アライアンスの観測者達の邂逅-三千年代と二千年代の
「ひゃっはぁ!」
「うえ! なんだぁ!」
「殺しに来たよぉ!にゃっはっは!」
「このメンヘラが! いやメンヘラってのも違うかぁ!」
行き成り中空に現れ、刃物を振り下ろしてきた奴、俺は真剣白羽取りをして難を逃れた、まあ、当たっても大丈夫だがな。
「なにしに来た?」
道を歩きながら尋ねる。
「ああいやー、西暦3000年に行ってたんだけど、余りにも自分のレベルが低すぎて、めげちゃってねぇ~。
いやはや、人類の進歩も侮れないね、余りにも後発人類の存在偏差値が高すぎて、わたしはビックリしたよ」
「当たり前だろ、千年も後発なら、この時代の頂点でも、凡人になれるかどうかだろ」
「そうだったね、この時代の一流に超を幾ら付けても足りず、上位れいてんレイレイレイレイ幾らかの存在でも太刀打ちできない、物凄い世界だった」
「それで、なんだ? なぜ俺の所に来た?」
「君の隣に居るのが、最善解だからだよ」
「そうか? 俺の計算とは違うが?」
「当然だね、私がいま信仰するのは君のとは違うし」
「この計画世界を続けた果てに、上位の世界に至る計算式だよな?」
「さて、どうだろうね、教えてあげないよ、もしかしたら、もっといい答えかもしれない」
「思わせぶりだな、まあいい、なるようにしかならんだろう、俺達の出来ることなんて所詮一個の存在だ」
「相変わらず、ニヒリズムだよね、もっと自己中心的に、自分で世界を全て変えてやろうとか、そういう野心はないの?」
「ないこともないがな、この世の神に成れるなら、成りたいが?」
「にゃは、私も、神になりたいぞぉー!」
「まあ言うだけなら、自由だわな」
「まあ、そんなわけ、この時代で、気長に最速で最善解でレベリングして、先の時代で無双できるレベルに至るわけ」
「そうか、しかし、もう少し、先の時代でも良いのではないのか?」
「いやいや、ここがイイの、わたしが知り尽くしてる、ホームグラウンドだしね、情報収集とか、し易いの」
「まあ、それは分かるな、馴染み深ければ、思い入れも強くなるし、ドイツが観測者かも分かるしな」
「そうそう~、それに、、君もいるしね」
「それはおまけ程度だろ?」
「うんうん、よくできました、その通り、良く分かったね?」
「そのくらいはお見通しだ」
「そういえば、誰か暴れてる奴いない?
この世界で観測者としての度を弁えず、色々な計画計算をゴワサンにするレベルのゲーム要素やってるぅーやつ」
「少し前に、ヤバイレベルの禁書を連発してた奴がいたなー」
「へえ、もちろんそれは修復されたんだろうけどねぇー。
あーあ、すこし前にあった大規模な革命みたいな、戦乱またやりたいよねぇー?」
「俺は非戦派だ」
「えー、私は好戦派だよー、ゲーム感覚で楽しめばいいんだよ」
「俺はゲーム感覚で、そういう事はしない主義なんだ」
「流石だね、そんな正義をぶっ壊すのが、ここだけの話、楽しいんだけどね」
「流石の最低最悪ぶりだな」
「嫌いになった?」
「別に、悪の美学や、毒々しくも美麗な花とか、そういう風に美化して見れば、中々に秀逸に楽しめるから、むしろ好きだ」
「いやん、そんな柔軟に受け入れられると、君の溢れる包容力に身を埋めたくなっちゃうよ?」
「そうか、好みを当てられたのなら幸いだ」
「もっとツボを付いて、メロメロにしてみてよ!」
そんな風に話しながら歩いていると、終点の俺の家に到着していた。
「今日から君の家にやっかいになるよ」
「対価は?」
「私が毎日傍にいるよ」
「まあ、しょうがないか、及第点だから、余裕があればもっと何かくれよ」
「欲しがりだね、欲張りは身を滅ぼすから気をつけた方がいいよ」
家に上がると、母がやってくる、設定は妹にした、だが、同時に姉という設定が割り込む形で差し込まれた。
すると、母親の妹で、俺の姉みたいな話になっていた、まあどうでもいいな。
「パソコンもってるぅ~?」
「ああ、ある」
「一個ちょうだいぃ! パソコン欲しいよぉー、お兄ちゃんおねがぁーいぃ!」
「はいはい、おらよ」
「ありがとう!」
すぐさま起動して、観測者限定の情報コミュニティーサイトを閲覧し始めている。
「なにか、特筆するべき事はあるか?」
「ううぅん、なんにもないねぇー。
なんかビックバン級の新テクノロジーで、時代の加速率が飛躍的に上がったりしないかなぁ~、そうすれば面白くなるのにぃー」
「お前なんかすこし前、人工知能の娯楽的実用化を目論む団体にいなかったか? それは今はどうなんだ?」
「ああ、あれね、あれは難航してるよ。
間違って頭良すぎるの作ると、3000年に至る前に、世界の破滅、終焉の切欠になり易くて、そこら辺が難しい感じなのよぉね。
でも馬鹿すぎると意味ないし、現在鋭意調整中で、時代を超えてみんな頑張ってるよ、たぶんね」
「ふむ、3000年以降の宇宙時代は、既に余り破滅や終焉を気にせずに、好き勝手できるようだが?」
「もちろん、それも承知してるよ。
でも、その年代の宇宙時代まで行くとね、全人類の人口的に、もうスケールメリットで人類の娯楽が行き着く所まで極まってるから、人工知能なんての、無用のナガモノになっちゃてるの。
はあ、折角頑張ってるんだから、試験的にでも導入してインストールしてくれてもいいのにね?」
「そうとは思う、だが、世界に与える総合的なプラスよりも、マイナスの方が大きいと、基本採用されない」
「だよね、でも創作者としては、何でもありの、制約の無い三千年代より、二千年代の方が熱いよね?
