遠未来研究部-SF小説と奴隷
「おいシャル、昨日の更新よかったぜ」
「そう、貴方も毎回律儀に言ってくるのね」
「ああ、感謝してるからな、心底」
「それじゃ、私の奴隷にならない?」
「うえぇ、それはちょっと、、、」
「冗談よ馬鹿みたい、いえ実際馬鹿だったわね」
「なんだとぉー!!!!!」
手を怒らせて怒った、腹が減った、飯を食っていたらむしゃくしゃも収まったので良しとしてやった、俺はホント心優しいなぁ!
彼女シャルは、スケールが馬鹿でかい、更に超長編の、SF〈スペースファンタジー〉のネット小説をほぼ毎日の更新でコツコツ書いている。
これが、ガチでマジで凄く面白いのだ、形容するなら滅茶苦茶レベルかね。
全50部からなる超長編予定、今現在実際に執筆され閲覧できるのは第五部までだが、それだけで文庫本100冊の文書量という膨大である。
プロットは既に最後まで細かく精密に創作されており、サイト内で設定資料として見ることも出来る。
これまた本編と同レベルの膨大な文量である、世界観や設定等、キャラクターの概略遍歴等もあり、ネタバレを考慮しても読まないのが損なほど、それだけでも面白かったりする。
「シャル、お前生きてる間に、完結できると思うか?」
「さあ、私の能力も無限じゃないから、クオリティーを下げずに創作しようとすれば、一生の事業になりかねないけど、完結させる気はあるわよ」
「そうかー、大変だと思うけど、頑張ってくれ」
「ええ、尽力するわ。
ところで、貴方が私専属の奴隷になってくれれば、より頑張れる気がするんだけど?」
「お前のその!歪んだ願望はなんなんだぁ! そんなに俺を奴隷にしたいかぁ!」
「ええ! したいわぁ!」
「やめろぉ!!!」
「やめないわぁ!!!」
「俺は絶対にお前の奴隷になんかならないぞぉ!」
「はぁ、ふぅ、、なんて、冗談よ、馬鹿みたい、こんな下らない事で熱くなっちゃって、ばーかばーかぁ」
「しばいたろか!この!この!」
「はぁーあ、最初会った時は、凄く御しやすそうな、大人しそうで弱弱しいオドオドした僕っ子だったのに、何時からそんなになってしまったのぉ?」
「うるさいよ、そんな昔の話はしらない、し、だいたいなんだそれはぁ、俺はそんなに頼りない感じだったか?」
「ええ、まあ大方、私を守れるような立派な奴隷になりたくて、今のような”俺”になったのでしょう?」
「そうだな、少なくとも絶対に、お前にだけは劣らない、立派な男になるのは絶対防衛線、てか死守ラインだなって思ってる」
「私だってそうよ、貴方に負けたら、即座に手篭めにされて、好き放題された後、ポイ捨てされる覚悟で日々必死なのよ?」
「俺を!どんなド鬼畜最低のクズ野郎だと思ってるんだぁ!!?」
「冗談なのに、いちいち過剰反応して、やっぱり自覚があって図星なのかしらね?」
「あぁー、もう付き合いきれないぜ、はぁー、、、」
「はぁ、奴隷ほしいわ」
「その呟き、やめてくれませんかねぇ」
「無理よ、本当に欲しいのだもの」
「試みに聞いてやる、どんなのが欲しいんだ?」
「そうね、苛め甲斐があって、純真で潔癖な、純粋さを失わない、誇り高くも折れやすい脆さを持った、儚くも美しい存在」
「具体的過ぎるぅ、、日々そういうこと考えてんだな、怖えぇよ」
「どこかに女の子に虐げられるのが生き甲斐で、絶賛そういう性癖を溜めて悶々してる人いないかしら? ちらちら?」
「こっち見んな」
「貴方って、意外と変態じゃないわよね」
「意外ってなんだ意外って、当たり前だろが、ラノベの主人公とかじゃないんだぞ」
「まったく詰まらない人だわ、フェチの一つもないなんて、人生楽しい?」
「フェチくらいあるぞ」
「へえ、どんな?」
「うーん、金髪碧眼フェチ、とか?」
ちなみに、今目の前にいる彼女は金髪碧眼だな。
「私ってね、フェチって、その特性を楽しむ能力を異常に強化させた状態を言うと思うの。
貴方が金髪碧眼をフェチにするのも、しょうがないと思う、だって常日頃から最高にフェチを刺激する対象がいるんだものね」
「そうかもな」
「、、、奴隷にならない?」
「ならないかなぁー」
「、、貴方の人生なんて、どうせ下らないんだから、私の為に人生捨てても問題ないでしょうが」
「この野郎、好き勝手いいやがるな、俺の男を否定して、平気でいられると思ってる?」
「乱暴するの?」
「そんな事はしないけど、悪口はやめてくれって事だ」
「嫌、貴方を罵倒して、沢山の罵詈雑言考えたり、それをどのタイミングで何時吐くか、それを楽しむのが私の生き甲斐の一つ、我慢して」
「勝手なことを、そういう考えなら、俺もお前を罵るぞ」
「犯罪ね」
「シャルもやってるだろう」
「いい、、美少女の罵倒は、ご褒美なのよ、きっと司法的にも認められているんじゃないの?」
「なわけあるものか、お前は馬鹿か」
「ええ馬鹿よ、偶には馬鹿になりたいと思ってしまうくらい、馬鹿よ」
「嫌味な感じだぜ、それ」
「頭が良すぎるとね、何も考えない時ってのが無くなるんだけど、本当に偶にはそうなりたいってのは本心よ」
「俺にはわからない世界だ」
「だから私の奴隷になれば、毎日調教してあげて、考えられる限り最高の状態に、貴方を仕込んであげるって言ってるでしょうが」
「遠慮しておくよ、そこまで望んでないし」
「向上心の無い馬鹿ね」
「いや、むしろそれは人間的に堕落してないか」
「ふっふ、どうかしらね、試してみない?」
「それ、不可逆だからな、ここは安全策を取ることにするぜ」
「つまらない話、利益の為にリスクを蒙る事を恐れている、というか、本当に私の奴隷になるつもりはないの?ねえ?」
「どうとでも言っててくれ、俺は絶対に奴隷になりえないから、他を当たってくれ」
「いないわよ、貴方よりも、撃って響くような良い音が鳴る、肉奴隷は」
「もう怖いから、お前は喋るな」
その後分かった事であるのだが、最近彼女はスランプで、自作の小説の執筆が滞っているらしい。
だから、そのストレス発散の為に、まあ溜まっているらしいな。
俺にその全ての矛先を向けたく、有り余る彼女の熱情をぶちまけたいって告白されたった、俺は恐怖に戦慄しながら愚痴を延々聞いた。
だが非人道的であるからして、半分は冗談で、もう半分は狂気に染まっていた、理性がなければ大変なことになっていたぞ。
最後彼女は聖女のような笑顔で、俺に感謝を口にした。
で、去り際に、つぶらな瞳で俺の袖口を掴んで「わたしの奴隷になって」と言われた、もちろん俺は断り、その日は其処で別れた。




