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黄金の虚空世界‐黄金の女王のXXX 

  

 

「はぁーあ、なんで私、生きてるんだろぉ」


 金髪の、絶世のとか、何かと接頭語の事欠かない少女は物憂げに言う。


「生きてるから、生きているんじゃないですかねぇ?」


 俺は、そんな彼女に何か言いたくなって、適当に突っ込む。


「そうね、それは、ある種、ある意味の、真理だわ」


 にこやかと表現できる笑みで、幻想神話のお姫様でも形容不十分な、言い様のない表情をくれる。


 ここは、超ハイスペーススペースファンタジー的な世界だ。

 全宇宙人口が兆を飛び越え、更にその上の上の桁数にまで至っている、とんでもない上位世界だ、カッコ俺の元居た世界比較で。

 俺は彼女の、適当に開発中の魔法の試行錯誤の折りに、原理不明に召還された、らしい。

 こんな科学超万能、光速の壁すらも突破して、星間国家が群雄割拠する世界で、魔法で召還だ、ファンタジー世界じゃないのかよっと始めは訝しんだモノである。


 さてさて、こんな前の世界と比べる次元でない、超上位世界、ハッキリと異世界である、未知で溢れて正直俺的に丸っきり収拾が付かない訳ですが、、、。


「ねえ、面白い事して、できなきゃ、超拷問」


 その最大級が、目の前の人であるのが、また何とも。


「そんな事言われても、、、」


 困惑する、当然だっと言える。

 なんとこの人、この世界でも屈指の人物で、事あるごとに俺の度肝を抜いて、撃ち砕いてくれる。

 そんな人を、俺みたいなウルトラに凡人が、僅かたりとも楽しませられるはずが無いのに、わかってる癖して、こんな無茶を要求する。


「はぁーあ、それじゃー、しょうがないね。

 また、この前みたいに、地下室で、エリクシールたっぷり用意して、何百回も瀕死に成るまで調教してあげなくちゃいけなくなる。

 でも分かって、それが、最終的には、貴方の為にも、なにより、私の為にも、なるのよね、しかたないわ」


 舌なめずり、ハッキリと、己の快楽や悦楽とか、そういうのの為なら、何でもしたい、する彼女らしい、酷い言い様であると思う。


「どうしたの? 身体を震わせて、、寒いの?」


 薄ら笑いを淡く浮かべて、怯えた俺を嬉しそうに鑑賞している、ようだ。

 今俺は、彼女に与えられた、苛烈な拷問の日々を思い出して、何か頭の神経が切れたような感覚を絶賛体感中だ、放って置いてください。


 彼女の言った”エリクシール”という単語。

 この世界では、それは万能超回復剤という意、ファンタジー世界にありがちな、酷くご都合主義的な不思議で便利なアイテムの名称。

 そして、この場合においては、より拷問において、対象を効率的に苦しめる為の道具として機能する。


 彼女は、昔は暗殺者だったと、聞かされた。

 全宇宙的に見ても伝説や神話級の、華々しい実績を嬉々として、長々と修飾過多な物語調で延々と語られ聞かされたのだ。

 その時の尋問技術であり、また、最高級の、人間を鍛錬し、短期促成的に育成する方法だとも、言うらしい。

 言うには、生体ストレスの限界ギリギリを攻めに攻め抜いて、超回復剤で心身ともに超回復、それが良い、効くのだと。


「わたしが、また、貴方を身体、心の芯から、鍛えてあげる、感謝して、感涙に咽び泣きなさい」


「うぅ、無理ですよぉ」


「大丈夫、全力で、私が励ましてあげる、そうすれば、貴方はどこまでも頑張れる、そうでしょぉ?」


 催眠術のように、脳に響いて幾重にも反響する言の葉、周波数。

 さっきも言ったが、彼女は全宇宙でも指折り級の、屈指の逸材である。

 だからか、俺の精神的ダメージもろもろ、かなり超過しても、彼女がフォローしてくれれば、耐えられたりする。

 それが彼女にとっては、なんか遣り甲斐らしい、と俺は疑っている。

 だって、俺の必死必死に耐える仕草を見て、身を震わせて、華奢な身体を両手で抱えたりするんだから、十中八九そうだと思う。

 酷い性根をしているんだと思う、主にS的な意味で。


「さて、それじゃ、今夜も、お楽しみかしら?」


 つらつらと語り、スケジュールを強制的に入れられてしまう。

 俺はメソメソ、暴漢に拉致監禁されて、陵辱の憂き目に合う未来が確定した乙女のように、成るしかないのだった。

 付け加えると、彼女は、そんな俺の有様を見て、酷く唇を吊り上げているのだった。

 ホント、どうしようもない、何もかも。



「はぁー、スッキリした、タノしい」


 次の日の朝。

 彼女の晴れやかで、幸福そうな表情を、珍しく俺は目撃していた。

 だが、支払った代償は、俺の視点からはあまりに過多で、とても等価交換の原則が働いているとは思えない。


「あら? 何か、不満そうな顔だけど?」


 そりゃそうだろう。

 俺は昨日、この目の前の彼女に、人間の尊厳を根こそぎどころか、苗床ごと奪われ、底の底まで弄ばれたのだからね。


