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王都

王都へと続く馬車の中で、エヴァは楽しそうに、昨日海の街で魚人から教えてもらった歌を口ずさんでいた。水の流れのような優しいメロディと、どこか異国情緒あふれる歌詞が、馬車の中に穏やかな空気をもたらしていた。アレックスは「すげぇな、エヴァ!もう覚えたのか!」と感心し、サラもリーも、その歌声に耳を傾け、微笑ましい表情を浮かべていた。

真人もまた、エヴァの歌声に心を和ませていたが、同時に、彼の思考は過去へと向かっていた。

「あの『おねぇさん』は……もしかしたら、神ではないだろうか」

真人は、これまでの経験を照らし合わせ、一つの推測を立てていた。それは、エヴァが語った「願いを叶える存在」が神ではないかというものだった。この仮説が正しければ、リーが地球で病に苦しみ、この世界で新たな、強靭な身体を得たことにも繋がると考えた。二人の転生者が、絶望の淵で「願い」を叶えられ、この世界へ送り込まれた。

そして、今のところ判明している転生者は五人。真人とアレックス、サラ、リー、そしてエヴァ。

「神は七柱……」

もし、転生者の数が、この世界の神々の数と一致するのだとしたら?そう考えると、この世界の5人も転生者がいる状況に納得が行くような気がした。仮説が正しければ、残りの二人の転生者を集めることが、この「世界の異常」を解決するための鍵になるかもしれない。彼の【鑑定】は、そこまで具体的には示さないが、推奨行動はしきりに王都へ向かうよう促していた。

数日後、彼らの乗る馬車は、アルカディア王国の王都の巨大な城門をくぐり抜けた。石造りの壮麗な建物が立ち並び、多くの人々が行き交う活気に満ちた街並みは、ゴルダインともレファンともまた違った印象だった。

一行は、騎士団の馬車に続いて、王宮内にある騎士団詰所へと向かった。そこで彼らを出迎えたのは、どう考えても戦闘向きではない、恰幅の良い体型をした中年の男性だった。

『個体名:バルドラム・グルゼン/種族:人間種、天職:盗賊、魔法適性:風』

『状態:空腹、疲弊』

『危険度:無』

『推奨行動:対話:魔導書について』

彼を見てアレックスは小さく笑った。「頭が...くく......光ってる。...異世界でもハゲはハゲるんだな。」真人はアレックスに反応を返さずに、騎士団長と共に馬車を降りた。

「うむ、よく戻ったな騎士団長。ご苦労だった。瘴気の件は、追って詳細を報告するように。で、そちらの者たちは?」

男は、真人に視線を向けた。騎士団長が説明する。

「彼らは、北方ダンジョンにて魔導書を見つけ、それを王都に届ける為、旅をしていた者です。森で危険な所を助けていただきました。」

「ほう、それはご苦労。して、魔導書とな。ならば、王宮書庫か、魔研会(魔法研究会)に届けるが良い。軍部では取り扱わん。急ぎの用がある。これで失礼する。」

男は、一方的にそう告げると、真人の返事を待たずに足早に立ち去ってしまった。

騎士団長は、申し訳なさそうに真人に頭を下げた。

「申し訳ありません、軍部大臣は多忙な方でして……。魔導書のこと。王宮書庫か魔研会、どちらに届けますか?」

サラが馬車を降りながら告げた。

「魔研会だ。」真人は一瞬驚いたが、冷静を装い、続けた。

「魔研会の方が、より専門的な見地からこの魔導書を調査してくれるだろう。そちらへ向かいたいのだが……実は、我々はこの王都に来るのが初めてで、地理が全く分からないのだ。地図を頂けないだろうか。」

騎士団長は頷いた。

「それであれば、地図をお渡ししても良いが、案内人がいた方が確実でしょう。私達は軍部への報告書をまとめなければならないので...。」騎士団長は少し考えてから、続けた。

「ちょうど、この隣に騎士団学校があります。そこの優等生がいいと思います。今の時間なら、訓練所にいるはずです。少し変わった女騎士だから、見ればすぐに分かるはずです。」

真人は礼を言い、5人は騎士団学校へと向かった。広々とした訓練場からは、金属がぶつかり合う音が響いていた。騎士団長の言葉通り、そこには一際目を引く女性騎士がいた。

彼女は、驚くほど流れるような動きで剣を振るっていた。そして、真人が目を見張ったのは、彼女が振るう剣そのものだった。

その剣は、時に敵の懐に潜り込むための短剣へと瞬時に形を変え、時に重厚な一撃を放つための大剣へと変化していたのだ。それは、常識では考えられない、まさに「異常」な剣技だった。

真人がその剣技に釘付けになっていると、その女性騎士が、ふとこちらに気づいた。彼女は訓練を中断し、白い歯を見せて、眩しいほどの笑顔で近づいてきた。

【本日の残業報告】

・転生者5人目:笑う、歌う(猫耳ぴこぴこ継続中)

・転生者=神の使徒説浮上(未確)

・メインクエスト:王都へ迎え→達成

・個体名:バルドラム・グルゼン/状態:ハゲデブ

・魔導書搬入処理→魔法研究会踏査へ移行

・地図求ム→案内人の紹介フェーズ

・騎士団学校にて異常な剣士を発見


#本日の残業報告#エヴァの歌は心を洗う#神はおねぇさん派かもしれない#転生者の数=神の数説#やっと着いた王都#戦闘なければリーさん空気#魔導書は魔研会送りbyサラ#変形剣とかチートすぎません?#笑顔より怖いものは無い

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