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第六話 没落、その後の旅路の果て③ ※ダイガ視点

 

 俺は新人勇者の防御魔法によって寸前のところで命を拾った。

 だが、防御魔法といっても初心者が会得した程度のもの。明らかに力不足。

 足止め程度で壊れてしまう。


「ぐっ! 新人。悪いな」


「どっちの悪いですか? イイところを見せられなかったことか、助けてもらったことか」


「どっちもだよ。お前、防御魔法も使えるのか?」


「それくらい普通ですよ。まさか先輩、使えないんですか?」


「まぁ……」


「十年のベテラン勇者なのに防御スキルの一つも使えないんですか?」


「悪いかよ。俺は剣の勇者として一点に掛けているんだ。それで充分だよ」


「今時、一つのことしか出来ないって古いですよ。幅広く使えないと今のように困りますよ? 一つのスキルで命運を分ける。これもナオユキ先生の教えです」


「ちっ。またナオユキか。あいつのどこがいいんだが」


「その様子だと先輩、ナオユキ先生のことをよく思っていないようですね」


「当たり前だ。俺はあいつが嫌いで追放したんだからな」


「先輩。あの人は素晴らしい人です。僕の憧れの人をこれ以上、侮辱すると許さないですよ?」


「テメェ。誰に向かって口を効いている?」


「助けてもらっておいてイキらないで下さいよ。弱く見えますよ?」


「なっ!」


 この新人勇者。生意気だな。やっぱり好きになれない。それにこいつを見ると頭の片隅でナオユキがチラつく。

 全くもって気分が悪い。


「離れて下さい、先輩。ここは僕たちに任せて下さい」


「任せろってお前、まさかあの大蛇と戦うつもりか? 無理だ。俺たちが叶わない相手に叶うわけない。俺たちを見捨てて逃げるんだ」


「大丈夫です。先輩たちの攻撃で攻略法が分かりましたから」


「攻略法だと?」


「まぁ、見ていて下さい。さぁ、皆! あれをやるぞ!」


 新人勇者たちは一箇所に集まって大蛇に向かって攻撃を仕掛ける。

 あの構えはまさか、全員で詠唱魔法を使うつもりか?

 俺たちはアミカゼしか使えない技をこいつらは全員使えるとでも言うのか?

 大蛇は興奮しているようで新人勇者の中心目掛けて突っ込んだ。


「やっぱり見たものを素直に攻撃するしか脳がないようだな」


 すると、一人が大蛇の目に向けて光魔法を放つ。

 眩い光で一瞬、目が眩む。

 その隙を逃さまいと全員で大蛇の頭部目掛けて剣を突き刺した。


「シャアァァァァァ!」と大蛇は悶えるように倒れた。


 サーと浄化するように大蛇は絶命した。


「バカな。一瞬であの化け物を倒しただと?」


 俺は自分の目を疑った。これは現実か? 何がどうなっている?


「よし。何とかうまくいきましたね」


 いえーいと新人勇者たちはハイタッチを交わして勝利を収める。


「おい。新人」


「あ、先輩」


「聞かせてくれ。どうやってあの化け物を倒した」


「簡単ですよ。弱点は頭部を刺せば絶命する。後はどうやってその隙を生むか。それだけの問題ですよ。だから全員で同じ魔法を使えば威力が弱くても重なれば何倍もの威力に変わる。いわば協力プレーというやつです」


