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19:消火器

「早速で悪いがミホさん、俺たちはこの区画…いや、施設から脱出する。施設の最高責任者は俺たち生存者を感染者ごと滅菌するようだ。要は区別なく殺されるってわけだ。俺たちと一緒に脱出するならついてきてもいいし、俺の話を信じないのであればそれでいい。自分の身は自分で守ってくれ」



死んだ感染者の身体に廊下の隅に置かれていた粉末消火器の安全ピンを抜いて乱雑に置きながらエクスはミホに言った。

突然の行動もさることながら、それを言われたミホは困惑しながらエクスに尋ねる。



「ちょ、ちょっとどういうことよ………滅菌って………あなた達は私を助けに来た人じゃないの?」



「俺とアヤは君と同じ区画内に取り残された非感染者ってわけだ、つまり助人よりも同じ避難者だな。まぁ俺は記憶が殆ど無いしアヤに至ってはロボットだから感染することはないが…俺が君を助けたのは近くで悲鳴を聞いたからにすぎない。見過ごしている間に整備課に行くことも出来たが、それだと後味が悪くなるから助けたと言った方がいいかもしれない。で、どうする?俺たちと一緒に施設を脱出するか?5秒以内に決めてくれ、こっちも脱出しなきゃいけないからな…そら、化け物達も音に寄ってきたぞ」



先程の悲鳴を聞きつけてか、感染者の群れがうめき声を伴って近づいてくる音がする。

それもダッシュしてくる音だ。

あと30秒以内に整備課の部屋に入ってやり過ごさないといけない。

ミホは不機嫌そうな顔をしながら答える。



「…分かったわよ、あの感染者達に殺されるのは嫌、一緒に行くわ…」



「よし、じゃあ整備課の部屋に入るぞ…チッ、鍵がかかってやがる。仕方ない、アヤ、ショットガンでドアの鍵を撃ちぬいてくれ!ミホ、アヤの後ろに居ろ、弾が跳ね返ってきて当たるかもしれないから…早く!!」



「分かりました、では撃ちます…!」



アヤがドアの鍵の部分をRM870で撃ちぬいた。

至近距離から撃たれたこともあり、破片と共にドアの所に穴がぽっかりと出来上がった。

そして鍵を壊したことで整備課の部屋に入ることが出来たのであった。

ホラーゲームやダンジョンゲームでは鍵が無いと開かないが、実際にドアというものはセキュリティー性が高い電子ロック式のものでも、素材やドアの取り付け方が悪いと容易に突破されやすいのだ。

特にスラグ弾と呼ばれる大型動物を一撃で仕留める破壊力抜群の弾を使わなくても、鍵の部分を至近距離で撃ちぬけばドアは容易に壊れる。

ただし、エクスが言っているように弾が跳ね返る危険性が非常に高いので、特殊部隊が施錠されたドアを突破するのに使うのは専用の取り付け式の爆弾か、鍵を非殺傷性の弾で撃ちぬいてからドアを蹴り破るか、音響閃光手榴弾を使って相手が身動きができない間に制圧するやり方を行うとされている。



「さぁ開いたぞ!!早く中へ!!」



整備課の部屋に入って急いでドアを閉めてから、エクスはドアの穴の開いた場所から離れて部屋の隅に隠れて音を立てないようにアヤとミホに伝えると、感染者達が部屋に入らないようにするために、ドアの穴から拳銃を突き出して先ほど撃ち殺した感染者の死体に仕掛けた粉末消火器の真ん中部分を撃ちぬいた。

すると、粉末消火器は大きな音を立ててプシューっと白い消火剤の粉末を周囲にまき散らす、感染者達がその消火器目掛けて一斉に襲い掛かり、あっという間に感染者達は消火剤まみれになった。

一通り暴れたあと、感染者達は断続的に続く銃声の音の方に走り出しっていった。

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