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第81話 畑のチカラと俺待つ珈琲~隊長の視点編~

「ふぅ……」

 くわを持つ手が戸惑う。こんなにも自分の手にプレッシャーを感じるのは久しぶりのことだ。

 照りつける太陽はとても暑く、その下で俺はそよ風を待っている。

 話を少し戻そう。なぜ戸惑うのかというと今日はまだ珈琲コーヒーを飲んでないからだ。最近私的流行さいきんマイブームのバルジジンーソーン産の珈琲豆を切らして早一日と三時間ほど。

 一刻も早く珈琲を飲まなければ……。


「そう言えば隊長さん。最近ユキオスさんを見ないのですが、どうしたんですかい?」

 パートタイマーゴブリンのオルゴフレインさんが俺にそう問いかける。そう言えば彼らにはユキオスがどこにいったのかを言ってはなかった。


「ユキオスはなぁ……」

 いや、待て俺。彼がドミルセーエフ市にいるのは実はトップシークレットなのである。残念だかオルゴフレインさんには伝えることができない……。


「ユキオスはあれだ、夏休みだ」

 パッと思い浮かんだ言葉を俺は口に出す。


「夏休みですかい。そりゃあ残念だ。おらユキオスさんに村で採れたジャガイモを食べさせてやりたいんだ」


「もうすぐ帰ってくるから大丈夫だよ」

 どことなくラフな雰囲気を醸し出しながら俺はオルゴフレインさんにそう言う。彼をガッカリさせるわけにもいけない。今は農場運営幹部スタッフが二人もいないのだ。パートリーダーの任にあるオルゴフレインさんには今まで以上に奮起してもらわなければならない。


「隊長――! 三時だから休憩するよ――!」

 空間を振るわすような声が聴こえる。誰だろうと思い振り向く。そこには優しいゴーレムさんがいた。時間とは早いものである。もうそんな時間タイムか。


「よし、みんな十五分休憩だ」


「へい!!」


 ***


「そういやさっきゴ・バザさんが珈琲豆を届けにうちの宿舎に来たよ」

 俺がおにぎりを頬張ってる時、優しいゴーレムさんは俺の目を見ながらそう言った。


「珈琲豆――。それはまさかベルジジンーソーン産のか?」


「私は知らないよ。自分で頼んだんだろ。自分の目で見な!」


「はい」

 ここは素直に返事をする。資格取得にも熱心で食堂料理長の任にもある優しいゴーレムさんには正直頭が上がらない。もしケンカにでもなったら今日は飯抜きになってしまう。

「ユキオスよ、それに町衣紋大尉。早く帰ってこい――。そして、みんなで珈琲を飲もう……」

 俺は太陽を肩で感じながらそう一言つぶやいた。


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