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夢想魔法殺人鬼と幻想機械少女

 

 

 憧れた肉体と精神は、どこまでも素晴らしく、手に入れた瞬間に人生、人としての生命は、そこで潰えて終わった。

 そこからは、新たなる命、人を超えた存在として、わたしは生き始めた、そう思う。


「良い眺め、、なんでしょうか?」


 分からない、真理を果てまで見通した、気になっている私には、もう何が綺麗なのか、それすら曖昧で分からない。


「いい眺めだろう、常識的に考えて」


 隣、人間だ、彼は。

 だからか、私には無い、とうに失ったか、遥か昔に飽きた感性を、今だに所持しているようだ。


「ええ、そうでしょうね。

 知識では理解できるんですけど、、感性では、少しも実感がない、それだけですよ」


「ふーん、常軌を逸して悟って、達観してるようだ」


 まあ、その通りだ。

 達するところまで行って、遥か後方の景色などには、普通興味が沸かないだろう、そういうこと。 


「この町を、ニエにしますか」


「はぁ、まあ、別にいいんじゃないか」



 夢って奴は、場合によっては凄くリアリティーがある。

 高次元な現実味や現実性が、確かな実感を持って感じられる場合も多々ある。

 だから、殺し屋や暗殺者、そういう暗部の経験者なら、夢を上手く使って、殺しの実感や経験、感触や、そこでしか感じれない”何か”を得て、出来る限り利用するもんだ、ただ、それだけ。


 夢の空間だ。


 自分が、これが夢だと、自覚的な場合と、そうでない場合があるが、今回は後者だ。


 ターゲットは八体、似たような感じ、存在の少女だ。


 薄暗い、どこか分からない広大で曖昧な場所。

 様々に隆起してたりと、いろいろと隠れたり潜んだりするのに都合の良さそうな、しかし一歩間違えれば簡単に見つかりそうな微妙な空間。

 局所的に見晴らしの良い所もあるなと、俺は確認しながら、密集している八人を遠方から眺める。


 少女達が、俺を探し始めたのか、どうか分からない。

 彼女達の目的は曖昧模糊としていて、まったく予想が付かず分からない。

 俺は俺で、だいたいにおいて、殺意とか、そんな負に属する感情しか、現在進行形で抱いていないようだと自己把握する。


 散らばって探索していた、一人の少女を捕まえる。

 殺伐とした、なんか黒っぽい衣装、うしろからそっち近づいて、口を塞いで拘束する。


 特に抵抗はなかった、既に自分の生死が俺の手の内と理解したか、ただ涙目で俺を見つめる。

 甚振るつもりはなかった、直ぐに、というか既に、俺の手の無慈悲な銀剣が、コイツの息の根止めているはずだった。

 だが、なんというか、嗜虐心かね、俺は躊躇した。


「おい、死にたくないか?」


 口の拘束を解いてやる、絶叫の前動作は分かる、その前の瞬間で殺せる自信があるから、そうした。


「うぅ、死にたくない」


 小声で、俺に聞こえるくらいの声量で、縋るような声で言ってくる、綺麗な声だと思った。

 暗部って業界に居るにしては、純っぽい、純真さが、かいま見えるが、どういうことだ?


「ぐぅ、えぇ」


 まあいいと、首でも絞めてやる。

 目に涙をじわっと溢れさせ、舌を突き出して、まるで感じてるみたいな顔をする、何か性的な以外にも、変にソソルものがある、いい表情をしている。


 外道って奴は、こういう風に、弱者を甚振り貪り尽くして、その上で快楽や悦楽を得る、だから強いってのもあるもんだ。


「これが、お前のしようとしたこと、違うか?」


 息絶える寸前で、死の一歩、いや半歩手前くらいで緩めてやる、盛大に咳き込み、涙をぽろぽろ流して必死に喘ぐはかない少女の姿。


「おい、俺の奴隷になれ、可愛がってやる」


 その後、もう一人捕まえた、そいつは目を見た瞬間に分かるくらい、腐った濁りを持つ外道だったから、安心して腸を捌いた。

 傍で俺に寄り添っていた少女は、自分と似た容姿の片割れか何かが、歪に解体されるのを、酷く冷めたような目で見ていたの、なんか印象的だった。


 そして。最初に少女達が密集していた、広場に放っておく。

 すると、時間が経って、元の集合場所に定めておいたのか、ほかの奴も集まり始めた、俺は少し離れて様子を窺っている。

 なにか、喧しくくっちゃべっている。

 「最低」「信じられない」「外道」「絶対に復讐してやる」「最大級の拷問をしてやる」「殺す」

 おのおの何事か言い、明らかに平常心を失っている、まあ、それくらい酷い有様、グロテスクな肉片を演出してやったからな。


「悪趣味な遊び」


 いつの間にか、誰かが居た、彼女だ。

 まさか、夢にまでご登場叶うとは、思っていなかったな。


「なんだ?」


「少し、反省しなさい」


 どっか、牢屋に放り込まれた、場面が行き成り変わったな、ここはどこだ?

