素晴らしい日々、世界-絶対存在たちで旅行に行く
「アルド将軍、旅行行こおぉ!」
「やだ、めんどい」
「ぶはぁ! もう行く用意しちゃってるんだなぁ! これがぁ!」
「チッ、それじゃ話だけ聞いてやるよ、ナルディア」
夏だ、夏で夏で夏だから暑すぎて死に掛けている。
つぅーのに、コイツは常時元気を売るほど所持してるらしく、呆れる。
「リリーも行くよね!?」
「アルド将軍が行くなら、行く」
俺の隣にぴとぉっとくっ付いて、本を読んでいる黒髪の少女も賛意を示す。
「それじゃ決まりだぁ! 他にも誘わないと!」
そして、ナルディアは電波を飛ばしているかのように、髪の毛を先立たせる。
次の瞬間には、銀髪の少女が中空から現れて、畳の地面に降り立つ。
「やあぁ! ローズ! 久しぶり」
「そうね、それで、ルナルティアに貴方が来るって、本当?」
「駄目だったかなぁ?!」
「駄目ではない、けど、貴方が来るとなると、それなりに準備がいる」
「そう! それじゃ準備よろしくぅ!」
「しょうがないわ、最速でするから、最低でも半日は待ってね」
「あいあいさぁー!」
その時、この部屋唯一の扉が開かれる。
「やあやあ、あたしを差し置いて、よもや行ったりしないよねぇ~?ナルディア?」
「もち、よく来てくれたよ!ナルコ!それとハイネ!」
仁王立ちするちびっ子銀髪赤目少女、その横に高貴凛然と立つ神のような金髪美女。
「諸君、今日も元気そうでなによりだ」
金髪の方がスタスタと前に出てきて言う。
「ハイネ! もちろん君も行くよね!」
「丁度よい機会だ。
ルナルティアの信仰心を高めておく為に、是非とも行こう」
「んう? なんのことかな?? ハイネ?」
「私のだ。
偶にはルナルティアでも、我の偉大さを示さなければな」
その二人の会話に、にょっとナルコが首を突き出す。
「くっだらないんだけどぉ~それ。
純粋に遊ぶって事を知らないの? あんたはさぁ~」
「ふっ、滞在中、ずっと”そういうこと”をするわけでもない、案ずるな」
「だったらいいんだけどさぁ」
「よしよし、段々役者が集まってきたぞぉ♪☆」
俺は窓辺にいるので、ツイと何となく外を見る。
そこには、白っぽい髪の少女、その後ろに釣り目の美女が剣呑な表情でこちらを睨んでいる。
少女の方が俺が気が付いたのに気が付いたらしく、口パクで何か伝えようとしてくれる。
「ここを開けろ?」
「さもなければ、窓をぶっ壊して強制進入するって話だねぇ♪アルド将軍!
最近は物騒だから、屋内に転移できないようしたんだけど、それが裏目に出た感じだね」
傍に来ていたナルディアがピンと指を鳴らすと、窓が独りでに開く。
「おじゃまします」
頭を下げながら少女が入る。
「オラ、おじゃましてやるぞ」
こちらは先に入ってきた少女と真逆。
酷く偉そうに、上からの高圧的な視線でこちらを眇め見つめてくる。
「おいおい、ナルディア。
どうして転移できないように、世界座標から此処を隠したんだ?
とんでもなく面倒だから、俺様が次来るときの為にちゃんと直しとけよな」
ひしひしと物理的な暴力のような、常時堂々たる威風を振りまいている。
見た目的にもなんか凄い感じの全身黒尽くめ、黒髪紅目の美女である。
「うん了解!、いや!できないかなぁー」
「なんでだ? 簡潔に答えろ」
「そうしないと、爆弾が沢山直接転移されるんだぁ~」
「自業自得だな、ざまぁ」
どうやらこの二人も、来ることになるらしい。
「おい、そこの」
俺がジッと黒髪の美女を見ていると、声を掛けられた。
「俺か?」
「ああ、アルドとか言う奴の事だ」
「なんだ?」
「見つめすぎだろ、照れるじゃんか」
そう言って、窓辺に座る俺に接近、顔を寄せてくる。
「ゼロ、近い」
これは俺じゃなくて、逆隣にいるリリーの台詞だ。
「お前もだろが、リリー。
俺様に離れろというなら、お前が先に離れろや」
なんだか居心地の良くない火花が散っているんだがね。
「あっはっは、それじゃ連絡が来るまで待機だね!
みんな居るし!なにしようかなぁ~!」
こちらの、俺の心情を慮らないか、ナルディアは陽気に大声をあげた。




