エクスラシャペル観測期記物語
「うにゃぁー」
「やはり、段違いだな、、、」
ここ、エクスラシャペルの平均的な図書館において私は嘆息した。
「うなぁーうにゃー」
「おい、お前、うるさいぞ」
「ふしゃぁ!!!!」
「蹴っ飛ばすぞ!」
そこで気づいた、周囲の白い目を、俺はそそくさと退室した、ソイツの首根っこを捕まえてな。
「ごめんね」
「なぜ、あんな事をしたぁ?」
図書館を出て、街路の裏方、日の光が余り入らないジメジメした場所。
目の前の金髪ツインテール蒼目の、これなんてエロゲ?みたいな見た目ロリ系しかしアダルティなアンバランス体系の猫耳少女に問う。
「だって、幾らつついても、相手してくれないんだもん」
「俺は本を読んでただろうがぁ」
「だってぇ、、、寂しかったんだもん」
「退屈だったってことかよ」
「うん、、そうともいう」
「本でも読んでれば良かったろ」
「タクミの読んでる本、なかった」
「別の本でいいだろ?」
「やだった、だから目の前のタクミに構って欲しかったの」
「どういう理屈だよ、まったく」
あー話にならんなぁー。
コイツは俺以外に何もない、つーかいらないとか、素で言う異常性愛者(性的な意味じゃない方)なので、しかたないのかもしれんが、、。
「もういい、今日はもう帰るぞ」
踵を返して、大通りに向かう。
路地裏から日のちゃんと当たる大道に出る。
と同時、うしろからしゃらりしゃらりと金髪靡かせる影が横を過ぎ、俺の前に立つ奴が手を差し伸べてくる。
「手、つなごおぉ?」
俺はそのつぶらな瞳と甘えた声を無視して、横を過ぎた。
すると追っかけて来て、了解なしに手をむんずと掴んできて、更にしなだれ掛かって来た。
「なんで無視するのぉ?!」
「ほれ、どう答えようとこうなる、さっさと行くぞ、俺は一刻も早く家に帰って本が読みたいんだ」
「うぅ、、なんでそんなに本の虫なのさぁー」
「まあ、本が常軌を逸して、おもしろいからな」
「そんなに面白いの?」
大道を恋人みたいに歩きながら、隣の奴が小首かしげて割かし落ち着いた声で尋ねてきた。
「ああ、永遠に読んでいたいくらいだ」
「うぅぅぅ、それじゃーわたしが構ってもらえないよぉー、、、」
哀れみ誘う声色で涙目になって言ってくる、まったくしょうがない奴だなホントこいつは。
「そうだな、それじゃ一日10分くらい遊んでやる、それでいいだろ」
「そんなぁーっペットじゃないんだからぁーそんなんじゃ満足できないよぉぉー」
クズリながらも甘えるようなタルイ声だ、聞いてて頭が変になりそうである。
「うるせえ、ぐだぐだ言ってると、捨てるぞ」
「ひどいぃぃ、、、」
俺の袖でしくしく涙を擦って、しこしこやってる少女を眺める、なんとなく唾が沸くような思いである。
「冗談で、なんでそんなになってんだよ」
ぼりゅーむのある頭部を撫で付けて、あやす様にしてやる。
「うぅぅぅぅ、冗談でも、酷いよぉぉ」
まんま泣き顔で、苛められた子猫のような顔を晒す、上目である。
「これが俺だ、嫌ならどこへでも行くんだな、止めやしない」
「絶対に行かない、それがタクミなら、最大限、絶対的に好きになるぅ」
なんか真摯を感じる真剣さの欠片をみせてきた。
「ふん、都合のいい奴、なに企んでんだろうな」
「なにもないよぉー、ただタクミの事を愛してるから、、、それだけだよぉ?」
余りにも俺に対して純真で純粋、存在として壊れてるんじゃないかってコイツの精神構造には、毎度なにか大きく感じずにいられない。
その後家で適当にエロ漫画みたいにしてやった後、本を一人掛けの椅子に座りながら、日の暮れた夕焼けに照らされながら読んでいた。
「あぅ、、、」
恨みがましい目で、こっちを見てくる奴が視界の端に映っていた。
行為の最中、身体の節々を痛めるくらい激しく揺すったから、早々に筋肉痛にでもなったのか。
まあ奴はドが付くくらいのMだ、気にするだけ無駄通り越して下らない話だ。
これは奴が自分からお尻を鞭で打って欲しいって懇願してきたんだからお墨付きだろう、まあ鞭なんて無かったから平手で真っ赤にしたわけだが。
「タクミぃ、、」
端の無様な感じの奴を見るともなく存在だけ感じていると、呟くように名だけ呼ばれたが、スルーってか無視する。
すると、よたよたと猫が歩くように奴は近寄ってきて、座る俺の下方から何事か言おうと何度か躊躇いを見せつつ、視線を俺が一瞥やったタイミングで言った。
「あそぼぉ」
「遊んでやっただろうが」
「あぅ、そうじゃなくて、、、」
「はぁー」
俺は手近の手の届く所にある小さい小物棚から、細い棒状のモノを出して、奴の目の先で揺らす、ちなみに猫じゃらしである。
「うぅー、、」
不服そうな顔しながらも、猫の手みたいな形にして、えいえいと猫じゃらしを小突くようにしてきた。
「ふっ、マジモンの猫か、おまえは」
「むぅー」
具体的には何も言わず、不満そうに緩く俺を見つめて、無言で何か訴えてきた。
「なにして欲しいんだ? 言ってみろ」
支配者の貫禄で、変に気取った声で言ってやる、なんか凄く偉くなった、なったつもりだ。
「可愛がってほしい、、ですぅ、」
「ふーん、、十分に可愛がってやった、そうじゃないか?」
ニヤリとする。
「いじわるぅ、、、、焦らしプレイ?」
「わかってるじゃないか、欲求不満で、変にジタバタ魚みたいに、そんな様を見せてくれたら今すぐ可愛がってやる」
するとキョトンと目をまん丸にした後、直ぐに床にゆったり仰向けになり、背筋を使ってくねくね跳ねたり左右に揺れたりした。
そのあいだ、ずっと切なそうな瞳で、何か訴えかけてくるような視線を向け続けてきていた。
「お前は俺がやれといえば、何でもするんだな」
言うと横から立ち直る。
「するよぉ、タクミを愛してるから」
コイツの主義主張は常に一貫しているな。
偏執的にも見えるソレだが、確かな理性で保たれ、狂気に至っていないと、少なくとも何時もコイツと一緒にいる俺は思い感じている。
「俺は、お前が俺を愛するレベルでは、お前を想ってないぞ」
「関係ないよ、それは」
「ほーお、お前は俺に愛されたくないのか」
「そうじゃないよぉ、愛されたい、でも、愛されなくても、わたしの愛は絶対不変、ただそれだけ、なの」
「人の心に、絶対なんて無いんだぞ」
「あるよ」
「ない」
「ある」
「絶対ない」
「絶対にある、ここにあるもん」
「そうか」
「うん」
俺が折れた事を認めて満足でもしたか、にこやかな顔して頭を俺の身体に預けてくる、気持ち良さそうにしている。
「まあ、いい、、、それじゃ俺は本を読むから、邪魔するなよ」
すると、少しも立たずに、直ぐに横手から猫の鳴き真似が、だんだん間隔が狭くなる形で連発され始めるのだった。




