９話 爆発と対人戦
遅くなってほんとにすいません。いろいろやってたらこんな日にち経ってました。
「……誰かに、追われてる。」
セシルが何かに気がつく。スキルなのかなんなのかわからないがカナはとりあえず索敵をしてみる。
「え？ ……でも、なんで？ 恨まれるようなことした覚えないよ？」
「たぶんそのグレネードランチャー狙い。私はここらへんで応戦するから、カナはあそこの丘へ出て」
セシルは、50メートルほど前にあるゆるやかな丘を指さした。今２人は森の中を走っているので、グレネードランチャーをより活用するには開けた場所からのほうがいい。しかし、その分相手からも撃たれる可能性はあがる。
男たちとセシルの距離は、約100メートルになった。通常なら十分射撃できる距離なのだが、お互い相手が見えない。草は生えていないが、巨大な大木があたりに乱立しているからだ。
「ちっ、あいつら逃げたか？」
「あの丘の方向に逃げてる。たぶんあそこからぶっぱなす気だ」
男たちが走り去った後ろ、木の陰から１人の少女、セシルが現れた。そしてカナのほうへ向かっている１人の男へ向けて、銃身を合わせる。
「へぶっ」
銃声とともに日本語にない言葉を発しながら体が四散した男を、仲間はしっかりとみていた。それぞれが近くの大木に隠れる。そして時折体を出しては撃って隠れる。飛んできた弾丸の一つが、セシルの脇腹に当たる。現実ほど痛くはないが、それなりの衝撃が走る。
「っつ。カナの出番かな」
セシルは、1発だけを撃ち放った。その弾は男たちへ、ではなく空へと向かっていった。そして、それをカナは見ていた。
「よし！ 私の出番だ」
ぽんぽんぽんぽんぽんぽん。
6回の軽快な発射音がわずか３秒で響き渡る。その音は遠く男へも聞こえたが、避けるほどの時間は与えられなかった。発射音とは裏腹な爆発音と共に男は光に呑まれ、吹き飛んだその体は消滅した。
「うわっ！？」
セシルの横腹に被弾エフェクトがきらめいた。顔を上げると、こちらへ近づくなにかが見える。ふたたび視界から外れ、今度は左腿に鋭い痛みがはしる。思わずアサルトライフルを落としてしまいそうになりながらも後ろを振り向くと、そこにはさきほどの男が立っていた。
「よお嬢ちゃん。よくも俺の仲間をやってくれたねぇ。この借りは、返しても」
男はまだ喋ろうとしていたが、セシルはそれを無視した。アサルトライフルを構え、その先から鉛が飛び出す。しかし、その先には男はいなく、すでに射線の下にいた。
数発撃つと、セシルの指が引き金から離れた。膝をついてやがて倒れ、そこでセシルは理解した。腿を切り裂かれた刃には麻痺毒がぬってあったのだ。
「ひひっ、そのアサルトライフルといい、色々持ってそうじゃねえか。それに、いい体してるしよぉ」
セシルに悪寒が走る。MMORPGは手で操作をするものが多いため、麻痺状態などで相手が操作することも可能だ。個人情報などはパスワードが必要だが、持ち物や、設定などは任意でパスワードをつけるものが多い。この男は、持ち物を盗んだ上で設定を変更しあんなことをしようとしてきているのだ。
「今から屈辱を味合わせてやるよぉ！」
「……この……クズっ！！」
男が設定を変え終わり、いざセシルに触れようとする。セシルは目をつぶる。
「ごふっ！」
直後、男の顔が180度回転した即死判定が入り、男が消し飛んだ。カナがグレネードを起動させずに
「セシル、大丈夫だった？」
「ありがとカナ……二つの意味で危なかったわ」
そういいながらポーションを飲み、カナに見えないように設定を変え、パスワードを設定する。
「2つ？ 2つって、どういうこと？」
「さ、ささっ。はやく狩りにいきましょっ！」
強引にカナを黙らせて、モンスター狩りを始めた。