考慮しなくちゃいけない事が多くてさ、意外とそういう事考えながら、時代を加速させる為の開発作業は、、いろいろ捗るの」
「それは俺も思う、波及効果の点でも、やり甲斐があるしな。
二千年代までに、どれだけ社会システムや、より良い歴史を築くかで、その後の宇宙時代が加速度的に、雪だるま式に進む結果に繋がるからな」
「それも面白い点だよ、うんうん」
話しながらネットで適当に更新をチェックしてから、お互い会わなかった間の情報交換をして、その日は就寝した。
観測者の世界。
後発人類が”絶対生存権宣言”をしてから、観測者の介入の歴史は明るみに出る。
先発人類期、だいたい西暦二千年代までは、観測者の存在は表ざたになっていない。
等々、自前の観測端末が死に、本体とよべる端末に意識を統合して、記憶の整理を一瞬で済ませた。
ここは秩序の都、アライアンス。
観測者達の一大派閥”秩序”の最大拠点もある、宇宙開闢の歴史からみても最古の都市の一つである。
さらに、平和組織”クライスラー”と、平和教会”クラウン”と呼ばれる組織があったりする。
そして俺は、秩序勢力の一員で、平和組織と平和教会に属する。
観測者とは、ただ観測する存在である。
本来、世界や宇宙と呼ばれるものは、全体として唯一無二の結果に向けて運動するだけである。
つまり、ただ一つのルートを突き進むモノであるのだ、そういう事象であり現象なのだから。
だが、観測者は望む結果を観測する為に、傍観するだけでなく、必要を感じれば欲望のままに介入する。
その介入は直接的なモノから、間接的なモノまで様々だ。
本質的に言えば、”運命力”と呼ばれるモノを消費して介入する、その消費分が介入の強度とも言える。
この運命力、よく分からないモノだが、世界を動かすエネルギー、リソースと言ってよい。
存在一個に着目すれば、それには元から、ある一定の運命力、世界に対する存在比率が定められている。
それは当然な話で、その存在が世界に対して、どれくらいの価値か? という、ただそれだけの話である。
だが、それだけの話が観測者にとっては、絶対的に重要なのである。
唯一無二に定められた己の価値を消費して、観測者は世界に介入するのだ。
ちなみにこの運命力、定義が曖昧である。
前置詞に”後付的”と付いて、後付的運命力と呼称される事もある。
それはなぜかと言うと、主観的に見た場合、存在価値=運命力とは、酷く後付け的な話になるからだ。
よくある話で、観測する存在が、始めは落ちぶれていたのに、価値ある人生を送って伸し上がる事がある。
客観的には初めから運命力が高かったのだから、存在価値はずっと一定だったのだ。
でも主観観測の世界では、元から定められた存在価値とは思えないほど、存在価値が引き上がったように見える。
つまり、運命力とは全てが終わった後から見た時の、存在価値の結果であり、だから後付け的運命力と呼びたくなるのだ。
この運命力、完結した存在なら一定だが、永続する観測者の場合少々その発生原理が異なる、それを説明してみる。
俺の所属する観測者勢力は、世界の七つの方向性の内、秩序のみを信仰する集団である。
この世界の開闢の瞬間に発生した、秩序という世界の方向性としての絶対の意思、それが最古で原初の、始祖的知的生命体である。
その始祖は、己の望む世界を創造する為に、持てる全てを用いて動いた。
しかし世界は、己以外の六人の始祖もいて、まったく望み通りにはならない
世界の絶対の意思からは、原理上無上の世界を動かすエネルギー、リソース、つまり運命力が引き上げられる。
だが対立者によって、その全ては相殺された。
その結果としての現実的現象、無意味に宇宙は無限膨張したのだ。
そんな広い宇宙があれば住み分けもできたのか、七つの世界が生まれた。
そして、そこで生きる存在達は、観測し認識する世界の広さと深さによって、それ相応の運命力を手にすることになる。
つまり、世界には無上の運命力が存在するのだ、観測し続けることで、無上の後付け的運命力が手に入るのだ。
これが完結した存在の話、完結するので得られる運命力は有限である。
観測者は永続存在である、なぜなら大本締めが絶対存在だからだ。
観測者の運命力は絶対存在から分け与えられるモノだ。
しかし、それは一片だけでも無限大の運命力である。
だが相対的には、それは無限大に成り得ない。
例えるなら、それは一単位の無限大であるのだ。
宇宙には掛け値なしの無限大の運命力が存在するので、介入するには無限大を用いても有限大の範囲内となる。
最後に、その無限宇宙の支配権を巡って、無限の観測者が存在する。
だが無限も一極に集中した方がいいので、有限大に圧縮されて無限の存在としての観測者が一杯居る、それが現状であるのだ。