 隣には、さっき捕まえた少女。

 どうやら、この少女はあの時点で、何か俺の中で一つの確固としたキャラクター性でも獲得したか、ある種のレギュラー入りでもしたのかもしれん。 


 もう一人、来た、放り込まれたのは、仲間の殺し屋、同年代くらいの男だ。

 殺し屋と一口で言ったが、別にそれだけしてる訳じゃないだろう、能無しの馬鹿なら、そもそもが俺の仲間という位置にはいないだろう。

 様々に多面的な、暗部の仕事、殺人すらも請け負うドギタナイ奴、そういう分類だ、正確にはな。


「なんだ! その可愛い少女は!」


「うるせぇー、静かにしろ、てか、これからどうする?」


 一応聞いておく、何かヒントが得られるかもしれない。

 普通は詰みだが、忘れてはならない、ここは夢だ。

 何もしなけりゃデッドエンドも当然必然として成るが、必死で足掻けば、ほとんどの場合生還できる、そういう統計が俺の中である、気がする、確証も何も無い、ただの願望に近い確信。


「ここに連れてこられる時、大きな水槽を見た」


「ほお、それで」


「つまり、俺たちは、そいつの餌になるんじゃねぇーか?」


「そいつってのは、なんだったんだ?」


「よく見たわけじゃねぇーが、巨大な魚介類だったな」


 なるほど、食われるわけか、まあ、別にいい、そもそもが夢だしな、瑣末な問題だ。

 それに、俺には異能力がある、それもご都合主義の権化のような。

 具体的には、食われると、相手が人間以下の家畜でも、身体を乗っ取り、生前と同等の知的生命体として活動できる、そういう力が。


 俺は連れ浚われた、水槽に放り込まれて、亀かネッシーの中間のような、大きな奴に丸呑み、じゃねぇー、牙でむしゃむしゃ解体されながら食べられた。


 意識が暗転して、数刻、そいつの視点で新たに、俺の人生が再開した。


 水槽から出て、細長い首で辺りを窺う。

 飼い主がどこにいるか知らないが、仲間を助けるのが先決のミッションになり得るだろう、そういう流れだ。

 わざわざ俺が身を投げ打って、始めに海水魚の餌、囮になったんだ、死んでんじゃねーぞと思いながら、囚われていた檻に向かう。


 二人は座って、ぐったりと生きていた、面白みに欠ける描写だな、談笑やら、少女に苛烈な調教をしているなら、あっと驚く一味二味違う何かが欲しい所だった、まあいい。

 錠を外して、二人を出す。

 変わり果てた俺を見て、二人が微妙な顔をするが、気にすんな、後々コイツを使って、新しい肉体を捜したりできんだろうが。


 出口と思しき場所に向かい、簡単に外に出れた。

 生還ルートだったのか、晴れ渡った、一枚絵のような光景に恵まれる。


 果てさて、俺はまだ満足して無いんだが?

 この黒幕やら、少し前の六人残っていた殺人少女をバラバラにして血祭りに上げたりやら、いろいろしたい訳だが、、。


 ここでタイムリミット、俺は起きなくてはいけないらしい、この続きはまだ今度、、、。


「やっと起きた」


 俺をずっと揺すっていたらしい、そんなに遊んで欲しかったのだろうか。


「ああ、起きた」


 彼女はリリスだ、完全なる機械人形だ。

 完璧な身体と心、ゆえに、もう何か終わったような、終わってしまったようなメンヘラ少女、ただそれだけの存在だ。


「リリス、腹減った」


「わたしは、減ってない」


「だろうよ」


「でも、嗜好品として、何か食べたいわ、タクミ」


「おお、そうか、だったら何か、食べたいものでもあるか?」


「貴方が食べたい」


「猟奇的な事を言うんだな、夢の設定を引き継げてたなら、俺はお前に乗り移って、成り代われるわけだが」


「それはそれで、面白そうじゃない?」


「てか、なんか見てたらしいな」


 この少女、完璧な機械の、その延長線上の特殊技能か何か知らんが、人間の脳の状態を観測し、いろいろ出来るらしいという事は既に割れている、つまり俺の夢を見ている、そういう口上ぽっかった。


「貴方、酷く残酷趣味をお持ちで」


「思想の自由だ、放っておけ」


「うん、別に非難するつもりで言ったわけじゃないもの」


「ならいい」


「それで、私に成れるとか、そういう話について、どう思う?」


「はぁ?」


「つまりねぇ、わたしに成りたいって、質問してるの」


 意味分からないが、まあ付き合ってやるか。


「良く分からん、俺はお前じゃないから、リリスになって、人生をよりエンジョイできるかどうか、予想できない」


「そう、確かに、やめておいた方がいいかも」


「エンジョイしてないのか?」


「少なくとも、私は貴方になれるなら、成りたいって思う」


「そうか、残念な話っぽいな」


「ええ、とてつもなく、ざんねんな話よ、コレ」


 陰鬱な空気が場に流れる。


「さぁ! くさくさしてないで、外食しに行こうぜ」


「外に行くの?」


「そうだが?」


「貴方が?」


「まるで俺が引きこもりみたいな口上だが、そんなこと全然無いからな」


「知ってる、ただ私が面倒くさいだけよ」


「いいから行くぞ」


 リリスの手を引っ張って、俺は外食の為に、自室から飛び出していった。

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