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ゴルダイン

広大な地底王国ゴルダインのメインストリートを、真人とアレックスが歩いていた。アレックスは周囲の多種多様な種族が行き交う光景に、好奇心と驚きを隠せずにきょろきょろと見回している。その少し後ろを、サラが淡々とした足取りで続いていた。

真人は、ちらりと後ろを振り返り、サラに声をかけた。

「コノハ、いや、サラ。無理に付き合わせているわけではない。もし嫌なら、さっきの家に残っていても構わない」

サラは琥珀色の瞳を真人に向け、表情一つ変えずに答えた。

「別に。着いて行くと言ったのは私だ。それに、【直感】がこの街のなにかに反応している。」

真人は、その言葉に安堵し、また同時に、彼女の【直感】というギフトのシステム的な論理では割り出せない可能性を感じた。

「すげぇ!あそこ、武器屋じゃねぇか!ドワーフ製か!?見に行こうぜ、ブラザー!」

アレックスが、突然立ち止まり、目を輝かせながら大きな建物を指差した。彼の目には、武具店の看板が映っていた。真人とサラも、彼の勢いに引きずられるように、その店へと足を踏み入れた。

店内には、ずらりと並べられたドワーフ製の武器が、鈍い光を放っていた。そのどれもが、熟練の職人によって丹念に鍛え上げられた逸品であることが一目でわかる。

真人は店内の武器に【鑑定】を発動させた。

『対象:武器/種類:片手剣、材質:ミスリル合金』

『特性:斬撃力強化(中)、高耐久性』

どれもが素晴らしい性能を持っている。アレックスは目を輝かせながら、陳列された武器に次々と手を伸ばし、感触を確かめている。サラは一歩離れた場所で、静かに店内を見回していた。

