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第五話 没落、その後の旅路の果て② ※ダイガ視点


 さて。もう一度、俺の計画を整理しよう。

 まず俺たちがダンジョンの先頭に立って華麗に敵モンスターを蹴散らす。

 新人勇者に俺たちの凄さを見せつけるわけだ。

 その後、ダンジョンの奥へ行き、難易度が上がったフロアに踏み込んだところで新人勇者たちに危険を晒す。

 ギリギリのところまで追い込み、俺たちが助け出す。

 命を救われたと刷り込まされた新人勇者たちは俺たちに敬意を払い、信頼するだろう。そうなればこっちのもの。

 恩を売ればもうこちらの思い通り。

 この新人勇者たちを下僕でも舎弟でも俺の思いのままになる。

 完璧だ。俺の計画に狂いはない。その減らず口もこれまでだ。

 そんな感じで妄想に浸っている時だった。


「先輩? どうかなされましたか?」


「いや、何でもない。お前たち、俺たちの活躍を見逃すんじゃないぞ」


「はい。お願いします」


 よし。計画を実行する。

 コースケ、ゴーリキ、アミカゼには俺の計画をこっそり伝えてある。

 うまくいけばダンジョンを攻略できて新人勇者をいいように使える。

 まさに一石二鳥だ。

 ダンジョンに踏み込んだその先で早速、下級モンスターが無数に沸いた。

 難易度が高い分、そう簡単に進めないというわけだ。

 だが、今の俺たちには安易に突破できるだろう。

 さて。始めるか。


「よし。お前たち。新人勇者に手本を見せてやるんだ」


「「「はい! リーダー」」」


 三人は得意の戦闘スタイルで軽々と下級モンスターを一掃する。


 ザンッ! ザザザッ! ドーン!


 俺が出る幕もなく三人の力で最初のフロアは突破。序盤からいい働きと言える。

 さて、新人勇者たちはどんな反応をしているかな?

