1 過去
どれだけの月日が流れようと、忘れない。いや、忘れられないんだ、あの日だけは。
8歳のクリスマス、外は寒く、雪が少し積もっていた。
「お母さん、早くケーキ取りに行こ!ね!」
「はいはい、今から取りに行くから」
「やったぁ!」
この時までは平穏な日常だった、そう、この時までは。
僕はお母さんと手を繋ぎながら「今日の夕飯楽しみだなー」なんて考えながら、るんるんな気持ちで歩いていた。
その瞬間、1台の車がクラクションを鳴らしながら猛スピードでこちらに突っ込んでくる。
「危ないっ!」
そう言われた瞬間、僕はお母さんに押し飛ばされ、直後に聞こえたのはけたたましい衝突音だった。
「誰が警察呼んで!あと救急車!」
などと言いながら周りにいた人達が集まってくる。
そんな中、僕は
「おかあ...さん...」
泣きながら先程までお母さんと歩いていた場所を、ただ見ているしか無かった。
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数時間がたった頃だろうか、僕は病室の椅子に座っていた。ピッ、ピッ、と鳴る機械の音を聞きながら。
「ねえ...行かないでよ、僕だけ残して...お母さん...お願いだよ...行かないでよ..」
僕はお母さんの手を強く握りながら、そう言った。何度も、何度も。無情にも、お母さんの容態は悪化していく。医師は
「ここからの回復は絶望的でしょう」
と。僕はただ、手を握りながら祈る事しか出来なかった。
先程まで「ピッ、ピッ」っと鳴っていた機械の速度が上がりだす。
「お母さん...行かないでって...お母さんが居なくなったら、僕はどうやって生きて行けばいいの...?」
それでも、速度の上昇は止まらない。そして
「ピーーーーー」
「う...そだ」
僕はこの瞬間、最後の家族である母親を亡くした。
その後僕は、親友であり、幼馴染でもあるひかりの家に引き取られた。が、僕はうつ病になり、部屋に引きこもるようになった。学校にも行かず、部屋にひかりが話しかけに来ても、なにも言えなかった。
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1年程たっただろうか。僕はようやく少し心の整理がついた。
部屋を出て、ひかりのお母さんの居る
リビングへと向かった。
「今までごめんなさい、ずっとこんな事してて」
「どうしたの?!そんないきなり土下座なんかして...」
「だって、ここに来てからずっと学校にも行かず、部屋に引きこもって迷惑掛けてるから...」
「まずは頭を上げて」
「でも...」
「上げなさい。」
そのあまりの迫力に怖気付いてしまい、僕は頭を上げた。
「まず、私はなるの事を迷惑だなんて思っていない。そしてこれからも、できる限りのサポートをしていくつもり。」
「どうして...」
僕は、何故かこの人が僕の事をそんなに大事に思ってくれているのかが理解できなかった。そして、意外な返答が返ってきた。
「私はなるのことを家族だと思ってる。親が子に何もしないなんておかしいでしょ?」
「え...」
僕はその言葉を聞いて数秒、固まってしまった。
「これからも、辛いことはしなくてもいい。私も、出来るだけ支えていく。」
僕は、その言葉に救われた。
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あれから何年か経ったころ。中学を卒業し、もうすぐ高校生になるところだ。
高校は
「なるは絶対私と同じ高校!それ以外は認めない!」
とかワガママを言った事により、ひかりと同じ高校に行くことが決定してしまい、おまけに偏差値がだいぶ高い始末。受験はあまり勉強していなかったのだが、何故かスラスラと解けてしまい、あっさり合格した。
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春休みが始まった初日。身体に違和感があり、いつもより早めに起きた僕は時間を確認しようと目を瞑りながらスマホ取ろうとするが
「スカッスカッ」
っとなり、置いてあるはずのスマホに手が届かない。
「あれ?」




