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旅立ちの時  作者: 美藤蓮花
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久しぶりの再会

鎌ちゃんはどうとう旅籠についた。

鎌ちゃんが生まれ育った街は山と川、それに田畑が広がる。江戸とは違い、住む人の数も違う。


江戸へ行き、その人の多さに驚き、見たことのない数の店にまた驚く。どこか垢抜けた人達が多いけれど何故だろうか。とても暖かい。


その土地に馴染めたのも、夕霧さんと道蔵さんのお陰。また厳しいけれどその何倍も優しい鏡山親方や、兄弟子達のお陰。


今度は大阪の土地へ初めて向かう。どんな人達がいるのか、鎌ちゃんには楽しみでしかない。


みんなより少し早めに出発した鏡山親方と鎌ちゃんは、ようやく夕霧と道蔵の旅籠まで辿りつくことができた。


麓のおばさんの店の前を通ったが、少し遅かったせいか、店じまいした後だった。


また明日にでも会いにこよう。


夕霧の旅籠の前まで来て驚いた。まだ季節は冬で、この時期の旅籠はがらんとしているハズなのに、灯りが沢山ついている。


ごめんください。


はーいと出てきたのは、知らない中居さんだった。


あいにく今日はもう部屋が満室で。


というので鎌ちゃんは、夕霧さんは居ますか?と聞いた。


女将ですか?


はい。鎌太郎と言います。


鎌太郎さんですか。。少しお待ちくださいね。


中居さんは一礼すると夕霧を呼びに中へ入っていった。


綺麗に結いあげた髪に仕立ての良い着物を着て夕霧が急ぎ足で鎌ちゃんたちの方へきた。その顔に満面の笑みを浮かべて、少し涙ぐんでいる。


鎌ちゃん!おかえり!


道蔵がよくやっていたように夕霧は鎌ちゃんを抱きしめた。


あー、お家に帰ってきたんだ。そんな安心感に包まれるようで鎌ちゃんの身体の中から緊張やら、何やらが全部消えていくのが自分でもわかる。


ただいま。夕霧さん。


夕霧は、少し離れて鎌ちゃんをジロジロみて、言った。


鎌ちゃん!相撲取りになるのに、全然変わってない!親方、鎌ちゃんにいっぱいご飯食べさせてます?


鏡山親方はそれを聞いてワハハと笑った。


まだ17だから食べても肉にはならず。背も伸びず。ただ消化がいいのか1番食べるようになったのに太らないんだ。


でもほら、少し腕や足が太くなったでしょ?


鎌ちゃんが腕やら足を夕霧に見せてくるけれど、


うーむ。よくわかんないわ。


その一言に鎌ちゃんはもう笑うしかない。デカくも太くもなれない自分が少し情け無い。


それを察したのか鏡山親方は鎌ちゃんの肩をトントンと叩く。清吉さんの言葉を信じろ。大丈夫!大きくなる!


夕霧は、客間が全部埋まってて。道蔵の部屋があるんだけどそこでもいい?鏡山親方もすみませんがいいですか?明日には部屋へお通しできますので。


あとでいっぱい話をしようね!鎌ちゃん!


私も手伝います。


疲れてるでしょ?休んでてね!あとね、いま中居さんが2人いるから大丈夫よ。


そろそろ部屋の用意ができる頃だから案内するね。


夕霧は嬉しそうに鎌ちゃん達を部屋へと案内したのだった。





夕霧の話を聞いて、お雪の祝言の話を知る。

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