表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BREAK!!  作者: AKIRA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/37

Act9 演算室陥落 嵐の後のただの日常 その2

 航聖の聖域(生徒会室横)に新しい定位置が出来上がりつつある。


航聖がモニターに向かって高速でタイピングを続けていると、すぐ側のカウチから静かにページをめくる音が聞こえる。希だ。


彼女は今日も、またもや厳三郎の部屋から持ち出してきた骨太な格闘マンガ__『絶拳』に夢中だ。女子高生にはあまりにも似つかわしくない読み物であった。

航聖はメインモニターに映る数式の羅列から視線を外さず、けれどその眉間には明らかな不快感のしわが刻まれている。


「……希。君は此処が自分の部屋だと勘違いしていないか?そこは僕の思考領域(テリトリー)んなんだが」

「いいじゃん、ちょっとぐらい……減るもんじゃないし。航聖も読む?面白いよ、これ」

「いらんっ!」


希は航聖の抗議を簡単に受け流し、相変わらずの態度でカウチに堂々と寝そべっている。

航聖が椅子を回転させ、もう一言文句を言おうとしたが、彼の眼が、希の手に残る青あざを捉えてしまった。


「……」


彼はそれ以上彼女に話すことなく、再びPCに向かった。

以前なら怒鳴りつけて、彼女を追いだしていたかもしれない。しかし、希のその痣だらけの手を見つけると、航聖は何も言わず席を立った。


「希……ほら」

「?__え⁈これ?」


航聖は、コーヒーの入ったカップを希に差し出した。部屋の片隅には(持ち込み禁止であろうはずの)コーヒーメーカーが置いてある。


「わあ__いいにおいだね、あ、航聖、あたしブラック呑めないから、食堂で牛乳買ってくるよ。……砂糖はどっかでかっぱらってくるとして……」

「……は?」


希はウキウキと嬉しそうに部屋を出ていった。


再び静かになった演算室に、今度は龍輝が入ってきた。

耀心が乱入してから、「立ち入り禁止」の札の効力がすっかりなくなっているようにも思える。


「……龍輝も希も立札の漢字が読めんのかっ!」


航聖の怒りもモノともせず、龍輝はタブレットを差し出した。


「なあ、航聖、これ……」


差し出したタブレットには『ビブリオバトル』の連絡が書かれていた。瑞穂学園もご多聞に漏れず、連絡はタブレットで一斉配信されている。


「読書感想文なんだけどさ、国語科の山科(先生)から『加納、お前だけだ!クラスルームにログしていない馬鹿な奴はッ!』って切れられてさ__」

「……」

「……マンガしか読んだことねえっていったら、『夏目漱石のこころ』ってあいつから指定されちまってさ」

「……本の後ろの解説でも写しとけよ」

「それ、山科(先生)に釘さされたぜ。加納……やらかすなよって」

「……お前の思考パターンは読まれてるってか……ふむ」

「航聖なら簡単に書けるだろうって……思ってさ」

「……なんでお前の宿題を、僕がやらなきゃならんのだっ⁈」

「……んじゃ、あのうるさい山科(先生)の国語科に拉致られることになるから、暫く特訓は無理だな」

「……」

「希は、一人で体育館の壁を殴り始めるだろうな……きっと」

「分かった……かせ」


航聖は画面に新しいテキストエディターを立ち上げ凄まじい速度で『エゴイズムと事己処罰の論理構成』

を打ち込み始める。


この後の山科先生の大激怒は……言うまでもない。




自分、国語の教師とはそりが合わず成績最低でした(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