 目を輝かせながら尊敬の眼差しを向けていることだろう。俺はチラリと後ろに目を向ける。


「………………は?」


 新人勇者たちは誰一人として目を輝かせていない。

 全員、何故か無表情でどこか遠い目をしていた。いや、どこを見ているんだ。

 え? 俺たちの活躍を見逃した? いや、そんなはずはない。ずっと視線を感じていたし、見ていたことは確かだ。それなのに何だ。この冷めた反応は。


「ど、どうした? お前たち。凄すぎて言葉も出ないってやつか? ははは。まぁ、分からんでもないが、遠慮せずに感情を表に出してもいいんだぞ?」


 余りにも反応がなかったので俺は思わず聞いた。


「いえ。特にまだ凄いものを見たわけでもないですし」


「所詮、下級モンスターを倒すことなんて僕たちにも出来ますし」


「さぁ、次こそ凄いのを見せてくださいね」


 な、何だ。こいつら。今の討伐を見ても何とも思わないのか。

 確かに下級モンスターを倒したくらいで別に凄いわけではないのは確かだが、数で言えば圧倒的な仕事量のはず。

 それなのにこいつらはそれが当たり前って感覚なのか。

 舐めやがって。今に見ていろよ。次で驚かせてやる。


「まぁ、今のは準備運動程度のことだ。次はもっと凄いものを見せてやるから見逃すんじゃないぞ」


「本当ですか? 楽しみだな」


 新人勇者に対して無駄にハードルを上げているような気がした。

 普通なら今ので凄いと言わせられるものだが、こいつらの凄さが伝わる基準はどの程度だろうか。

 まぁ、そのうち言わせられるだろう。次のフロアでギャフンと言わせてやるさ。

 だが、その後もモンスターを倒しても新人勇者たちの顔が変わることはなかった。まるで当たり前のことを見せられているような顔でこっちが悲しくなってくるほどに。

 感情の出し方が下手ならまだいい。だが、そうでない場合は俺たちがたいしたことないみたいになってしまう。

 それは俺だけではなく仲間たちも察していた。


「ヤバイですね。あいつら全然、驚かないんだけど」


「こっちは必死なのに」


「普通、今ので凄いってなるだろ」


 こっちはこっちで別の意味の不安が漏れている。

 早いところ驚いて貰わないとこっちが困るのだ。

 ダンジョンの奥へ、奥へ着々と進み、大きな空洞に出た。

 ここは? 見たところ、ただならぬ雰囲気を感じた。おそらく最終局面だと俺の経験は言っている。


「リーダー。奥に何かいます」


 アミカゼは何かを察知した。

 フロアの奥に巨大な影がその姿を見せる。俺の予感は間違っていなかった。


「まさかあれって」


 大蛇だ。それも三十メートルを超える怪物級の巨体だ。

 おそらくこいつがこのダンジョンのボス。


「こいつは油断すると一瞬であの世行きだな。お前たち。速攻で決めるぞ」


「リーダー。ここは僕に任せて下さい」


 コースケが前に出た。その声には自信がある様子である。


「喰らえ!」


 得意の弓矢で大蛇の眼を目掛けて放った。百発百中のコースケの攻撃に狂いはない。終わりだ。


 バシッ!


 すると大蛇の尻尾は弓矢を軽く叩き落とした。


「バカな。弾かれただと。だったらこれでどうだ」


 一発がダメなら数十発と数で対抗しようとするコースケだったが、その攻撃は虚しく全て弾かれる。そしてそのままハエ叩きのようにコースケは大蛇の尻尾で吹き飛ばされる。


「グアァァァァァ!」


 一瞬でコースケは戦闘不能だ。


「コースケ! くそ。ここは俺が仇を討つ!」


 コースケに変わってゴーリキは真っ直ぐと槍を構えながら攻撃に向かう。


「ウオォォォォォォォ!」


 プシャーッと返り血を浴びながらゴーリキの馬鹿力で突きが大蛇の身体に突き刺さる。


「やったか?」


「ダメだ。ゴーリキ! 早くそこから離れろ!」


「え?」


 ゴーリキは大蛇の尻尾に弾かれて壁に食い込むように埋まる。


「嘘だろ。あのゴーリキがこうもあっさりやられるなんて」


「わ、わわわ。無理よ。あんな化け物に叶いっこない」


 アミカゼは既に戦意喪失だ。戦う前から負けを認めているようなものだった。

 大蛇は無抵抗のアミカゼの身体に巻きついて締め上げた。


「キャアァァァァァァ」


「アミカゼ! クソ。俺の仲間に何をしやがるんだ!」


 仲間は全員、あの大蛇にやられた。リーダーの俺が助けなければ。

 俺は剣を構えた。正直、勝てるかどうか分からない。それでも黙ってやられるわけにはいかない。


「くそ。やれるだけやってやる。ウオォォォォォォォ!」


 カキーン! と。


 勢いよく突っ込んだ俺だったが、剣は大蛇の硬い皮膚に弾かれて丸腰になる。

 剣を取りに行こうにもその間に背を見せることになる。どのみち俺たちがどうにかなる相手ではなかった。


「シャァァァァァ!」


 大蛇は俺を丸呑みにしようと大きな口を開けて突っ込んだ。

 クソ。ここまでか。呆気なかったな。

 走馬灯が頭の中で流れたその時だった。


 ガンッ! 


「…………?」


「大丈夫ですか? 先輩」


「お、お前…………何で?」


 大蛇の攻撃を新人勇者は防御魔法で耐えていたのだ。俺はギリギリのところで助けられた。


「これ以上、後ろで見ていても凄いところを見られそうにないので出てきちゃいましたよ。先輩」


 俺はどうやらまだ死んでいないようだ。新人勇者の手によって助けられたその事実だけが残った。


ーー作者からの大切なお願いーー

「面白い!」

「続きが気になる!」

「早く次を更新希望!」


少しでも思ってくれた読者の皆様。

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