早すぎるだろ、こいつ。
「えぇ...この姿で外出はちょっと...勉強もしないとだし...」
もちろん僕は何とかはぐらかして自室に戻ろうとしたが
「その姿になる前も外出しなかったよね?」
と言う無言の圧力に負けてしまう
「分かりましたよ...行きますよ...」
「じゃあ決まりね!いろいろなるの服とかも買わないとだし、駅前のショッピングモールでいいよね!」
「いや僕そんなお金無いんですけど...」
引きこもりにそんな金があると思っているのだろうか。今の手持ち2万だぞ、2万。するとひかりのお母さんが
「安心しなさい、お金ならある!」
と机に大金を叩きつける。パッと見諭吉さんが10人以上は居るだろう。
「おー!太っ腹だねお母さん!」
なんてひかりは言っているが僕は
「いやいや!?こんな大金受け取れませんよ!しまってください!ていうか、どこから出てきたんですかこんな大金!」
「財布」
「いやまあそりゃそうですけど...」
「これを受け取らないって事は、これからもずっとひかりの服を借りるの?」
「それは...」
「じゃあ大人しくこれを持って買い物に行ってきなさい。ひかり、よろしく。」
「かっしこまりましたー!ほら行くぞー!」
「痛い痛い!」
手をグイグイ引っ張られる。鬼かこいつ。
外出は何年ぶりだろうか、少なくともこの家に来て、学校以外で外に出たことはないから7年振り位だろう。内心少しワクワクしてるのは秘密にしておく。
そして、そのまま玄関まで連れて来られ
「あのー、ひかりさん」
「どうした」
「履ける靴が無いです」
そう、今まで履いていたスニーカー(ほぼ未使用)はブカブカで履けず、他に自分の靴はない。
「うーん...じゃあはい、これ履きな」
そう言われひかりが前使っていたであろう靴を差し出される。以外にもサイズはほぼピッタリだった。そして、女物の靴が自分の足のサイズに合う事で、本当に女の子になったんだな、と少し実感した。
「えっと...」
「なる、どうかした?」
「その...ありがとう」
「うん、どういたしまして。」
なんだか、恥ずかしかった。ただお礼を言っただけなのに。
その後僕達は
「じゃ、行ってきマース!」
「あ、えっと...行ってきます...」
「はーい、楽しんできてね。」
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玄関を開け、外に出ようとするが、
「どうしたのなる、急に止まって」
「いや...その...外が怖くて...」
「大丈夫だって、私がいるし!」
「うん...」
僕は1歩を踏み出し、数年ぶりの外に出る。が、速攻で
「目が、目がぁぁぁぁ!」
「どっかの大佐見たいになってるけど...大丈夫?」
「視界が虹色になってる以外は大丈夫」
「それは大丈夫じゃないよ?」
久しぶりの日光に目をやられ、1分位悶えた後にようやく目を開け、ひかりに問いかける。
「ねえひかり」
「どうしたの?」
「この辺って変わらないよね、ずっと。」
「うん...いい意味で、ずっと変わらない。」
僕がここに来たあの時は、涙でよく見えなかったけれど、今はくっきりとよく見える。
「ほら、家の前で止まってないで、行くよ!」
「あっ、うん。」
僕は、ひかりの後を追うように歩きだす。




