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俺だけ魔力が買えるので、投資したらチートモードに突入しました  作者: 白河リオン
第十三章 「アイランドリバーサル」

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第133話 「レクスの困惑」

 その問いに、アイラが一番先に声を上げた。


「わたしはアルさんのそばにいたいです。あんな思いは……もういやです」


 シギルに俺がやられた時のことだろう。


 フィリアがすぐ続いた。


「わたくしもですわ」


 フィリアは迷いなく胸を張る。


「アルヴィオのそばには、取引も、判断も、その場で理解できる人間が必要ですもの。戦闘だけが戦いではありませんわ」


「僕もアルヴィオ君のそばにいるよ」


 イオナが軽い調子で手を上げる。


「こっちのほうが役に立つと思うしね。ちょっと試しておきたいこともあるんだ」


 三人の言葉のあと、部屋の視線が自然と俺に集まった。


 俺は、ゆっくり息を吐く。


「……助かる」


 そう言ってから、視線をレイラへ向けた。


「ただ、レイラたちには別の用事を頼みたい」


 レイラが片眉を上げる。


「別の用事?」


「ああ。王宮に入るだけが作戦じゃない」


 机の上の地図を指で叩く。


「グラン・クリスタリアが動く日、おそらくその日に助けなければいけない人たちがいる」


 ミラが小さく頷く。


「奴隷……だね」


「そうだ。だから別動隊がいる」


 俺は言葉を切ってから、順に名を呼んだ。


「レイラ、ヒカリ、カイル」


 ヒカリが少しだけ背筋を伸ばし、カイルが真顔になる。レイラは腕を組んだまま、続きを促すように顎を引いた。


「王宮の中で動く連中とは別に、外で押さえなきゃいけない場所がある。奴隷の移送経路と、王宮の外周だ」


 俺は地図の上を指でなぞる。


「王宮に運び込まれる大型の荷と、奴隷が使われてるなら、その周辺は必ず慌ただしくなる。表に出る連中もいるし、逆に隠したい連中も動く。そこを叩く」


「なるほどねぇ」


 レイラが低く笑う。


「中だけ見てると、足元をすくわれるってことかい」


「そういうことだ。王宮の中で何かが起きた時、外で動ける戦力が必要になる」


「そういうことなら、任せときな」


 レイラは軽く肩を回した。


 カイルも頷く。


「了解です。外周の警戒、逃走経路の確保、必要なら攪乱(かくらん)ですね。荒事は苦手ですが善処してみます」


「ああ。ヒカリは、その中でちょっと機動的に動いてくれ」


「えっ、どういうことですか?」


「王宮側で何かあったら、ヒカリはすぐに向かえるように動いてほしい。それ以外は、レイラたちに合わせてくれ」


「わかりました」


 ヒカリの返事には、迷いがなかった。


 そこまで言って、俺は一度みんなを見渡した。


 王宮に入る組、外で動く組、俺のそばに残る組。


 少しずつ、形ができていく。


「で、こっちはこっちでやることがある」


 ルミナプレートを指先で軽く叩く。


「リルを売る。経済的に土台を壊す」


 リーリアが、まだ半分くらいわかっていない顔で首を傾げる。


「アル兄、それって……すごいことするって意味?」


「すごいかどうかは知らんけど、嫌がることをするのは確かだな」


「それならアル兄っぽい!」


 どういう評価だよ。


 だが、少しだけ空気が緩んだ。


 フィリアが、机に手を置いたまま言う。


「では、こちらは時間勝負ですわね」


「そうだ」


「王宮潜入班は四日後の搬入を狙う。別動隊も同時に動く。そしてこちらは、その前後で相場を崩す」


 クロエが確認するように口にする。


「うん。それでいこう」


 髪の色が変わったままなのに、クロエの声はいつものままだった。見た目だけは別人みたいなのが、まだ少し落ち着かない。


「……慣れないな」


 俺が思わず呟くと、クロエがじろりとこっちを見る。


「私だって慣れてないよ」


「いや、見てる方もだ」


「うるさいな」


 そのやり取りに、レイラが吹き出した。


「ははっ。まあ、派手でいいじゃないか」


「レイラにだけは言われたくないよ」


「失礼だねぇ」


 そんな軽口のあと、部屋は自然と静かになった。


 誰もが、次に何をするかを理解したからだ。


 四日後、そこが山だ。


 俺はゆっくり息を吐く。


「……最後に、もう一つ」


 視線を横へ向ける。


「リーリア」


「うん!」


「レクス」


「ああ」


「二人にも、ちゃんと働いてもらうぞ」


 そこで俺は、フィリアへ視線を向けた。


「フィリア。あれは準備できてるか?」


 フィリアは待ってましたとばかりに胸を張る。


「もちろんですわ」


 すぐに視線を扉へ向ける。


「エルヴィナ」


「はい」


 控えていたエルヴィナが一礼して部屋を出た。


 数秒後、エルヴィナは大きめの衣装箱を抱えて戻ってくる。


「お持ちしました」


「開けてくださいな」


 フィリアの声で、エルヴィナが蓋を開く。


 中に入っていたのは、派手だった。


 リーリアが箱の中を覗き込む。


「うわぁ……すご……!」


 緑の瞳が、一気に輝いた。


「……服?」


 レクスが困惑した声を漏らす。


「服ですわ」


 フィリアは涼しい顔だった。

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