第50話 〜開催〜
「えっ、まって……流石の私でも分かる。これは死ぬパタ——」
その時、私達の下からありえないぐらいの突風が吹き荒れ、そこで私は全てを理解する。これは私が嫌いなやつだと。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だーーーーーーー!」
私達は風に乗り、物凄い勢いで上へ上がる。高所恐怖症の私には物凄くキツい!
ってか、マジで怖いんだけど!?
「あはははははは! 楽しい! たのしーーーー!」
「………………」
1人は無言、1人ははしゃぎ回り、1人はビビり散らし、1人は無感情。
4人4色な風景に私は語り部ながらも笑いを堪え、微笑みを零す。
この光景はあのロボットに勝ったからこその光景だ。
そして、4人はもっと綺麗な光景を見ることになる。
「後、5秒で外に出ます。5……4……3……2……1……」
その風は止むことを知らず、月詩達は空高くへと、夜空へと打ち出した。
「すごーーーーい! こんなに星が近いよ月詩!」
傘比と無難、レーズンの目には満点の星空が映る。地上からも見ることは出来るが、少しでも空に近づくだけでこんなにも綺麗なるものかと傘比は心が踊る。
「…………綺麗だ」
不覚にも無難も率直な感想を言ってしまう。
語り部の私だってそうだ。こんなにも綺麗な星空を見た事がない。星空は無難達にはもっと綺麗な目で、映っているだろう。
勝利の後の最高の美酒に匹敵するほどの綺麗さと、浪漫を感じる。
星空は2人を祝福するには、1番の適していた。
2人はだ……
「いいいいいやややややややああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
この場合、1番冷静でなければならない。この後の対処をしないといけないはずの人間が、大粒の涙を流し、死に絶えそうになっている。
「むりむりむりむりむりむりむりーーーーーーーーーー!」
千聖月詩 圧倒的高所恐怖症。
冷静な判断を下せることは無理なのだ。
「うううううううううううっっっっっっっっっっっっ!?」
ここも流石、元世界1位だろう。頭が働かなくても体は動いてしまう。
「下級錬金術 『綿』!」
月詩達が落下していく所に、もっふもっふの綿を設置する。月詩達はその綿へと落下し、九死に一生を得る。
「ふいーーー楽しかったーーーー! レーズンさんは大丈夫?」
「はい。私も楽しかったです。外の世界というのはこんな景色が広がっているのですね」
「……綺麗だったな」
3人があの星空の感動を分かちあってる中、1人だけ綿の中で伸びてる者がいた。
「え……なんでみんな、そんなに平然といられるの?」
3人の平然さに月詩は絶句し、意味が分からなくなる。
もう嫌だ。今日はもうゲームをやめたいと思ってしまう。
『皆さんこんにちは! これより新イベントの開催をお知らせするよ!』
3人に1人の声が届く。
「「「新イベント(!?)」」」
3人が声を合わせ、驚愕する。新イベントが来るとは知っていたがこんなにもタイミングがいい時にくるとは。
『今回のイベントはレベルの枠によって決めさせてもらうよー! まずは1から100レベルのプレイヤー達のイベントは——』
『『ドキドキ! 最強モンスター テルセウスと最強プレイヤー テーベのどっちかを倒せーーーーーー!』』
「テーベ……」
テーベと聞き、3人は固唾を呑む。1人は恐怖、1人はワクワク、1人は笑顔になる。
「楽しくなってきたーーーーー!」
剣と魔法と失われた技術 攻略情報
最新情報掲示板 7
1 0 3名前:名無しのプレイヤー
サイミ森林、入れるようになった!? やびーーww
最新情報掲示板1〜10の中の全てで話題になっている。
サイミ森林の復活。
モンスターは今までと変わらずスポーンし、焼けた木々は再生しつつあった。
それでもまだ灰に満ち溢れた、新しい世界にプレイヤー達は興奮が抑えきらなかった。
1 0 4名前:名無しのプレイヤー
結局はなんで入れなかったんだろうな?
1 0 5名前:名無しのプレイヤー
それはわからん!w
だけど運営が何かちょうせいしたんだろw
全ての掲示板で全てのプレイヤーが同じ結論に抱く中、情報屋と、勘の鋭い上位者達は何かの違和感を感じていた。
テーベです。テーベが戻ってまいりました!
そしてこっからは修行編というより、強化編です!




