第83話 美味しいランチと浮かび上がる謎の空白
月日というのは早いものである。俺達が農場に帰還してから早くも一週間がたった。平和な日々ほど大切なものはない。太陽が空に大きく昇る頃に畑に向い太陽が沈む頃に農場宿舎に帰る。そんな当たり前の日々に今は心から感謝している。
「ユキオスお帰りかい。今日の晩御飯は炒飯とカレーライスだ。楽しみにしてな!」
優しいゴーレムさんは俺を見るなりそう言った。個人的には最近ランチのメニューが炭水化物ばかりのような気がするが……。いや、それは気のせいなのかもしれない。
「優しいゴーレムさん。俺、夕食後に古書室を利用したいのですが、良いですか?」
「古書室ねぇ。本当にあんたは勉強熱心なんだねぇ。おばさん感心するよ。鍵持っていきな!」
俺は優しいゴーレムさんから鍵を手に入れた。
***
炭水化物中心の夕食を心から堪能した後、俺は古書室に向けて歩きだした。古書室は農場宿舎二階にある。俺はここであることについて調べたかった。
五分後、俺は古書室の扉を開けた。
――ギィィィィ……。
古めかしい扉を開けると埃っぽい匂いが辺りに漂う。書架にはたくさんの本の数々。ここに俺が探している古文書『アッグッラッグス・ゴヤース写本』がある。
本を持ち席に座りページを開く。
「これが……。パルメクル地方アルヤゴ山探索における冒険記録要項」
そのページに書かれている文字をゆっくりと凝視しながら見つめる。この記録は今から約二百年前に実在した冒険家ミルカアナダ・レオルパース・ゴヤースが世界各地を訪れてその土地の冒険記録を調べ記した記録全集である。
アルヤゴ山を現在のパルメクル国土測量局発行の国土全図と照らし合わせてみる。
「ん……。ア、アルヤゴ山が地図上から抹消されている――!?」
最新の地図を見るとアルヤゴ山があるべき場所が荒れ地になっている。山が消えてなくなることがあるのだろうか……。
記録によるとアルヤゴ山からは希少鉱石である磁場興石『フゴール・ラ・タルーム・ガンマ』が採掘されるらしいが……。
「フゴールは極少量ではあるが、浮力成分を秘めているか――。まさか!?」
ここである可能性が浮かび上がる。
「飛翔筒に関する秘密閉鎖研究施設及び実験場がここに……。あるのか……」
これは継続して調べてみる価値が大いにあるぞ。




