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21:脱出への道

「淡路島………そうか、ここは淡路島か………よくこれだけの施設を作ることが出来たな………自治体や知事にも根回しして建設していたって感じかな?」



「そのようですね、表向きは山の土砂崩れを防ぐための岸壁工事を7年ぐらいかけて行っていたと書かれています。一般市民にも知られていたら、生物災害が蔓延した際にこの場所に詰め掛けて大変なことになったでしょう、建設に関わっていた会社も口止め料として日本政府から莫大な補助金と、有事の際に会社役員を施設内に避難することができるようにしていたのではないでしょうか…この整備課も施設を建設した会社の社員で運用されていたみたいですし………」



エクスたちがいる場所がついに判明した。

その場所は兵庫県淡路島…人口13万人程度だが、瀬戸内海で最大の面積を誇る島である。

本州と四国を結ぶ重要な橋である「明石海峡大橋」と「大鳴門橋」があり、この島が持つ重要性は大きい。

最も、爆発感染(パンデミック)による国内の騒乱と、現状日本国政府が機能しているか分からない現在、この二つの橋が無事である可能性は低い。

もし感染が大都市圏の都市部で起これば地方へと非感染者は感染を恐れて逃避してくるだろう。

四国への感染拡大を阻止するために、これらの橋を国防軍が爆破したことも考えられる。

ただ、四国に既に感染者が入ってきた場合には、それも無意味なものになる。



「淡路島ってことは本州と四国の間にある島だよね………あ、でも………淡路島にあるってことは四国と本州も駄目になった可能性が高いよなぁ………ミホさんは感染症が日本で大騒ぎになった時、何処からこの施設にやってきたか覚えている?」



「大阪よ………大阪の北区から………ごめん、あまりあの時のことは思い出したくないの………それ以上は言わないで………」



大阪から避難してきたミホはどうやら地獄を見てきたらしい。

エクスもあまり他人の心に負った古傷を抉るようなことはしないほうがいいと引き際を弁えているので、それ以上の言及はしなかった。



「ああ、分かったよ…ただ、分かったことは少なくとも関西方面…ひいては本州は壊滅的な状況かもしれないね、1週間でヨーロッパが大混乱に陥るぐらいだ。日本の国土面積は狭い上に鉄道や道路が張り巡らされている…そんな状況なら橋を爆破して感染者が来ないようにするのが防衛上必要なことだよね、アヤ、国内でチェルノボグが上陸した際に四国方面の被害状況とかについて、何か知っていることはないか?」



「四国方面ですか………申し訳ございません、あまり四国に関する情報は載っておりません。しかしながら不確定な情報ではありますが、この施設に配備されてから二週間後に、四国のテレビ局の放送が見れなくなったと区画内の入居者の老夫婦が話しているのを耳にしております。おそらく、日本で爆発感染が起こってから二週間以内に四国の放送局が情報途絶になったことを考慮すると………四国方面も壊滅的な打撃を受けているかと思われます」



アヤもエクスも四国が無事であるという保証はないと考えている。

というのも、日本に感染病(チェルノボグ)が上陸した際に、政府が感染拡大を防ぐために日本各地の空港と鉄道は閉鎖され、国内の全ての場所に『国民保護法に基づく国家緊急権及び緊急事態条項』が発動し、事実上の戒厳令が敷かれたのだ。

日本に上陸した際に最初の感染者が発見されたのは成田国際空港であった。



香港が崩壊する寸前に香港国際空港から命からがら脱出した大型貨物機があり、この大型貨物機の中には避難先の日本に向けて貨物以外に人を大勢載せていた。

その多くが大型貨物機を運用する会社の社員や家族であった。

そのうちの一人が脱出する際に接触感染によって感染しており、成田国際空港に到着したタイミングで発症し、貨物機が着陸した直後に貨物機の中では感染者が暴れまくり、貨物機は混乱の中空港の建設反対派が居座っていた空き地に突っ込み、感染者が大勢解き放たれたのだ。



また、東アジア方面からやってきた避難民を乗せた旅客船や貨物船から海軍の目をかいくぐって密航者を日本本土に不法上陸させるビジネスをしていた暴力団の末端組織のヤクザが、感染者と性的接触したことにより博多の病院で発症し病院は一時間もしないうちに感染者の巣と化した。

また既に不法上陸をした者の中にも感染者が紛れ込んでいたので、ヤクザが斡旋あっせんしていたタコ部屋などで発症し、水面下で感染者を増やしていた。

成田国際空港で事故のあったその日の末までに横浜港、神戸港、福岡空港、博多港で感染者が大勢発見され、軍による封じ込めを行うも既に初日だけで7万人を超える感染者が確認されたのだ。

そして非感染者を追ってきた感染者を総兵力30万人規模の国防軍が撃退できるとは思えない。

つまるところ、感染者が確認された時点で日本は詰んでいたのであった…。

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