その時、サラの【直感】が強く反応した。彼女は迷うことなく三つの武器を選び出した。

一つは、真人の背丈よりも大きな、重厚な杖だった。先端には翠色の宝石が埋め込まれ、杖身には見慣れない美しい木目が刻まれていた。

真人が鑑定にかけた。

『対象:武器/種類:杖、材質:エルフの里の古木、宝玉:森の精霊石』

『特性:魔力増幅(極)、魔素収束(極)、耐久性高』

『価値:白金貨六枚と小白金貨一枚』

もう一つは、アレックスが持つに相応しい、三日月のような流線形の刃を持つ黒い双剣だった。柄の部分には滑り止め加工が施され、まるでアレックスの手に吸い付くようだ。

アレックスが手に取り、構えてみていた。

『対象:武器/種類:短剣(二刀流)、材質:黒魔鋼』

『特性:斬撃力増幅(高)、隠密行動補正』

『価値:白金板貨一枚』

そして、最後の一つは、サラ自身の弓に相応しい、美しい五本の矢だった。矢羽は艶やかな光沢を持ち、珍しい鳥型魔獣の羽が使われている。

『対象:武器/種類:矢(五本)、材質:霊樹の枝、矢羽:幻鳥の羽根』

『特性:命中精度向上(高)、貫通力強化(中)』

『価値:白金貨五枚』

「これにしよう!」アレックスは黒い双剣を手に取り、興奮気味に言った。

真人も、自分の【魔法士】としての能力を最大限に引き出すであろう杖を手に、強く惹かれていた。

店主のドワーフが、彼らの選んだ武器の合計金額を告げる。「合計で、白金板貨二枚と白金貨一枚と小白金貨一枚だよ!」

真人は財布の中身を確認した。手元にはマリアから貰った白金貨二枚と、馬車代を払った後のお釣り小白金貨一枚、合計で白金貨二枚と小白金貨一枚しかなかった。

アレックスも自分の財布を漁るが、出てくるのは銀貨や銅貨ばかりで、全て合わせても小白金貨一枚にも満たなかった。

「うそだろ!?こんなにいい武器なのに、買えねぇのかよ!?」アレックスが喚き始めた。

サラは自身の選んだ矢を手に取り、店主に小白金貨一枚を渡した。

「私はこれだけを買う。」

店主は、首を傾げながら受け取った。

「お嬢さん。いいのかい、彼らの分は。」

「あぁ」サラはキッパリと答えた。

アレックスがガックリと肩を落とした、その時だった。

「おや、こんなところで何をしている。」

聞き覚えのある声が聞こえ、店の入り口からリーが姿を現した。彼女は両手に大きな毛皮の袋を抱えている。

「リー!見てくれよ!すげぇ武器見つけたんだけど、金が足りねぇんだ!」アレックスが縋るようにリーに訴えかけた。

リーは、真人とアレックスが持つ武器を一瞥すると、フッと鼻で笑った。

「なるほど。この程度なら」

彼女は、抱えていた毛皮の袋を床にドンと置いた。中からは、魔物の丈夫な毛皮、珍しい角などが転がり出た。

「おい、店主。これの買い取り額はいくらだ?それと、こいつらの武器の代金、ここから払っておいてくれ」

リーの言葉に、店主のドワーフの顔色が変わった。彼はリーが抱えてきた品々を検分し、目を見開いた。

「これは!いつもながら、高ランクの魔物の素材ではないか!いつもありがとうな。バルネッタ。」

リーは、倒した魔物から得た素材を、武器防具屋や食堂屋に売って生計を立てているようだった。その金額は、真人が予想していたよりもはるかに高額だった。こうして、真人とアレックスは、リーによって新しい武器を手に入れた。

「あ、そうだ。吹雪が止んだから、ダンジョンへ出発するぞ。」

会計を終えたリーは、確定事項のように三人に告げた。彼女の言葉に、真人も、アレックスも、そしてサラも顔を見合わせた。この地底都市に滞在する期間は、本当に短かった。

「マジかよ!もう出発か!?」アレックスは、まだ街を冒険し足りない様子だったが、新しい双剣を手に、どこか嬉しそうな声色を秘めていた。

一行は、新たな武器を携え、リーの案内で、ダンジョンへと向かった。ゴルダインの街を出て、北方へと続く街道は、厳重に警備されていた。一行はその街道の先で、巨大な洞窟に辿り着いた。そこには、これまで見てきたダンジョンとは比較にならないほどの、おぞましい魔素が充満していた。

『対象:空間/名称:古代の淵ダンジョン、状態:魔素濃度:極高』

『危険度:極高』

『行動予測:多数の魔性体生息』

『推奨行動:慎重な進行』

ダンジョンの内部は、一歩足を踏み入れるごとに魔物が出現するような、危険な場所だった。しかし、リーの前では、どんな魔物も無力だった。彼女は、一撃で魔物を仕留め、流れるような動きで次の敵へと向かった。真人が魔法を構える間もなく、アレックスが透視で敵の位置を把握するよりも早く、魔物はリーによって葬られていった。

「……なんか、俺たちいらなくね?せっかく新しい武器手に入れたのに...。」アレックスは、自身の双剣を虚しく眺めながら、真人に囁いた。

真人も、その効率的な戦闘を目の当たりにし、苦笑いを浮かべた。彼の【鑑定】と魔法、アレックスの【透視】と盗賊スキル、サラの【直感】と弓術。それぞれが連携すれば強力なパーティーとなるはずだった。しかし、このダンジョンの魔物の大半が好戦的で、トラップのないダンジョンであったのもその一因だが、純粋な戦闘力でリーは遙かに他三人を凌駕していたのだ。

あっという間に、一行はダンジョンの最奥へと到達した。そこには、広々とした空間があり、中央には巨大な壁がそびえ立っていた。壁には、見たことのない複雑な文字がびっしりと刻まれていた。そして、壁の前には、古びた石の机が置かれ、その上には一冊の分厚い本が静かに横たわっていた。

真人は、その壁と本に【鑑定】を発動させた。

『対象:構造物/種類:古代文明の壁、状態:少し破損』

『情報:古代文字が刻まれている。解析不可。』

『対象:遺物/種類:古文書、状態:劣化、しかし読解可能』

『情報:古代文明の記録。解析不可。』

『推奨行動:文字の解析、情報の取得。』

「これは……」真人は、その鑑定結果に目を見開いた。古代文明の遺物であり、それを解析することが真人の【鑑定】ではできないことが表示されていたからだ。

【本日の残業報告】

・地底王国ゴルダインの探索

・ドワーフ製高性能武器の取得

・吹雪の収束に伴い即時ダンジョン出発

・「古代の淵」ダンジョンに突入

・リーによる戦闘制圧

・最奥にて古代文明の遺物を発見


#本日の残業報告 #修復系主人公#サラさんの直感は今日も冴えてます#リーの戦闘力にはバグがありそう#僕達もはや観客#リー様に足向けては寝られない#古代文字の仕様書ください#解析班出動求ム

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