幻想世界の幻想御伽噺譚-雷平原から
「うにゃぁ~!!雷が降って来たぁ!!!」
「当たり前だよぉ!! ここは雷平原なんだからぁ!!」
「うわっはっはぁ!たのしいぞ!たのしいぞ!!」
薄暗い暗闇、暗黒の支配する場。
時折程度で無く、その支配を乱す稲光の下で、子供のようにぴょんぴょん飛び跳ねながらハシャグ色髪の少女達。
ひたすらに幻想的でファンタジーな雰囲気溢れる、人という存在が深層心理で焦がれて止まない理想的な原風景、超高級絵画のような趣の、人の手の介入しない大スケールの自然の中に彼女達は居た。
「出でよ!箒!!」
銀髪赤眼の少女が叫ぶと、空間が裂けてソレは現れる。
「ナルコちゃん飛ぶのぉ!!?」
金髪碧眼の少女は同様に叫ぶ、叫ばなければ、この豪雨雷の中、相手に声が届かないからである。
「そうだよぉ!アリア! こんな嵐の日こそ! 逆転の発想! 大自然を全身で感じる為にも身一つで飛ぶと楽しいんだよぉ!」
そんな発言に多少躊躇を覚えている合間に、横隣を透過する影。
「ナイス発想だよぉ!ナルコ!わたしも続くぞぉ!!」
快活で只管に元気一杯な大音量で響く叫び。
「うっふっふ、イリス、私に着いてこれるかなぁ?」
即座に呼応した翔ける緑髪黒目の少女は、既に箒を何時の間にか出していて、浮遊後、箒星のように星屑らしいモノを散りばめながら超加速。
「うッりゃぁ!!」
ナルコと呼ばれる少女は戯れるようにタックルする。
「うみゃぁああ!!落ちるぅぅぅぅッ!ってぇえいぃ!」
身を一時寄せ合い作用反作用、一定の距離を置いて隣同士に並ぶ二人。
「うわぁーん! 置いてかないでぇ!」
一人置いていかれる形になる金髪の少女は、慌てて箒を現出させる、ちなみに全員箒乗りの名手である。
「はぁはぁ、、落ちそうに、なったぁ!」
「うぅぅ!!待ってよぉ~!イリスぅ~ナルコぉ~!!」
「ほらほらぁ!!急がないと置いてくぞぉ~~♪」
二人の後方数十メートルの距離で、多少涙声で叫ぶ哀れみを誘わせる少女。
それに対して、多少なりとも性悪のきらいのある二人は、無情にも共同して置いて行くかのようだ。
二つの笑い声と一つの涙声を響かせて、雲を突き抜けるように三人は上方に駆け突き抜けていった。
「ふはあ! やあやあ!、さっきは悪かったね」
「別にいいよ、もおぉ!」
「アリアは可愛いなぁ!!」
雲を突き抜けた先は、どこまでも広がる青空だった。
超高速でそこまで上がって一旦一息付き、ゆらゆら現在三人はどこへでもなく飛んでいる。
「それにしても雷雲を突き抜ける中、一度も雷撃を受けずに、こうして無事でいられるなんてぇ、今日は運がイイね!
これって雷占いにならないかなぁ!??」
「あっはっはぁ、どうだろうねぇ~~」
「なるなる!ちょうなるよぉ! だから今日は最高に運がいいんだと想うよぉ!」
「やっぱそお! わはあ! 私達の前途は果てなく開けているぞ! レッツゴぉーだぁ!」
「うっふっふ、開けてなくても押し通すまでだよねぇ!」
「その意気が大事だぁー!だぁー!だぁーー!!」「「だぁーー!!!!」」
そんな風に徒然なるままに何時もどおり、幻想的な存在で在る彼女達は、常時常態、一切のブレなく曖昧ながら不安定のない、安定した確固とした常なる存在として、そのように在って在った。




