135. テイヤマ城
テイヤマ城の城壁に上ると、遠くにあるいくつもの村から、煙が上っていた。
「ひどいな、、ここから見える村はすべて焼かれているのか、、」
「ああ、あれはセンシュウ村、ああ、あの火が上っているのはコバ村、、、ああ、、」
悲痛な声を上げるイシュナ王女、
「王女様!」
城壁の上で立派な鎧を付けた騎士たちが、イシュナ王女の元へ駆け寄る。
「ああ、皆、、今、テイヤマでは何が、、、起こって、、」
白髪、白髭の立派な甲冑を付けた重臣らしき老兵が進み出る。
「国王様とイルア王子は民救出のため、軍を率いて出ております!
イリア王妃様は、すでに、、うっ、ぐっ、民をかばって戦死なされました!」
「ああ! 母上様! あ! あああ!!!」
イシュナが大粒の涙を流し叫ぶ、
「きゃああ!」「逃げろ! おまえ達!!」「パパ!!」
城壁から外を見ていると、テイヤマ城に近い街道に横の林から逃げてきた数家族が出てきた!
そこへ襲い掛かる真っ黒い魔獣たち!
「俺が出る!! 行くぞレパーラ!!」
「はいニャ!!」
15mはある高さの城壁を飛び降りる!
着地には風の魔法を使い、衝撃をやわらげて着地した。
レパーラも城壁の出っ張りを利用して、タ、タタタ、と降りてくる!
「行くぞ!」
「ニャあ!!」
走る! 城壁の外側に降りた俺たちは、数十の魔獣から逃げる家族を救うべく、
「オオオオオオオオ! 追い風ェ!!」
風を使って走る!!
「うわぁぁああ!」
<ゴアァァアア><ガッフ!><ゴフゥ!>
先に逃げた女子供に飛び掛かる狼型の黒い魔獣たちに、盾となった男たちを襲う熊の様に大きな魔獣
「ニャァァァアアア!!」
長靴の力で機動力が上がったレパーラが、俺の前に出て先駆けする!
人々を襲う魔獣の群れ数十匹の真ん中に飛び込み、
「ゥゥゥウウウウニャァァァアアアア!!!」
両手の剣で斬りかかる!
が!
斬れない!!
ガ、ガギ、ガガガ!
剣で切っているはずなのに、鈍器を使ったような鈍い音が響く!!
「何ニャ!! 斬れ、ニャイ!! このニャまくら刀!!」
ズガッ! バギャ!
レパーラが魔獣共の爪や体当たりにさらされる!
「ギニャ! ぐ、ニャメンニャ!!」
『阿刀』『吽刀』をしまい、普通の短刀を両手に持って応戦するが、、
魔獣の硬さにあっという間に刃がボロボロになっていく!
先行して一人で戦っているレパーラが苦戦している!
レパーラの元に、、、
ヒヒュッ! ヒヒュン!!
<ギャン!><グギャ!><ギギャン!!>
くっ、、逃げる人々に襲い掛かる魔獣どもを切り捨てるので精いっぱいだ!!
なかなか前にすすめない!
レパーラ!!
<ゴオァァアア!><ガァア!>
「ギャ ギニャ!!!」
魔獣に囲まれ猛攻を受けるレパーラ!
こいつらどこからこんなに湧いてきた!
想定外の敵の多さと硬さに苦戦する。
「きゃあ!!」「うわぁあ!」
「ちぇりゃぁあああ!」
すかさず3匹切り捨てる!
くそっ!! こいつら!! 俺より一般人を狙いやがって!!
ドガガッ、ドガガッ!
「先生!!」
ケビンが馬で追いついて来た!!
<ゴァァア!>
「ヒヒィィイインン、、」
ちい、ケビンの馬を真っ先に襲う魔獣たち!
バリバリ! ガリボリ!
大型の狼の様な奴らが馬に食らいつく!
「ハッ! ハッハァッ!!!」
<ギャン!><ギュギャ!!>
馬に食らいついているところを、後ろからケビンが槍で貫く!
だが、馬はもうだめだな、、
「ケビン!! この人たちを守れ! 俺はレパーラを救いに行く!」
「はい! 先生!!」
先生は私にこの人たちを守れと言われて、魔獣の群れの中に突っ込んでいった!
必ず守ってみせる!
「く、、ここまで逃げてきたのに、、」
「おかぁさん、、」「ああ、コレット、、」
女性と子供たちを中心に円陣を組んで体を寄せ合う家族たち、、
<ゴァア!>
そこへ、、、黒く大きな狼の様な魔獣が飛び掛かる!
「させん!!」
私の槍が魔獣の喉を貫く!
いろんな方位から、順に飛び掛かってくる魔獣たち、それを一匹ずつ貫く!
やがて、、魔獣共は私と家族たちを囲み、、襲ってくることなく集まって数を増やし始めた
そして、一段大きな魔獣がのっそりと姿を見せ、、立ち上がってその巨体を見せつける!
その体長は3mほど、私を上から見下ろしてくる、
来る、、コイツが私に襲い掛かるとともに、周りの魔獣共は、、
この家族たちを襲うだろう。
先生は?
私たちが今囲まれている数の数倍の魔獣をひきつけ、今も奮戦している!
ここは、私が託された持ち場だ!
「さぁ、、こい!! 守ってみせる!! 私は!! この人たちを必ず守ってみせる!!」
<ゴォオオアァァァアアア!!>
大型魔獣と激突する!!
魔獣に刺さった槍は一撃で折られ、私は魔獣と組み合う形となった。
セントレオン様にいただいた甲冑、『斉城』のおかげか、体格差もものともせずがっぷり4つに組む!!
<ガァ!><グル!><ゴァ!><ガゥ!>
くっ、周りの魔獣共が私の後ろにいる人々に襲い掛かろうとする!!
だが、、私は大型魔獣と組んでいるため動けない!!
「ぐぅ!!
守る守る守る守る守る守る守る守る衛る衛る衛る衛る衛る衛る衛る衛る護る護る護る護る護る護る、、、絶対にまもってみせる!!!!!!」
『、、、若者よ。』
「この人たちは! 絶対に私が! 護ってみせる!!」
『その強い意思、、語りあう価値はあるな、若者よ、、』
私は、、私の倍ほどもある魔獣と必死で組み合う中、、
頭の中が真っ白になり、、
白い空間に、ひきこまれた、、
「こ、ここは??」
私は木の棒に刃物を縛り付けただけの様な槍を持ち、鎧も付けず粗末な衣服のまま、とある城の城壁の上に立っていた。
そして眼下には、、大地を真っ黒に埋め尽くし、数万の魔獣の軍勢が、この城を攻めるべく駆けてくる姿が見れた。
城壁の内側には、、あきらかに戦えなさそうな民衆が不安げに城壁を見上げている。
「者ども!! ひるむな!! この城は堅牢にして人々を守る壁! 魔獣ごときには落とさせはせぬわ! ガッハッハッハッハ!!」
ひと際体格のいい、豪快な老人が城壁の上で声を上げた。
老人はその身に、私が着けていたはずの黒い甲冑、『斉城』をまとい立っていた。