「協力プレーね。だが、頭部が弱点って何で知っているんだよ」


「勇者アカデミアで習ったんです。あのタイプの弱点は頭部であるって。だから冷静に対処すれば倒せると踏んだんです」


「習っただと?」


 つまり、この新人勇者はナオユキの教えで今回のダンジョンを攻略したという訳だ。それだけではない。この新人は全員が同じスキルを身に付けている。

 それが尖ったものではないにしろ、平均的に全員が扱えることは一つの武器になっていた。

 俺たちが個々で戦う協力プレーに対してこの新人たちは全員一丸となった協力プレーで乗り越えたという訳だ。


『ダンジョン。クリア。今回の活躍を元に勇者ランクのレベルが加算されます。おめでとうございます。それではまたの活躍を期待しています。お疲れ様でした』 


 管理人からのアナウンスが流れてダンジョンの攻略を正式に終えた。


「ちっ。気にいらねぇな」


 結果的にダンジョンを攻略出来たとはいえ、俺たちの力ではない。

 新人勇者にいいところを持ってかれた上に悪巧みを計画していた俺の作戦は失敗に終わった。

 それだけではない。ベテラン勇者だと優位になっていたが、それは間違いだった。経験がものを言うわけではないことを新人に見せつけられたのだ。


「リーダー。あいつら、ダンジョンの攻略を楽しんいでませんか?」


 コースケに言われて新人勇者の顔を見る。

 怖かったという者は居ない。それよりも心から楽しんでいる様子だった。

 仲間同士の信頼が厚く、見せつけられているようである。

 これは遊びじゃない。それなのに何故、あんな笑顔で笑えるんだ。


「くそ。仲間としても俺たちは負けているというのか」


 勇者ランクのレベルが上がったとしてもちっとも嬉しくなかった。

 それよりも新人勇者に全てが見劣りしていた。


「先輩、お疲れ様でした。今回の経験を生かして次に繋げたいと思います」


「何を言っているんだ。新人。俺は情けない姿を見せちまった」


「確かにそうかもしれませんね」


「言うじゃねぇか、新人。お前たち凄いよ」


「いえ、僕たちが凄いんじゃありません」


「何?」


「僕たちにスキルを教えてくれたナオユキ先生が凄いんです」


「ナオユキだと? またあいつか。あいつがお前らに何をしたと言うんだ」


「ナオユキ先生の教えは素晴らしいです。それだけは自信を持って言えます。そうだ! 先輩も通ってみてはどうですか? 勇者アカデミアに。きっと今以上に多くのスキルを習得できると思いますよ?」


「冗談じゃない。今更、そんなところに通えるかよ。それにナオユキの教えなんて真っ平ごめんだ。俺のプライドが許せない」


「歳は関係ありませんよ。それにいつまでも常識に捉われたらいつか足元をすくわれますよ? 騙されたと思って行ってみたらどうです? きっとイイ経験になるはずです。僕から言えることはこんなところですね」


「ふっ。考えておくよ。まぁ、行くつもりはないけど」


「そうですか。ではこの先の冒険に健闘を祈ります」


「ばか。それは俺が言うセリフだ。歳上をもう少し敬え」


 そう言うと新人勇者は作り笑いをしてダンジョンを離れていく。

 新人勇者とはそれきりで会うこともなくなった。

 俺は新人勇者に見劣りしただけではない。

 間接的ではあるが、ナオユキにも見劣りしていたんだ。

 俺たち勇者パーティーはナオユキの活躍によって考えさせられる結果になっていた。


「ナオユキが勇者アカデミアを設立か。面白い」


 俺は拳を強く握り悔しさを紛らわした。


「ここまで教え子にやられるとは。実はナオユキって凄かったりして」


 と、コースケはこれまでの考えを改めるような発言をする。


「バカ言ってんじゃねぇ。俺の選択は間違えていない。次こそ証明してやる。俺たちが凄いってことを」


「まぁ、リーダーがそう言うなら僕たちはついて行くだけです」


「同じく」


「ふふ。頼りにしていますよ。リーダー」


 実際はナオユキを認めざるを得ないが、俺のプライドが邪魔をして素直になれない自分がいた。

 それでも俺たちはこれからも勇者として活躍していく。

 ただ、ナオユキの存在に頭の片隅で引っかかる日々が続いていた。

 


ーー作者からの大切なお願いーー

「面白い!」

「続きが気になる!」

「早く次を更新希望!」


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