17:Hot Shot
廊下に出ると、銃声が鳴り響く音がエクスにもよく聞こえる。
アヤの言っている通り、拳銃やショットガンなどではなくサブマシンガンかアサルトライフルのように連射ができる銃火器で感染者を攻撃しているようだ。
その音に釣られてなのか、廊下の奥には音の発生した方に走っていく感染者の姿がちらほら見受けられる。
「やはり、あの馬鹿でかい耳をした奴が他の一つ目の化け物を指揮しているようにも見えるな………。アヤ、A区画の通気口か下水道の設計図は君の頭の中に入っているのかい?」
「いえ、区画の地図でしたらインストールされていますが、流石に設計図までは入っておりません………。ただ、区画内の整備課に行けば設計図が見つかるかもしれません、整備課までの道のりでしたらご案内できますよ」
「よし、ではまず整備課に行ってこの建物全体の通路や下水道が何処に繋がっているか確かめる必要があるな、運が良ければここから脱出できる手筈も見つかるかもしれない。急ごう、もたもたしていると俺たちまで撃ち殺されてしまうからな、案内よろしく頼む」
「お任せください、こちらです」
エクスはSSP220を構えて、アヤの先導で整備課の部屋に向かう。
音をなるべく立てないように小走りで、周囲を警戒しながら進んでいく。
これだけの大きい施設であればそれぞれ区画内のインフラ整備を行う必要性が講じる。
なので、各区画ごとに整備課の部屋を最低一つは確保してあり、施設の空調や下水、ガスなどのライフラインを維持するのに役立っていた。
だが、感染者が入り込んだこのA区画内ではその整備課の人間も生き残っているものはいないようだ。
これだけ広い施設であるにも関わらず、感染者が保有する驚異的な攻撃性と感染力によってA区画内は、もはや収拾がつかない状態となっている。
施設の最高責任者であるカワサワは、感染者・非感染者を問わずに滅菌する作戦を下したようだ。
…であればA区画内の空調設備や電気・ガスなどを止めればいいかと思うかもしれないが、この保護施設はそれぞれ電気の通電システムが複雑化されており、一度区画内の電源システムを落としてしまうと復旧に大変な時間と労力を必要とする。
故に、カワサワはそうした時間が掛かり、なおかつ労力と手間のかかる作業ではなく、事態の解決のために軍用ロボットとT89式アサルトライフルやMP5短機関銃で武装した兵士を投入した。
兵士たちにはA区画内にいる人間はすべて感染しており、恐るべき生物兵器を他の区画に持ち込まないように滅菌することが最善の手段であると教え込んだ。
なので、兵士たちは区画内にいる全ての人間を平等に殺害することを躊躇いもせずに行うだろう。
エクスとアヤが整備課へ向かっている最中にも、激しい発砲音が絶え間なく鳴り響く。
土石流のように狭い通路から押し寄せる感染者に対して撃ちこんでいる。
ルートを迂回しながらアヤは探知センサーをオンにして近くに軍用ロボットがいないか調べる。
軍用ロボットがいれば向こう側から接触しようとするだろう。
ロボットは処分対象には含まれていないので、最悪アヤだけは助かるかもしれない。
エクスは万が一の時はアヤを囮にすることも頭の中で考慮していたのであった。
「この近くにはまだ軍用ロボットの反応はありません………おそらく、まだこちらには到着していないと思われます、もうじき整備課に到着します、この先の通路を右に曲がったところにあります」
「よし、この先を右だな…それじゃ」
いくぞとエクスがアヤに声をかけようとした時だ。
明らかに感染者の叫び声ではない、ちゃんと言葉を発している人間の悲鳴が廊下に響き渡った。