「別に、なにも思っちゃいませんよ」


 でも、表には当然出さない。

 彼女は、こういう圧倒的に優位な立場から、不利な存在に馴れ馴れしくしたり、甘やかしたりが好きなきらいがある、合わせて悪いこともあるまい。


「そう? それじゃ、もっともっと、わたしにとって良い事しても、怒らない?」


 微妙な話だ、どう返答すれば良いか、最善か、一瞬詰まる程度には思慮を要する質問である。


「なんなりと、俺を使い潰してください」


 いっそ殺してくれと、言いたい気分だったが、それは絶対に言えない。

 だって、真に彼女の怒りを買う事の方が、勝る、それは純然たる恐怖だからだ。


「従順ね、わたしは好きよ、そういうの」


「無上の幸福です」


「そうでしょう、そうなんでしょう?

 そういう風にね、わたしに絶対的に忠誠を誓い、且つ、貴方がソレを貫き通せるうちは、その間だけは、傍に置いて、また優しくしてあげる」


 これは、脅迫なのだろう。

 もし裏切ったり、彼女の期待、その一定以上、どの程度のラインか曖昧模糊で不明だが、その期待のラインを割ると、どうなるか知れたものじゃないって事なのだから。


「己の持てる全て、最善を尽くします、シャル様」


「うん、よろしい、良きに計らえ」


 まんま女王である彼女は、俺を見下ろして、そのように言うのだった。


 さて、こんな風に、彼女の顔色を窺うのが、俺の毎日だ、それだけが能だった、悲観じゃない、ありのままの現実だ、である。

 鍛練的な拷問も、その能を鍛える為だけに、方向性を、強制的にだが、確固に定められて行われているのだから、そうなのだ。

 俺の全存在は、彼女の完全に手中で、全てを捧げて、捧げ切って枯れ尽すまで、終わりがないのだろう。

 暗雲としか言えない現状だが、まあ何時かは慣れると信じている、こんな日々が永遠に続くなんて、そんな絶望には耐えられないから、頑なに信じているのだ俺は。


「貴方、まだ、落ちてないでしょう?」


 更に次の日、唐突に、彼女は俺に言った。


「どういう意味でしょうか?」


「分からない? ああ、そう。

 まあ、構わないわ、自覚がなくてもね」


 ニヤリと笑って、ニタニタ上下に俺の顔を眺め回してくる、んですけど、、、。


「落ちるって、どういう意味か、貴方分かる?」


「予想ですが、心の底から、相手に屈服する。

 つまり真髄的には、魅了されて、存在の根源、心の活力を全て相手に奪われる、そのような事でしょうか?」


 彼女は低くクックと吹いて、次にあっはっは、と高く笑い出した。


「そおっそお、その通り。

 それに照らし合わせてみるとね、なんと、貴方はまだ私に、完全には落ちてないの、素晴らしいことだわ」


「でもそれは、貴方が、全力を出していなかった、、、からでは?」


 そう、思った。

 今まで幾らでも、もっと攻めて、心を完璧にへし折って、且つその上で、さらに俺を苛めて芯から屈服させて制圧すれば、そんな事は簡単だったと思うのだ。


「確かに、それもあるにはある。

 でも、それでもよ、貴方の、思考停止せずに、何事か考え続ける、理性とも言えるソレは、私から見ても、素敵、素晴らしいと、言っているの、分かるよね?」


 なにか、いつにも増して真剣な、彼女は軽薄なようでいて、その実は、いつ何時でも、誰よりも真剣な風なのだ。

 臨界をとうに彼方に置き捨てて、更なる情熱を滾らせる瞳、それが直接、俺なんかに向けられている、この現状に、酷く狼狽したり緊張したりした。


「あとちょっとで落ちる、そんなギリギリのライン、瀬戸際を何度も、一緒に渡った、渡って、今の関係がある、息づいてる。

 あの修羅場のような時間が、今も私の心を熱くさせるの。

 貴方を見ていると、酷く、奇跡的なモノを感じられるのよ」


 価値を、認められているのだろうか? 彼女の足元にすら、全力でも追いすがれないような、この俺が?

 とても疑問だった、何か期待させて、おもっきし後悔させるような、そんな趣のプレイかなにかでしょうか。


「ふっふ、困惑してる、、かわいい」


 慈しみしか、とりあえずは見て取れない、そんな眼差しを向けられている。


「どう? 今の気持ちは? 言葉にして、聞かせて、わたしに」


 俺は、そんな回答不能に近い問答に、直感で応えた。


「XXX」


 その答えに、彼女は、見たことも無い愉悦的な表情をした、快楽とかが過ぎれば、人間、、、こうなるのだなっと、何か真理のようなモノを実感した気だった。


 少したって、彼女は改めて、興味深げに俺を見つめる。


「やはり、貴方は、生きるに、酷く値する人だわ」


 キョロキョロと、その日は、隅から隅まで眺め回され観察され、特に何もされなかった、ある意味でご褒美をもらったような日なのだった。

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