第67話 前哨戦
時計塔の頂上はまだ季節が夏だというのにとても寒い。港町だからか海側の風がびゅうびゅうと吹いてくる。辺りは夜も深まりとても暗い。
「うぅ……。緊張する」
ついそんな弱音を吐いてしまう。ガルシアヌス達は本当に来るのだろうか。もし囮情報に騙されなかったら――。
「ん――!?」
その時、遠目からではあるが何かが近づいてくるのがわかった。大砲に車輪がついているのだが、勝手に前進してくる。なんだあれは……。
――ドーン!!
その時、轟音が俺の耳に刺激を与える。下を見るとラバイトス商会の正面玄関が見るも無惨に破壊されていた。
「あれはまさか――。特定突撃型重自律式火砲アグリスⅥ?」
まさか奴等そんな重兵器まで持ち出してくるとは――。しかし、暗くてよく分からない。ガルシアヌスが連れてきた部隊の数も。
「よし、とりあえず狼煙を――。ってもう遅いか。早く町衣紋さんの加勢に行かねば!」
そう思い直した俺は勢いよく階段を降りた。
***
――ドーン!!
着弾音が辺りに響く。
「ユキオス出るな。伏せてろ」
瓦礫の山と化したラバイトス商会正面玄関で町衣紋さんがそう俺に危険を訴える。そう言われなくても出れない。
「町衣紋さん、恐らくあれは特定突撃型重自律式火砲アグリスⅥです。ベヤゴ・ルッフ式自動砲弾装填装置による六秒間隔自動砲撃を実現した最新式重兵器です!」
「……。ユキオスお前よく知ってるな」
「農場の図書室に置いてあった最新兵器名鑑に書いてありました!」
「さすがお前物知りだな。で、弱点は何だ?」
「照準固定型なので後ろに回り込めば何とか破壊できると思います」
「後ろか――。それじゃあユキオスは囮になってくれ。その隙に弓を使ってあれを破壊する!」
「わかりました。では!」
そして俺は勢いよく飛び出した。




